まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングのエピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”なものになってしまったのかもしれませんが、みなさんの毎日の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出なども絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ミス・ア・シング(I Don't Want to Miss a Thing)」エアロスミス(Aerosmith)(1998)

おはようございます。

今日はエアロスミスの「ミス・ア・シング」です。

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I could stay awake just to hear you breathin'
Watch you smile while you are sleepin'
While you're far away and dreaming
I could spend my life in this sweet surrender
I could stay lost in this moment forever
Where every moment spent with you is a moment I treasure

Don't wanna close my eyes
I don't wanna fall asleep
'Cause I'd miss you, babe
And I don't wanna miss a thing
'Cause even when I dream of you (Even when I dream)
The sweetest dream would never do
I'd still miss you, babe
And I don't wanna miss a thing

Lying close to you, feelin' your heart beating
And I'm wonderin' what you're dreamin'
Wonderin' if it's me you're seein'
Then I kiss your eyes and thank God we're together
And I just wanna stay with you
In this moment forever
Forever and ever

I don't wanna close my eyes
I don't wanna fall asleep
'Cause I'd miss you, babe
And I don't wanna miss a thing
'Cause even when I dream of you (Even when I dream)
The sweetest dream would never do
I'd still miss you, babe
And I don't wanna miss a thing

I don't wanna miss one smile
I don't wanna miss one kiss
Well, I just wanna be with you
Right here with you, just like this
I just wanna hold you close
I feel your heart so close to mine
And just stay here in this moment
For all the rest of time
Yeah (Yeah)Yeah (Yeah)Yeah!

Don't wanna close my eyes
Don't wanna fall asleep
'Cause I'd miss you, babe
And I don't wanna miss a thing
'Cause even when I dream of you (Even when I dream)
The sweetest dream would never do
I'd still miss you, babe
And I don't wanna miss a thing

I don't wanna close my eyes
I don't wanna fall asleep
'Cause I'd miss you, babe
And I don't wanna miss a thing
'Cause even when I dream of you
The sweetest dream would never do
I'd still miss you, babe
And I don't wanna miss a thing

Don't wanna close my eyes
I don't wanna fall asleep, yeah
I don't wanna miss a thing

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君の呼吸を聞くために
僕は起きていられるんだ
眠っている君の笑顔を見るために 
君が遠くで夢を見ている間 
幸福に降伏したまま僕は人生を過ごせる 
この瞬間に永遠に迷い込んでいられる
君と過ごすすべての瞬間が
僕にはかけがえのない瞬間

目を閉じたくない 
眠りにつきたくない 
だって君を恋しく思うから 
何ひとつ見逃したくないんだ 
君の夢を見る時でさえ(夢の中でも) 
一番素敵な夢も意味がない 
それでも君を恋しく思うんだ
何ひとつ見逃したくないんだ

君のそばに横たわり、
君の心臓の鼓動を感じるながら
君が何を夢見ているのか気になって 
見てるのは僕なのか気になって 
そして君の目にキスをして
一緒にいることを神に感謝する
ただ君と一緒にいたいこの瞬間ずっと
永遠に、ずっと

目を閉じたくない 
眠りにつきたくない 
だって君を恋しく思うから 
何ひとつ見逃したくないんだ 
君の夢を見る時でさえ(夢の中でも) 
一番素敵な夢も意味がない 
それでも君を恋しく思うんだ
何ひとつ見逃したくないんだ

笑顔はひとつも見逃したくない 
一度のキスも逃したくない 
ただ君と一緒にいたいんだ 
ここで君と、こんなふうに 
君を強く抱きしめたい 
君のハートがすぐそばに感じられる 
そしてただこの瞬間この場所にいるんだ
残りの人生ずっと

目を閉じたくない 
眠りにつきたくない 
だって君を恋しく思うから 
何ひとつ見逃したくないんだ 
君の夢を見る時でさえ(夢の中でも) 
一番素敵な夢も意味がない 
それでも君を恋しく思うんだ
何ひとつ見逃したくないんだ,,,(拙訳)

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エアロスミス「ミス・ア・シング(I Don't Want to Miss a Thing)」ヤマハぷりんと楽譜

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 エアロスミススティーヴン・タイラー(Vo)、ジョー・ペリー(G)、ブラッド・ウィットフォード(G)、トム・ハミルトン(B)、ジョーイ・クレイマー(Dr)からなるアメリカン・ロック史上最長間活動し、最大規模の成功をおさめているバンドです。

 エアロスミスAerosmith)は、ジョーイ・クレイマーが発案した造語で、ヒントになったのがなんとニルソンのアルバム「空中バレー(Aerial Ballet)」で、"Aerial"が"Aero"になりそれに続く言葉を探してたら誰かがSmithと言って、それだ!と思ったのだそうです。

 1970年代初めにアメリ東海岸ニューハンプシャー州サナピーでタイラーがペリー、ハミルトンと出会い三人でバンドをスタート。タイラーはドラマーでもあったのですが、フロントに立って歌いたかったので(彼はローリングストーンズに大きな影響を受けています)クレイマーを迎え入れ、サイドギターも加えてプロになるためにボストンに拠点を移します。その後、サイドギターをウィットフォードに変えて、そこで現在のラインナップが揃うことになります。

 デビューは1973年。アルバム・タイトルは「野獣生誕 (原題:Aerosmith)」。アルバムからのシングルは、現在も彼らの代表曲と呼ばれている「ドリーム・オン(Dream On)」でした。この曲はスティーヴン・タイラーがまだ17か18歳の頃にピアノを弾きながら作曲したものなのだそうです。

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 「ドリーム・オン」は発売時には全米チャート59位でしたが、1975年に再リリースされると6位まで上がる大ヒットになっています。

 1980年代に多くのハードロック・バンドがバラードでヒットを飛ばし”パワー・バラード”などとも呼ばれましたが、「ドリーム・オン」がそのルーツだと評価する声も多いようです。

 1970年代の彼らの代表曲はこの2曲でしょう。

「Sweet Emotion」(1975年 全米36位)彼らのブレイクの突破口になった曲で、のちに再リリースされています

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「ウォーク・ディス・ウェイ(Walk This Way)」(1975年リリース 1976年に再リリースされ全米10位)

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 1980年代に入ると彼らの人気は停滞し始めます、リリースはするのですがシングルが全米チャートの100位にすら入らない状況が続きます。タイラーとペリーが喧嘩してペリーが脱退したことが大きかったようです(1984年に復帰します)。

 しかし、予想もしなかった展開で再び彼らにスポットが当たることになります。1986年にヒップホップ・グループのRun-D.M.C.が「ウォーク・ディス・ウェイ」をカバーし全米4位の大ヒット、タイラーとジョーがレコーディングに参加しミュージック・ビデオにも出演しています。確かに原曲のボーカルもほぼラップですね。

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その勢いに乗ってリリースした1987年のアルバム『パーマネント・ヴァケイション』が全米11位をの大ヒット。このアルバムからまたパワー・バラードの名曲が生まれています。「エンジェル」(全米3位)

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 この曲をタイラーと共作したのがデズモンド・チャイルド。この前年にボン・ジョヴィ -の「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」や「禁じられた愛」を書き、もっとさかのぼれば、キッス の「ラヴィン・ユー・ベイビー」を手がけている、ロックのシングル曲を書かせたらこの当時NO.1のソングライターです。

 

 見事な復活を遂げた彼らは1993年のアルバム「ゲット・ア・クリップ」が初の全米NO.1アルバムになり、その後も人気バンドの地位をキープし続け、1998年に彼らの最大のヒットシングルであるこの「ミス・ア・シング」をリリースします。

 これはスティーヴンの娘リヴ・タイラーが出演していた映画「アルマゲドン」の主題歌に使われたことで大ヒットしました(主題歌は当初U2にリクエストしたが、彼らが断ったという記事もありました)。

 曲を書いたのは、この当時業界最大のヒットメイカーの一人、ダイアン・ウォーレン。彼女は俳優のジェームズ・ブローリンが、妻であるバーブラ・ストライサンドについて語ったインタビューがきっかけで生まれたと語っています。

「それは彼が『寝ているときでさえ彼女が恋しい』という内容のインタビューでした。彼は彼女に会うのが待ち遠しいんだと言っていて。そして、私はそのタイトルを書き留めたんです。曲自体はまだ書いていませんでしたが、ただ『I Don’t Want to Miss a Thing』ってクールなタイトルだなって思ったんです。」

 そして、「アルマゲドン」用に彼女に曲の依頼が来たときに、このアイディアを曲にするタイミングだと彼女は考えます。

「世界の終わりがテーマで、もし時間がほとんど残されていなかったら、誰かに何を言いたいかを考えたんです。その緊迫感を表現したかったんです。そして私はその曲を書きましたが、エアロスミスが演奏するとは全く知りませんでした。それは驚きでした」

 ウォーレンは、ロサンゼルスのサンセット・マーキス・ホテルでスティーヴン・タイラーにこの曲を聞かせたそうです。

「私は本当に歌が下手なんです。それで、彼と一緒に座って歌ってみせたんですけど、彼が私と一緒に曲を覚えていくのを聴くのは本当に感動的でした」

                    (以上、ABC NEWS February 14, 2018)

 そして、この曲がリリースされると全米4週連続1位の大ヒットになりました。

 (ちなみに「アルマゲドン」の劇中音楽(劇版)を担当したのは、昨日このブログに登場したイエスロンリー・ハート」を書いたトレヴァー・ラビンです)

 

 エアロスミスというと、ヤンチャでワイルドなイメージがあったので、「ミス・ア・シング」を聴いた時にちょっと驚いたのですが、こうやってあらためて彼らの歩みを追ってみると、1970年代の「ドリーム・オン」、80年代の「エンジェル」そして90年代の「ミス・ア・シング」と、バラードが彼らのキャリアにとって大きな節目になっていて、すごく重要な役割をになっていたことに気づきました。

 

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