まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ベイビー・ワン・モア・タイム(,,,Baby One More Time)」ブリトニー・スピアーズ(1998)

 おはようございます。

 昨日取り上げたバックストリート・ボーイズを大ヒットさせた、ソングライター、プロデューサーのマックス・マーティン。現在までに全米NO.1ヒットを22曲も書いていて、ソングライターとしてはレノン、マッカートニーに次いで史上3位だといいます。

 レノン、マッカートニーはアーティストですから、職業作曲家としては1位、その彼の初めてのNO.1シングルがこの曲でした。

 とてもキャッチーなダンスナンバーですが、歌詞にもインパクトがあります。

   “Hit Me Baby, One More Time"

 16歳の女の子のデビュー・シングルで、もう一回私をぶって、ですから。反響が巻き起こって、またたくまに注目を集めるきっかけにもなりました。マーティンはHit Meはスラングの「連絡して」みたいな意図で使ったらしいですが、世間の多くは、ぶって、と文字通りに受け取ったわけです。

 マーティンはスウェーデン人で、英語のネイティヴではないので、こういう歌詞の微妙な誤解というのが起こりがちだったみたいです。

 

 ちなみに、こういう”Hit Me"騒動(?)は1960年代にもありました。

 歌っているのはクリスタルズ。書いたのは、キャロル・キングとジェリー・ゴフィン。プロデューサーは、このブログの常連、フィル・スペクターです。


The Crystals - He Hit Me (And It Felt Like A Kiss)

 こっちは、「ロコモーション」でスターになったリトル・エヴァがキャロルとジェリーのベビーシッター時代に、本当に彼氏から暴力を振るわれているという話を聴いてできた曲だったそうです。

 

popups.hatenablog.com

  当初、TLCのために書いたらしいですが、メンバーがやはり”Hit Me”というフレーズに抵抗感があったため採用されなかったようです。

 それで、マックスはこの曲をバックストリートボーイズのレーベルに預けます。

 そして、新人のブリトニーが気に入って歌うことになったときに、若い彼女に会うサウンドに新たにアレンジを変えたわけです。

 日本のヒットチャートはアイドルがいつも賑わせていますが、アメリカでは滅多にそういうことは起こりません。しかも十代の女の子なんて本当にレアです。

 

 それには、YouTubeによるPV視聴が、プロモーションの中心になっていったという時代の変化も大変大きな要素だったと思います。

 

 日本ではずっと昔から、TVが音楽のプロモーションの主役でしたので、若くてルックスがいいアイドルというのは、常に人気があったわけですが、アメリカの場合は80年代にMTVが始まったことでで流れは変わりましたが、全国的にはやはりラジオもパワーがあったわけです。そこで、ネットでPVが気楽に何度でも見れるようになると、ティーンがアイドルたちに群がるということが起こり始めたわけです。

 その先駆けがバックストリート・ボーイズやブリトニーだったわけで、90年代終わりの洋楽のアイドルブームというのは、インターネット抜きでは成立しなかったものなのでしょう。

 

 ブリトニーは紆余曲折ありながら、セクシーな路線で21世紀の歌姫として君臨しています。そして、今思えば、彼女のデビュー時にマックスが何気なく使った”Hit Me"のイメージがそのまま拡大していたような気がして、海外でも”言霊”ってあるんだなあ、などと思ってしまいました。

 


Britney Spears - ...Baby One More Time

 

...Baby One More Time

...Baby One More Time