まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ハッピー・トゥゲザー (Happy Together)」 タートルズ(1967)

 おはようございます。

 今日はタートルズの「ハッピー・トゥゲザー」を。


Happy Together

 

  ”僕と君のことを 僕は想像している

 君のことを考えているんだ昼も夜も 

 愛する人のことを思って、強く抱きしめるのは当然のことさ

 そして、一緒に幸せになるんだ

 

     もし僕が公衆電話に10セント入れて君に電話して

  そして君は僕のものだって君が言って安心させてくれたら

  世界はどんなだろう、最高だろうな

  そして、 一緒に幸せになるんだ

 

   君以外の人を愛している自分なんて想像できないよ 死ぬまでずっと

   君が一緒の時は ずっと青空さ 僕の生涯ずっと

 

   僕と君 君と僕  どんなにサイコロを投げても

   僕には君がただ一人の人  僕には君だけなんだ

   そして、二人で幸せになるんだ

 

   君以外の人を愛している自分なんて想像できないよ 死ぬまでずっと

   君が一緒の時は ずっと青空さ 僕の生涯ずっと

 

      僕と君 君と僕  どんなにサイコロを投げても

   僕には君がただ一人の人  僕には君だけなんだ

   そして、二人で幸せになるんだ

 

  だから二人で幸せになろう 天気はどうだい?

  だから二人で幸せになろう 二人は幸せさ

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Imagine me and you, I do
I think about you day and night, it's only right
To think about the girl you love and hold her tight
So happy together

If I should call you up, invest a dime
And you say you belong to me and ease my mind
Imagine how the world could be, so very fine
So happy together

I can't see me lovin' nobody but you
For all my life
When you're with me, baby the skies'll be blue
For all my life

Me and you and you and me
No matter how they toss the dice, it had to be
The only one for me is you, and you for me
So happy together

I can't see me lovin' nobody but you
For all my life
When you're with me, baby the skies'll be blue
For all my life

Me and you and you and me
No matter how they toss the dice, it had to be
The only one for me is you, and you for me
So happy together

Me and you and you and me
No matter how they toss the dice, it had to be
The only one for me is you, and you for me
So happy together

So happy together    How is the weather
So happy together    We're happy together
So happy together     Happy together
So happy together     So happy together 

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 1967年にビートルズの「ペニー・レイン」を蹴落として3週に渡って全米1位をキープしたタートルズの第ヒット曲です。

 「ハッピー・トゥゲザー」というタイトルの割に、少し物憂げなトーンも感じる曲ですが、作者の一人であるゲイリー・ボナーによるとこれは”報われない恋”の歌だということです。

 確かにこの歌の主人公はもし電話をかけたら、などといろいろ”想像する”ばかりで終わっています。最後のリフレインに唐突に挿入されている” How Is The Weather(天気はどう?)”というフレーズは、二人がただの知り合いで終わってしまうことを悟った主人公が涙をこらえるために無理に口にした世間話、というイメージなのだそうです。思ったより切ない歌なんですね。

                          (参考:Songfacts)

 

  タートルズアメリカ西海岸(カリフォルニア州)でハワード・カイランとマーク・ボルマンを中心に結成されたグループ。もともとはサーフ・ロック・グループだったそうですが、当時の流行であったフォーク・ロックにスタイルを変更、彼らが好きだったビートルズと語呂が似ているTurtlesという名前を考え、やはり彼らが好きだったバーズに倣って(Birds をByrdsと表記)”Tyrtles”という表記にしました。

 

 しかし、デビューに際しレーベルからの指示で表記”Turtles”にし、デビュー曲のボブ・ディランのカバー「悲しきベイブ(It Ain't Me Babe)」が全米8位といきなり幸先のいいスタートをきります。


It Ain't Me Babe (Remastered)

 しかし、その後徐々に失速していきヒットに恵まれなかった彼らにとって、まさに起死回生の大ヒットになったのが「ハッピー・トゥゲザー」でした。

 

  この曲を書いたのは、ニューヨークをベースとするロック・バンド”マジシャンズ”のゲイリー・ボナー(ヴォーカル、ベース)とアラン・ゴードン(ドラムス)のふたり。

 

 マニアックな話で恐縮ですが、このマジシャンズの最初のリード・ギタリストは、ブルース・スプリングスティーンを見出した初代マネージャーで、のちにスプリングスティーンから不当な契約で彼から搾取したと訴えられることになった(この訴訟は泥沼化し「明日なき暴走」で第ブレイクしたばかりのスプリングスティーンは長期のブランクを余儀なくされました)マイク・アペルだったそうです。

 

 さて、マジシャンズは米大手コロンビア・レーベルからリリースしていましたがヒットは出せませんでした。ボナーとゴードンの書いた「ダブル・グッド・フィーリング」というシングルが、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズとボビー・ヴィーにカバーされています。

 

  また、ボナーとゴードンは1969年にラヴィン・スプーンフルジョン・セバスチャンが脱退したあと)のアルバム「革命(Revelation: Revolution '69)」に3曲提供し(1曲「Me About You」はタートルズのカバー)、1970年にスリー・ドッグ・ナイトに提供した「セレブレイト」は全米15位のヒットになっています。


Celebrate

 

 ボナーがメインでゴードンが手助けする形で書いた「ハッピー・トゥゲザー」はデモを作った時にヒットしそうだと思ったそうですが、タートルズに取り上げられるまでに、いくつものバンドにこの曲をプレゼンしたそうですが、ことごとく断られていたそうです。

 でもデモ・アレンジはラヴィン・スプーンフルをイメージして考えたそうですが、そのデモのテイストを生かしながらも見事にアレンジしたのが、この頃ちょうどタートルズの新しいベーシストとして加わったチップ・ダグラスでした。

 チップ・ダグラスは”モダン・フォーク・カルテット(MFQ)”の創立メンバーだった人です。

 

  MFQの「This Could Be The Night」(フィル・スペクター・プロデュース)

www.youtube.com

 

 

    そして、タートルズのメンバーとなったチップに目をつけたのがモンキーズのマイケル・ネスミスです。タートルズのライヴを観に来たときにマイケルはチップにモンキーズのプロデューサーになってほしいと依頼します。プロデュース経験がないというチップに、マイケルは”タートルズを辞めてプロデュースしてくれたら、なんでも必要なものは用意するといって口説いたそうで、結局チップは間もなくタートルズを辞めてしまいます。

 そして、チップがプロデュースした最初のシングルがゴフィン&キング作の「Pleasant Valley Sunday」、そしてその次に手がけたのがあの「デイドリーム・ビリーバー」でした。

  タートルズに不義理をしたように見えるチップですが、ちゃんとその後プロデューサーとして関わり、そのうち「エレノア」(1968)は全米6位まであがっていて、チップのアレンジャーとしてのセンスがよく感じられる仕上がりになっています。


Elenore (Remastered)

 

 1970年にタートルズは解散し、中心メンバー、のマーク・ボルマンとハワード・カイランは”フロー&エディ”というユニット(マークがフロー、ハワードがエディ)を組みフランク・ザッパなどと活動します。

 T・レックスの「ゲット・イット・オン」のバック・コーラスも彼らがやっています。この曲のリハをロサンゼルスのプール付きの豪邸でやったと先日このブログで書きましたが、

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 実はその豪邸の持ち主はハワード・カイランだったのです。

 ちなみに、彼らがコーラスを手がけた曲で、特に僕が好きなものはスプリングスティーンの「ハングリー・ハート」です。

www.youtube.com

  では、最後に「ハッピー・トゥゲザー」の作者ゲイリー・ボナーのセルフ・カバー(1974)を。


GARRY BONNER - "HAPPY TOGETHER" - 1974

 

 

Happy Together [Analog]

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Happy Together: The Very Best of

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  • アーティスト:Turtles
  • Shout Factory
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Happy Together

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  • Flo & Eddie, Inc.
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