まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「サニー・アフタヌーン(Sunny Afternoon)」ザ・ キンクス(1966)

 おはようございます。

 今日はキンクスの「サニー・アフタヌーン」です。

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The tax man's taken all my dough
And left me in my stately home
Lazing on a sunny afternoon
And I can't sail my yacht
He's taken everything I got
All I've got's this sunny afternoon

Save me, save me, save me from this squeeze
I gotta big fat mama trying to break me
And I love to live so pleasantly
Live this life of luxury
Lazing on a sunny afternoon
In the summertime
In the summertime
In the summertime

My girlfriend's run off with my car
And gone back to her ma and pa
Telling tales of drunkenness and cruelty
Now I'm sitting here
Sipping at my ice cold beer
Lazing on a sunny afternoon

Help me, help me, help me sail away
Well give me two good reasons why I oughta stay
'Cause I love to live so pleasantly
Live this life of luxury
Lazing on a sunny afternoon
In the summertime
In the summertime
In the summertime

Ah, save me, save me, save me from this squeeze
I gotta big fat mama trying to break me
And I love to live so pleasantly
Live this life of luxury
Lazing on a sunny afternoon
In the summertime
In the summertime
In the summertime
In the summertime
In the summertime

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税務署が有り金全部持っていってしまった

オレはこのお屋敷に取り残されて

晴れた午後にぐうたらしてる

自分のヨットにも乗れない

あいつが全部持っていったんだ

オレにあるのはこの晴れた午後だけ


オレを救って、救って、救い出して、

この”カツカツ”の生活から

うちにはオレをボロボロにしようとする

太っちょママがいるんだ

オレは愉快に生きたいんだ

贅沢に人生を過ごしたいんだ 

晴れた午後にまどろみながら

夏の時期に、、、


彼女はオレの車に乗って逃げていったんだ

ママとパパのところへね

酔っ払いでヒドいやつだって話しているんだろう

オレはここに座って

冷えたビールをちびちび飲んでいる

晴れた午後をのんびりやっているんだ

オレを助けて、助けて、切り抜けさせてくれ

オレがここにいるべきいい理由を二つ教えて欲しい

オレは愉快に生きたいんだ

贅沢に人生を過ごしたいんだ 

晴れた午後にまどろみながら

夏の時期に、、、

 

オレを救って、救って、救い出して、

この”カツカツ”の生活から

うちにはオレをボロボロにしようとする

太っちょママがいるんだ

オレは愉快に生きたいんだ

贅沢に人生を過ごしたいんだ 

晴れた午後にまどろみながら

夏の時期に、、、

                (拙訳)

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 この時代にプロモーション・ビデオを作っていたんですね。しかも夏の晴れた日の午後の歌なのに、真冬で雪の積もった場所で撮影しているんですから、さすが、KINK(ひねくれ者、変態)ってバンド名に使うだけのことはあります。

 

   さて、この「サニー・アフタヌーン」は1966年7月にビートルズの「ペイパーバック・ライター」を追い落とし、彼らにとって3曲めの全英1位になっています。

 

 この曲を書いた頃、バンド内の状態やマネージメントの関係は決してよくなく、前に契約していた音楽出版社ともいざこざがありました。そんな中で、レイ・デイヴィスはインフルエンザをきかっけにノイローゼ気味になり、一時療養のためバンドを離れて、自宅で曲を書いていました。この曲もその時期に書かれたものではないかと言われています。

 

「僕がどういう風に感じているかを説明するには、僕が自分で築いた富とは反対に、相続した財産で生きてきた、つまらない、没落した貴族的人物を通してやるのがたった一つの方法だったんだ」  (Songfacts)

 

 レイ本人は決して貧しくはありませんでしたが、父親は食肉処理場で働いていて(庭師をしていたと書いてある本もありましたが)、典型的な労働者階級の出です。

 

 バンドで大金を稼ぐようになった彼は”成り上がりの労働者階級”、この歌の主人公は”落ちぶれた貴族階級”と、正反対ですね。

 この時期成功に伴ういざこざに巻き込まれ、心身ともにやられて療養していた彼は、自分の思いを直接語る代わりに、真逆のキャラを設定してなりきって歌を書くことで、自分の状況を客観視したのか、立場が全然違っても人間の苦しみなんて大差ないんだとまで達観したのか、このときの彼の心情は知りようがないですが、この曲を書くことが、期せずしてある種のセラピーのような効果をもたらしたのかな、などとも思えます。

 

「”サニー・アフタヌーン”を書いたころ、僕は音楽を何も聴く気になれなかったんだ。唯一かけていたのが『グレイテスト・ヒッツ・オブ・フランク・シナトラ』とディランの『マギーズ・ファーム』、全体の存在感が好きだったんだ。僕はフランク・シナトラグレン・ミラーやバッハなどと合わせて『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』をかけた。それは奇妙な時期だった。僕が思うに、それらが助け合うようにして、この曲の背後にある半音階のパートになっていたんだ」

        (「ローリングストーン」1969年11月)

 

 心や体がやられていると、本当に好きで、自分にしっくりくる音楽しか聴けなくなりますよね。シナトラ、グレン・ミラー、バッハ、と歴史的なアーティストに、同時代の天才ディランが並ぶというラインナップは興味深いです。

 

 

 いきなり、話は飛んでしまいますが、

 この曲の”Save me, save me, save me from this squeeze〜♩”というパートを聞くと、ある年齢以上の日本人はついつい、「はじめて およいだ うみのそこ」って歌詞が重なってくるんじゃないでしょうか。

 「およげたいやきくん」を作曲した佐瀬寿一さんはビートルズのコピー・バンドからキャリアを始め、インタビューでジェフ・リンやトッド・ラングレンが好きだと語っている人なので、キンクスも聴いていたような気がしますが、、。

 もし「サニー・アフタヌーン」を「およげたいやきくん」のヒントにしていたら、すごいセンスだなと感心してしまいますが、、。

 

 

最後は2006年のレイ・デイヴィスのライヴ・パフォーマンスで

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