まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「キャント・ストップ・ザ・フィーリング(Can't Stop The Feeling)」ジャスティン・ティンバーレイク(2016)

 おはようございます。

 今日はジャスティン・ティンバーレイク

 ご存知の通り、今や音楽界だけではなく映画界でも活躍するスーパースターですが、インシンクというグループにいたことを知らない人もそろそろ多くなっているのかもしれません。

 1990年代終わりから2000年代にかけて、バックストリートボーイズのライバルとしてインシンクが活躍したことで、男性アイドル・グループのムーヴメントが何倍ものスケールに拡大したと言って間違いないと思います。

 インシンクはバックストリート・ボーイズのメンバーになれなかったクリス・パークパトリックがバックスのマネージャー、ルー・パールマンに違うグループを作りたいと話したことから生まれました。クリスとルーがメンバーを探して行く中で、ブリトニー・スピアーズも出演していたことのある「ミッキーマウス・クラブ」というTV番組に出ていたジャスティンにも声がかかったわけです。

 そして、インシンクはデビューすることになり、スウェーデンのシェイロン・スタジオに行き、デニス・ポップとマックス・マーティンというバックスのデビュー曲と同じ組み合わせでシングルを作ります。この曲はもともと、バックス用に書かれていたという話もあります。

 


*NSYNC - I Want You Back (Official Video)

 2002年にインシンクが解散し、彼はソロ活動を始めますが、ティンバランドファレル・ウィリアムスのいるネプチューンズなど、R&Bのトップ・プロデューサーたちと組み、自身も制作に深く関わって、アーティスティックな路線を踏み出し、大成功を収めます。

 2016年にその年を代表するヒット曲になったこの「キャント・ストップ・ザ・フィーリング」は、今までのキャリアの中で最も軽快なポップ・ナンバーです。

 これは、彼が声優をやり、エグゼクティヴ・ミュージック・プロデューサーとしても関わったアニメーション映画「トロールズ」の主題歌として作られたからです。映画は妖精たちがE,W&Fの「セプテンバー」を歌うような場面もあって楽しいダンス・ナンバーが求められていました。

 映画「怪盗グルーのミニオン危機一髪」で世界的に大ヒットしたファレルの「ハッピー」は当然意識したんじゃないかと思います。

 しかし、そこでジャスティンは、今までなんども一緒に制作しているファレルではなく、マックス・マーティンにインシンク以来久しぶりに声をかけたわけです。

 マックスは、業界最高の”ヒット請負人”として、様々なビッグ・アーティストのシングル曲の共作者として大きな成果を残しています。ヒットさせるための”魔法のひと振り”が彼にはできるようなのです。

 例えば、僕はこんな映像を見たことがあります。ケイティ・ペリーがプロデューサーのドクター・ルークと一緒に曲を作っていて、だいたい出来上がるのですが、「シングルにするには何か物足りないなあ」ということで、次の日にマックスをスタジオに呼びます。

ギター一本持って現れた彼は、スタジオに入って行きます。どんな魔法が使われたかは謎ですが、その曲は見事に仕上がってヒットするわけです。

 自分である程度曲が書けるアーティストがヒット曲を作るために助けを求める男、という地位を彼は確立させたわけです。

 ジャスティンの場合も、ファレルに頼んじゃ「ハッピー」の二番煎じと言われそうだし、ここはマックスしかいないか〜ということになったんじゃないでしょうか。

 この曲はジャスティン、マックス、そしてマックスの有能な弟子、シェルバックの三人で作っています。デニス・ポップがマックスを育てたように、マックスはシェルバックをヒット・プロデューサーに育てています。 

 

 R&BはHIPHOPに呑み込まれ、その一つのジャンルになったという風に言うひとがいましたが、ロックやポップスでも新しいアーティストでHIPHOPの影響を受けていない人はほぼいないでしょう。クールなトラックにルーブするメロデイを乗せるスタイルが、いまのポップ・ミュージックの王道になっています。80年代のポップスとは全く違う音楽です。ですから、曲をポップにキャッチーにできる人は、気がつくとほとんど残っていない状況になっていました。

 バックスやブリトニー、インシンクなどがブレイクした時代が、今思えばポップス最後の黄金期だったのかもしれません。

   ただし、ポップでキャッチーな曲は、時代の揺り戻しのようなタイミングですが必ず求められます、その時、ポップス最後の黄金期の担い手マックス・マーティンが持つノウハウというのが、とてもレアで価値があるわけです。

  

 

 


Justin Timberlake - CAN'T STOP THE FEELING! (From DreamWorks Animation's "Trolls") (Official Video)

 

CAN'T STOP THE FEELING! (Original Song from DreamWorks Animation's

CAN'T STOP THE FEELING! (Original Song from DreamWorks Animation's "TROLLS")