まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ(I Want It That Way)」バックストリート・ボーイズ(1999)

 おはようございます。

 今日はバックストリート・ボーイズの「アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ」です。

 
Backstreet Boys - I Want It That Way

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You are my fire
The one desire
Believe when I say
I want it that way
But we are two worlds apart
Can't reach to your heart
When you say
That I want it that way


Tell me why
Ain't nothing but a heartache
Tell me why
Ain't nothing but a mistake
Tell me why
I never wanna hear you say
I want it that way


Am I your fire?
Your one desire
Yes, I know it's too late
But I want it that way


Tell me why
Ain't nothing but a heartache
Tell me why
Ain't nothing but a mistake
Tell me why
I never wanna hear you say
I want it that way


Now I can see that we're falling apart
From the way that it used to be, yeah
No matter the distance
I want you to know
That deep down inside of me


You are my fire
The one desire
You are (You are, you are, you are)


Don't wanna hear you say
Ain't nothin' but a heartache
Ain't nothin' but a mistake
(Don't wanna hear you say)
I never wanna hear you say (Oh, yeah)
I want it that way


Tell me why
Ain't nothing but a heartache
Tell me why
Ain't nothing but a mistake
Tell me why
I never wanna hear you say (Don't wanna hear you say)
I want it that way
Tell me why
Ain't nothin' but a heartache
Ain't nothin' but a mistake
Tell me why
I never wanna hear you say (Never wanna hear you say, yeah)
I want it that way

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君は僕の炎
たった一つの欲望
僕が言ったら信じて
僕はそうしたい
だけど、僕たちは2つの世界に離れている
君の心には届かない
君がそんな風にしたいと言うときは

 

教えてほしい
ただ胸が痛いだけさ
教えてほしい
ただの間違いさ
教えて欲しい
僕は君の言うことは聞きたくない
そうしたいんだ


僕は君の炎なの?
君のたった一つの望みなの?
そうさ、もう手遅れなのはわかってる
だけど、ぼくはそうしたいのさ


教えてほしい
ただ胸が痛いだけさ
教えてほしい
ただの間違いさ
教えて欲しい
僕は君の言うことは聞きたくない
そうしたいんだ


今、二人はバラバラになっているのがわかるんだ
昔のようにはいかないんだよね
どんなに離れていても
知っていてほしいんだ
僕の心の奥底にあるものを


君は僕の炎
たった一つの欲望
君は、、、
たった一つの欲望
君は、、、

 

君の言うことは聞きたくない
ただ心が痛むだけ
ただの間違いでしかない
僕は君の言葉を聞きたくない 
そうしたいんだ

教えてほしい
ただ胸が痛いだけさ
教えてほしい
ただの間違いさ
教えて欲しい
僕は君の言うことは聞きたくない
そうしたいんだ

 

            (拙訳)

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   1990年代中頃、僕はレコード会社で洋楽の仕事をしていたときに、彼らの所属するレーベル、ゾンバの本社の役員が行う、日本のレーベルへのプレゼンテーションに参加したことがありました。バックストリート・ボーイズのデビューするタイミングだったのですが、とにかく最初から最後まで彼らの話ばかりで、絶対に世界的なスターにするんだと自信満々に語っていたのをおぼえています。

 

 その何年か前に日本でもヒットしたニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックみたいなものか、と僕は思ったのですが、二番煎じにしてはけっこう時間が立っちゃっているし、本当に売れるの?その自身は一体どこから来るんだろう?とさえ、正直思いました。

 

 ところが、それから数年たって、彼らはものすごいブレイクをしたわけです。しかも、彼らだけじゃなく、いくつも同様なグループが現れて、男子アイドルグループの大きなブームにまで巻起こすことになりました。

 

 彼らはフロリダ州オーランドで結成され、そこで活動しながらメジャーレーベルに売り込んでいくなかで、ゾンバのトップが彼らのライヴを見て気に入って契約しました。

 彼らのプロデューサーの一人に選ばれたのがスウェーデンのデニス・ポップです。彼はエイス・オブ・ベースを世界的にヒットさせた人です。


Ace of Base - The Sign (Official Music Video)

 当時デニスは、自分のスタジオでエンジニア兼ソングライターとしてマックス・マーティンという若者を雇い、自分のノウハウを教えながら、曲を書かせたり、共同プロデューサーとしてエイス・オブ・ベイスの仕事をさせたりしていました。

 (ちなみにマックス・マーティンというのはデニスが勝手につけたペンネームで、本人に確認もせずにCDにクレジットされたのでそのまま使うようになったらしいです。)

 バックストリート・ボーイズのデビュー曲でも、彼はマックスとの共作、共同プロデュースという形で制作を行いました。

 

 この当時、ニュー・エディション、ボーイズⅡメン、ブラックストリートなど、黒人ボーカルグループが大人気だったので、そのスタイルをよりポップにわかりやすくする白人のグループでやるというコンセプトはっきりあったのだと思います。

 このブログでも書きましたが、ロックンロールでもディスコでも、

 黒人音楽を白人がポップに加工する

 という歴史がポップ・ミュージックを作ってきました。ここでもそれが踏襲されているわけです。

 彼らのデビュー曲「ゴーイン・オン」は、黒人グループ、ベル・ビヴ・デヴォーなどの感じをよりポップにしたものでした。

 そんな中、デニスは食道がんで仕事ができなくなり1998年に亡くなってしまいます。まだ35歳でした。マックス・マーティンは彼の遺志を引き継ぐように、バックスの仕事を続けていきます。

 スウェーデン産のサウンドの親和性もあったのでしょうか、彼らは、アメリカじゃなくヨーロッパで先にブレイクします。

 そして、アメリカでも遅れてブレイクしたのですが、最初にヒットしたのは「クィット・プレイング・ゲームズ」というマックスが共作、共同プロデュースしたミドルテンポのポップ・バラードでした。

 


Backstreet Boys - Quit Playing Games (With My Heart) (Official Music Video)

  

 黒人グループ系のダンス・ナンバーじゃなく、爽やかなミドルテンポのポップスに、彼らの”ヒットの鉱脈”があったわけですね。

  そして、その流れの中でマックスが再び作り出したのが、彼らの代名詞ともいえる大ヒット曲「アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ」だったのです。

 恩人にして師匠であるデニスの突然の死という不幸を大きな契機として、マックス・マーティンというクリエイターは大きく飛躍したわけですね。

 

 そして、この曲のヒットは、ボーイズ・グループ・ブームを生み出し、マックス・マーティンをはじめとするスウェーデンのプロデューサーたちに、アメリカのアーティストが曲やプロデュースをどんどん依頼するきっかけになったわけです。

 

 

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