まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ポップ・ミューヂック(POP MUZIK)」M(1979)

 おはようございます。

 さて昨日取り上げた「ゴーストバスターズ」と「アイ・ウォント・ア・ニュードラッグ」の盗作騒ぎの中で、その2曲の大元だとしてクローズアップされた曲がありました。Mの「ポップ・ミューヂック」です。


M - Pop Muzik (Official Video)

 

(Pop, pop, pop muzik)
Get up, get down
(Pop, pop, pop muzik)


Radio, video
Boogie with a suitcase
You're living in a disco
Forget about the rat race
Let's do the Milkshake
Selling like a hotcake
Try some, buy some
Fee-fi-fo-fum
Talk about pop muzik
Talk about pop muzik


(Shoobie-doobie-doo-wop)
I want to dedicate it
(Pop, pop, shoo-wop)
Everybody made it
(Shoobie-doobie-doo-wop)
Infiltrate it
(Pop, pop, shoo-wop)
Activate it


New York, London, Paris, Munich
Everybody talk about pop muzik
Talk about pop muzik
Talk about pop muzik
Pop, pop, pop muzik
Pop, pop, pop muzik


Sing it in the subway
Shuffle with a shoe shine
Mix me a Molotov
I'm on the headline
Want to be a gunslinger?
Don't be a rock singer
Eenie, meenie, miney, mo
Which a-way you wanna go?
Talk about pop muzik
Talk about pop muzik


(Shoobie-doobie-doo-wop)
Right in betweenie
(Pop, pop, shoo-wop)
Eenie, meenie
(Shoobie-doobie-doo-wop)
Right in betweenie
(Pop, pop, shoo-wop)
You know what I meanie

Hit it!
Now you know when to say
(Talk about) Talk about pop muzik
(Talk about) Talk about pop muzik
Pop, pop, pop muzik
Pop, pop, pop muzik


All around the world
(Pop, pop, pop muzik)
Wherever you are
(Pop, pop, pop muzik)
Dance in the street, anything you like
(Pop, pop, pop muzik)
Do it in your car in the middle of the night
(Pop, pop, pop muzik)
La-la-la-la, la-la, la-la, la

 

Dance in the supermart
Dig it in the fast lane
Listen to the countdown
They're playing our song again
I can't get "Jumping Jack"
I want to hold "Get Back"
Moonlight, muzak
Knick knack, paddy wack
Talk about pop muzik
Talk about pop muzik


(Shoobie-doobie-doo-wop)
It's all around you
(Pop, pop, shoo-wop)
They want to surround you
(Shoobie-doobie-doo-wop)
It's all around you
(Pop, pop, shoo-wop)
Hit it!


New York, London, Paris, Munich
Everybody talk about, mmm, pop muzik
Talk about pop muzik
Talk about pop, pop muzik
Pop, pop, pop muzik
Pop, pop, pop muzik


Now, listen
Talk about (Pop, pop, pop muzik)
Talk about (Pop, pop, pop muzik)
Talk about the fever
Pop, pop, pop muzik
Pop, pop, pop muzik
Do you read me? Loud and clear
Hit it down (Pop, pop, pop muzik)
Hit it down, oh no! 

 

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(ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック)
立ち上がって、踊ろう
(ポップ ポップ ミュージック)


ラジオ、ビデオ
スーツケースとブギー
キミはディスコに住んでる
ラットレースは忘れて
ミルクセーキでシェイク
ホットケーキみたいに売れてる
お試しにどうぞ
フィー・ファイ・フォー・ファム
語ろうよ ポップミュージックを
語ろうよ ポップミュージックを


(シュービードビードゥワップ)
捧げたい
(ポップ、ポップ、シューワップ)
みんな上手くやってる
(シュビードビードゥワップ)
浸透させて
(ポップ、ポップ、シューワップ)
盛り上げて

ニューヨーク、ロンドン、パリ、ミュンヘン
みんなポップ・ミュージックの話ばかり
語ろう ポップミュジック
語ろうよ ポップミュージックを
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック

 

地下鉄で歌おう
靴磨きとシャッフル
火炎瓶を僕に混ぜてくれ
僕はヘッドラインに載ってるよ
ガンスリンガーになりたいかい?
ロックシンガーにはなるなよ
イーニー、ミーニー、マイニー、モー
どっちに行きたいの?

語ろうよ ポップミュージックを
語ろうよ ポップミュージックを

 

(シュービードビードゥワップ)
ちょうど間に〜
(ポップ、ポップ、シューワップ)
イーニ〜ミーニ〜
(シュービードビードゥワップ)
ちょうど間に〜
(ポップ、ポップ、シューワップ)
わかるねこの意味(い〜み〜)

 

始め!
いつ言うかわかっただろ
語ろう ポップミュジック
語ろうよ ポップミュージックを
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック

 

世界中で
(ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック)
キミがどこにいても
(ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック)
路上で踊ろう 君が好きなように
(ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック)
真夜中に車の中でも (ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック)
ラララ、ラララ、ラララ、ラララ、、、

 

スーパーマーケットで踊ろう
追越車線で楽しんで
カウントダウン番組を聴けば
また僕らの歌が流れている
”サティスファクション”できない"ジャンピング・ジャック "
"ゲット・バック "を”抱きしめたい”
ムーンライト・ミュージック
ニックス・ナック、パディ・ワック
語ろうよ ポップミュージックを
語ろうよ ポップミュージックを

 

(シュービードビードゥワップ)
キミのまわりはみんなそう
(ポップ、ポップ、シューワップ)
キミを取り囲んで
(シュビードビードゥワップ)
そこらじゅうで
(ポップ、ポップ、シューワップ)
さあ!


ニューヨーク、ロンドン、パリ、ミュンヘン
みんな話してるには、ポップミュージック
ポップ・ミュージックの話をしてる
ポップ・ポップ・ミュージック
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック


さあ、聴くんだ
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック
語ろう(ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック)
フィーバーについて語ろう
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック
ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック
聞こえるかい?はっきりと
打ちのめせ (ポップ、ポップ、ポップ・ミュージック)、、

                     (拙訳)

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 ”M”はロビン・スコットをメインとするプロジェクトです。

”ミューヂック(MUZIK)”とはジャマイカ訛りの英語の”MUSIC”を指すそうです。

 

 ロビン・スコットはこの曲についてこういう風に語っています。

「僕は過去25年間のポップ・ミュージックを要約したような、いろんなスタイルがミックスされたものを作ることに関心があったんだ。それが僕が意図的にやろうとしたポイントだ。ロックンロールはジェネレーション・ギャップを生み出した一方で、ディスコは人々を巨大な規模で人々を巻き込んだよね。だから僕はシンプルにやんわりとこう主張したかったんだ。僕らみんなが話しているのは基本的にポップ・ミュージックのことなんだってね」

 

 それでは、ロビン・スコットという人の歩みを少し追って見たいと思います。

 彼はまず1960年代後半アートスクールに通っていた時代に、デザイナーでのちにパンク・ムーヴメントの仕掛け人となるマルコム・マクラーレンヴィヴィアン・ウェストウッドと知り合っていて、彼らのブティックを一緒にやるという誘いもあったそうですが、音楽をやるために断ったそうです。

 そしてフォークのシンガー・ソングライターとして1969年にデビューを果たします。

 この当時デヴィッド・ボウイなどとも知り合ったそうですが、アーティストとしては成功をつかめませんでした。

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 70年代もプログレ・バンド”キャメル”のメンバーや、後にエルヴィス・コステロのアトラクションズのメンバーになるピート・トーマスなど様々な人たちと曲を作ったりしましたがリリースには至らず、その後はプロデューサーをやったり、自身のレーベル”Do It Records"を立ち上げ、アダム&ジ・アンツの初期の作品をリリースしたりしていました。

 自分のレーベルで彼は”Comic Romance"という名義で1978年にシングルを発表しています。


Comic Romance - Cry Myself To Sleep (Robin Scott before M)

 この頃彼はレゲエに興味があったようです。後に彼が、ジャマイカ訛りの英語である"MUZIK”を使った理由がわかるような気がします。

 この曲は後にリアレンジされMのアルバムにも収録されます。

 そして彼はパリの”バークレイ”というレーベルにプロデューサーとして雇われてパリに拠点を設けます。そしてそこで、”M”のコンセプトを思いつき、曲のデモを作り始めました。

 そしてまず「Moderb Man」という曲を自身のレーベルからリリースします。


M - Moderne Man (Single Version) (Robin Scott) [HQ Audio]

  まだ、テクノポップじゃありませんね。ニュー・ウェイヴ風です(のちのこの曲もリアレンジされMのアルバムに入ります)。

 そして「ポップ・ミューヂック」も当初はテクノポップではありませんでした。


M - Pop Muzik (78 Demo)

 全然違いますね。このアレンジでは大ヒットはしてないでしょうね。このデモを聴いた彼の友人が”シンセサイザー”を使ったらどうかと提案したそうで、それで作品は激変したわけです。

 

 「ポップ・ミューヂック」が大ヒットした1979年。僕は当時中学生でしたが、1980年代という新しい時代への楽観的な予感が確かにありました。当時開発されたシンセサイザーとドラムマシーンが”近未来”をイメージさせるものとして、(主に)少年たちの耳を惹きつけたのです(僕は正直そうでもなかったのですが)。

 日本ではもちろんYMOの大ブレイクがありました。海外ではテクノ・ポップではありませんがバグルスの「ラジオスターの悲劇」が大ヒットしましたし、

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 Mよりもずっと本格的ですが、ゲイリー・ニューマンという人も同時期にブレイクしました。


Gary Numan - Cars

 「ポップ・ミューヂック」は単に安直な一発屋ヒットと思われている節はありますが、ちゃんとその時代の大きな波の先駆けとなり、シンボルにもなった”意味のある”曲なのだと思います。

 そして「ポップ・ミューヂック」の大ブレイクした翌年リリースのアルバム「オフィシャル・シークレット・アクト」は売れ線から一転し、彼の美意識が強く反映されたようなシンセ・ロック的な世界になっています。


M - Official Secrets

 彼は坂本龍一と知り合う機会があったようで、それぞれの最新アルバム(「B2ユニット」「オフィシャル・シークレット・アクト」)を交換しあうとお互い気に入ったようで、一緒に作品を作ることになります。それが坂本の「左うでの夢」です。

 ただし坂本は自分の作品のプロデュースをしてもらうつもりだったが、ロビンのほうは共同名義の作品を作るつもりでいたという話があって、「左うでの夢」の曲を新たにロビン主体で作り直した「The Arrangement」という12インチが作られていたのはそのせいかもしれません。


THE ARRANGEMENT

 

 その後ロビンのその次アルバム「フェイマス・ラスト・ワード」に高橋ユキヒロが参加したりしますが、これといったヒットも生まれないまま彼の活動はトーンダウンしていきます。

 しかし「ポップ・ミューヂック」のほうは、U2がポップマートツアーでこの曲をリミックスして使ったりなど定期的に再評価があり、ロビン・スコットは結局「ポップ・ミューヂック」の人で終わりそうではあります。

 

  彼の最新作は2018年リリースの「Emotional DNA」。基本打ち込みのトラックに合わせてギターを弾いています。ギターの弾き語りでデビューし、テクノポップでブレイクした人ですから、そのちょうど中間のスタイル、なのかもしれませんね。

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  • アーティスト:M.
  • 発売日: 1998/01/05
  • メディア: CD
 

 

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