まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ドント・ストップ・ミー・ナウ( Don't Stop Me Now)」クイーン(1978)

 おはようございます。

 今日はクイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」です。


Queen - Don't Stop Me Now (Official Video)

 

 ”今夜 オレは思いっきり楽しむよ 生きているって感じがするんだ

  そしてこの世界をひっくり返してやるよ

     エクスタシーの中を広がってゆくような感じがするんだ

   

  だから今は止めないでくれ 止めないで 

  だってお楽しみの真っ最中だから、今が最高なんだ

 

  オレは夜空を飛んでゆく流れ星

  重力の法則に逆らう虎みたいに

  オレは走り去るレーシング・カー

     まるでレディ・ゴディバみたいに

     オレは行くぞ、行くぞ、行くぞ  誰も止められないさ

 

  オレは燃えながら空を駆け抜ける 200度の熱で

  だからオレはミスター・ファーレンファイト(華氏)って呼ばれているのさ

   オレは光の速さで旅をする

      君をスーパー・ソニックマン(音速の男)にしてあげたいよ

 

     今はオレを止めないでくれ

     すごく楽しい時間なんだ 大いに楽しんでいるんだ

   今はオレを止めないでくれ

     君も楽しくやりたいなら オレに電話してくれ

 

  今はオレを止めないでくれ

  だってお楽しみの真っ最中だから

  今はオレを止めないでくれ

    そうさ、今楽しんでいるのさ      絶対止めたくないんだ

 

  オレは火星に向かうロケット 衝突必至さ

  オレは衛星 制御不能

  オレはリロードされたセックス・マシーン 爆発寸前の原子爆弾

 

  オレは燃えながら空を駆け抜ける 200度の熱で

     だからオレはミスター・ファーレンファイト(華氏)って呼ばれているのさ

      オレは光の速さで旅をする

         君をスーパー・ソニックマン(音速の男)にしてあげたいよ

 

        今はオレを止めないでくれ

       すごく楽しい時間なんだ 大いに楽しんでいるんだ

     今はオレを止めないでくれ

        君も楽しくやりたいなら オレに電話してくれ

 

   今はオレを止めないでくれ

   だってお楽しみの真っ最中だから

   今はオレを止めないでくれ

     そうさ、今楽しんでいるのさ      絶対止めたくないんだ  ”(拙訳)

 

   *レディ・ゴディバは「ゴダイヴァ夫人」とも表記される11世紀の伯爵夫人。チョコレートの”ゴディバ”の由来でもあります。

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Tonight
I'm gonna have myself a real good time
I feel alive
And the world, I'll turn it inside out
I'm floating around In ecstasy

So don't stop me now, don't stop me
'Cause I'm having a good time, having a good time

I'm a shooting star leaping through the sky
Like a tiger defying the laws of gravity
I'm a racing car passing by
Like Lady Godiva
I'm gonna go go go
There's no stopping me

I'm burning through the sky
200 degrees
That's why they call me Mr. Fahrenheit
I'm traveling at the speed of light
I wanna make a supersonic man out of you

Don't stop me now
I'm having such a good time
I'm having a ball
Don't stop me now
If you wanna have a good time
Just give me a call

Don't stop me now
'Cause I'm having a good time
Don't stop me now
Yes I'm having a good time
I don't want to stop at all, yeah!

I'm a rocket ship on my way to Mars
On a collision course
I am a satellite
I'm out of control
I am a sex machine ready to reload
Like an atom bomb about to-oh-oh-oh-oh-oh explode

I'm burning through the sky  
Two hundred degrees
That's why they call me Mister Fahrenheit
I'm traveling at the speed of light
I wanna make a supersonic woman of you


Ooh I'm burning through the sky
200 degrees
That's why they call me Mister Fahrenheit
I'm traveling at the speed of light
I wanna make a supersonic man out of you

Don't stop me now
I'm having such a good time
I'm having a ball
Don't stop me now
If you wanna have a good time
Just give me a call

Don't stop me now
'Cause I'm having a good time
Don't stop me now
Yes, I'm having a good time
I don't wanna stop at all

 

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   さて、数日前(10月27日)のネットニュースで、ソニーの最新ウォークマンの発売に合わせてイギリス人2000人を対象に好きな曲の人気投票を行ったところ、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が1位になった報じられていました。

 イギリスで史上3番目に売れたシングルですし、2002年にギネス・ワールド・レコーズBBCが行った”イギリス史上最高のシングル”の投票でも1位になっていますし、映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットがあったわけですから、全然驚かない結果でした。

 

 しかし、僕が驚いたのは、2位がこれまたクイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」だったということです。

 ちなみにそれ以下は、3位「ヘイ・ジュード」(ビートルズ)4位「イマジン」(ジョン・レノン)5位「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」ボン・ジョヴィ 6位「サウンド・オブ・サイレンス」サイモン&ガーファンクル、、といった風に堂々たるスタンダードや大ヒット曲が続いています。

 

 確かに日本でもCMなどで耳にする機会は多くなりましたが、発売当時は大したヒットじゃありませんでした。イギリスでは9位、アメリカではなんと86位という惨敗、この曲の入ったアルバム「ジャズ」もロック・ファンのみならずクイーン・ファンからも人気のないアルバムでした。しかも、メンバーのロジャー・テイラーやジョン・ディーコンまでこのアルバムは嫌いだという始末、、。

 ともかく、クイーンには代表曲と呼ばれるものは他にもっとたくさんあるはずです。

 

 あわててSpotifyをチェックしてみると、確かにクイーンの曲の中で再生回数が「ボヘミアン・ラプソディ」に次いで2位、

 

 いつの間にこんなことに?と僕は思いました。

 

 調べてみると、「ビルボード」誌の記者がこの曲の”再生”のきっかけは2004年のカルト・ゾンビ・コメディ映画「ショーン・オブ・デッド」で使われたことだと述べているようです。 

www.youtube.com

 そして2006年に当時イギリスで大変人気のあったバンド”マクフライ”がこの曲をカバーして全英1位になったことが、かなり大きかったみたいです。


McFly - Don't Stop Me Now

 

 この曲の人気が再燃したのはイギリスだけではなく、アメリカでも音楽雑誌「ローリング・ストーン」が2014年にクイーンの曲の人気投票を行ったところ、この曲が3位でした。1位は「ボヘミアン・ラプソディ」、2位はなんと「ファット・ボトムド・ガール」。これまたアルバム「ジャズ」に入っていた曲です。

 

 そのあと、国民的オーディション番組「アメリカン・アイドル」のCMに使われたり、「グリー」や「ドクター・フー」といった英米の人気TVドラマでも使われたそうです。

 最近では2018年にカミラ・カベロが”ロレアル”のCMでこの曲に合わせて口パクしています。


Camila Cabello Commercial L'Oréal Paris (Don't Stop Me Now)

 

 なるほど、これほどいろいろあれば人気も出るはずと思いました。映画「ボヘミアン・ラプソディ」のエンディングに使われるのに十分なステイタスがすでに出来上がっていたんですね。

 しかし、再評価されたのがなぜこの曲だったのか?という謎は残ります。

 

 これは、僕のただの推測ですが、この曲が、日本流の言い方をすれば

ものすごく "アガる曲”だったからだと思います。

 

 イギリスのあるラジオ局で30から55才までの人1300人に”一番元気にしてくれる曲”というアンケートを取ったところこの曲は2位でした(1位がELOの「ミスター・ブルー・スカイ」)。

 それから、オランダの認知神経科学者のヤコブ・ジョリイ博士という方が、独自の考え出した方式を組み合わせて、最もハッピーになる曲ベスト10を選定して、1位がこの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」だったという記事も見つかりました。

 

 一番最初にあげたイギリスの最新の人気投票で5位のボン・ジョヴィ、あと7位「この素晴らしき世界」(ルイ・アームストイロング)8位「ミスター・ブルースカイ」10位「グッド・バイブレーション」(ビーチ・ボーイズ)は、いわゆる”ハッピー・ソング”のランキングで上位ことが多い曲なんです。

 

 音楽を聴いて自分の心を解放させ、テンションを上げたいというニーズが、今の世の中でますます大きく強く広がっているんじゃないか、と僕は感じます。

 

 いまサブスク(無料配信サービス)で世界で一番聴かれているビートルズの曲は「ヒア・カムズ・ザ・サン」だと、このブログで書きましたが、クイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」人気も同じような背景の現象のように思えます。

 

 音楽の配信が定着していくとともに、発売当時のヒットの規模や評論家が中心になって築いてきた評価などを一度チャラにして、あくまでも一般大衆のリアルな感覚のニーズで曲をセレクトするという動きがめいんになってきているのでしょう。

 その結果、ビートルズやクイーンといったある程度評価が固定したかに見えたクラシックなロック・アーティストの”評価の大胆な書き換え”ともいうべき状況がいま静かに進行しているのかもしれません。

 

 さて、”史上最高レベルで元気になれる曲”の地位をつかんだこの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」ですが、メンバーにとってはそうではなかたようで、メンバーのブライアン・メイによるとフレディ・マーキュリーがドラッグや放蕩にふけっていた時期の作品で、彼の快楽主義やリスキーな生き方を賞賛しているような歌詞に、抵抗を感じて好きになれなかったと彼は語っていたそうです。

 

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