まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ドント・ウォーリー・ベイビー(Don't Worry Baby)」ザ・ビーチ・ボーイズ(1964)

 おはようございます。

 今日はビーチ・ボーイズの「ドント・ウォーリー・ベイビー」です。

www.youtube.com

************************************************************

Well, it's been building up inside of me for
Oh, I don't know how long
I don't know why, but I keep thinking
Something's bound to go wrong
But she looks in my eyes
And makes me realize

And she says (Don't worry baby)
"Don't worry baby
(Don't worry baby)
Everything will turn out alright"
(Don't worry baby)
Don't worry baby
(Don't worry baby)

I guess I should've kept my mouth shut
When I started to brag about my car
But I can't back down now because
I pushed the other guys too far
She makes me come alive
And makes me wanna drive

When she says (Don't worry baby)
"Don't worry baby
(Don't worry baby)
Everything will turn out alright"
(Don't worry baby)
Don't worry baby
(Don't worry baby)

She told me "Baby, when you race today
Just take along my love with you
And if you knew how much I loved you
Baby, nothing could go wrong with you"
Oh, what she does to me
When she makes love to me

And she says (Don't worry baby)
"Don't worry baby
(Don't worry baby)
Everything will turn out alright"
(Don't worry baby)
Don't worry baby
(Don't worry baby)
Everything will turn out alright
(Don't worry baby)
Don't worry baby
(Don't worry baby)

************************************************************

僕の心の中でずっと積み重なってきたんだ
どのくらいの間かはわからないけど
なぜかわからないけど考え続けている
何かがうまくいかなくなりそうだって
だけど、彼女は僕の目をのぞきこんで
気づかせてくれる

そして、彼女は言うんだ
心配しないで、ベイビー
心配しないで、ベイビー
すべてうまくいくわ
心配しないで、ベイビー
心配しないで、ベイビー

僕は口を閉じるべきだったね
自分の車を自慢し始めた時に
だけど、もう後には引けないよ、だって
僕は他の男たちを追い詰めすぎた
彼女は僕を元気にさせてくれる
そして車を走らせたくなるんだ

彼女がこう言うときにね
心配しないで、ベイビー
心配しないで、ベイビー
すべてうまくいくわ
心配しないで、ベイビー
心配しないで、ベイビー


彼女は僕に言うんだ"ベイビー、今日レースするときは
私の愛を持って行ってね
私がどれだけあなたを愛しているか知っていれば
ベイビー、あなたには悪いことはおきないわ"
ああ、彼女が僕にしてくれること
彼女が僕を愛ししてくれるとき

そして、彼女は言うんだ
心配しないで、ベイビー
心配しないで、ベイビー
すべてうまくいくわ
心配しないで、ベイビー
心配しないで、ベイビー、、、

                    (拙訳)

************************************************************

 「<アイ・ゲット・アラウンド>のB面は、ぼくがそれまでに書いた曲の中でもベストのひとつ、<ドント・ウォーリー・ベイビー>だ。フィル・スペクターのことを思いながら書いた曲だよ。

 ぼくとしては、この曲は<ビー・マイ・ベイビー>に続くシングルとしてロニー・スペクターが歌ってくれたらいいなと思ってたけど、フィル・スペクターがその気にならなかった」

 (「ブライアン・ウィルソン自伝」)

 

 全盛期のビーチ・ボーイズの歌のテーマは大きく2種類ありました。

 ひとつはもちろん、サーフ・ソング、もうひとつは車の歌、ホット・ロッド・ソングでした。

「サーフ・ソングは、海に行って、お日様をあびて、波に乗り、女の子たちを眺める歌。ホット・ロッド・ソングでは友だちと車に乗りこんで、トップスピードでドライヴして、ハンバーガーを食べて、女の子たちを眺める」

 (「ブライアン・ウィルソン自伝」)

 今の時代からすると、なんて能天気な時代なんだって思ってしまいますが、こういう文化に憧れて若い頃真似っこしていた人が、今の60〜70代のじいさんたち(失礼!)の中にたくさんいたわけですね。

 

 彼女から”心配しないでいいのよ、ベイビー”と言われるラブソングではあるのですが、歌詞を読むと主人公は車を自慢し、レースに出ようとしているので、ホットロッド・ソングになっています。

 しかし、ただ車をぶっ飛ばそうぜ!というのではなく、ティーンエイジャーの恋人同士のナイーヴな空気感を、奇跡的に音楽として再現することができた、ホットロッド・ソングの枠を超えた楽曲になっています。

 ビーチ・ボーイズのホット・ロッド・ソングの歌詞を多く書いているのがロジャー・クリスチャンという人で、この曲も彼が歌詞を書いています。

 彼はもともとラジオのパーソナリティで、カーレースにも参加していて車に詳しかったようです。

 ある夜、彼が放送でリスナーに対しビーチ・ボーイズのヒット曲「409」を説明しているのを聞いたビーチ・ボーイズ3兄弟の父親であり、マネージャーでもあるマリー・ウィルソンはクリスチャンに会い、その後にブライアンに会わせたそうです。クリスチャンの車に関する詩を読んだブライアンは彼と曲を一緒に書くことにしました。

 

 例えば、こんな曲があります。「リトル・デュース・クーペ」(1963年全米15位)

www.youtube.com

 

 ブライアンはこの曲をロニー・スペクターに歌ってほしいと実際にフィル・スペクターに提案したようですが、ロニー・スペクターによると曲の版権をブライアンが持っていることを理由にフィルは拒否してしまったそうです。

 この頃、ブライアンはフィルのスタジオに遊びに行って、ロニーとも顔見知りだったようです。

 そして、ロニー・スペクターがカバーし、この曲は彼女にぴったりだったことを証明します。しかし、リリースされたのは1999年ですから35年も経っていました。プロデュースは、やはりフィル・スペクターにプロデュースされた経験のあるラモーンズのジョーイ・ラモーンでした。

www.youtube.com

  

 この曲はホット・ロッド・ソングとかフィル・スペクターなど関係なく、大変に優れたポップ・ソングとして、ビーチ・ボーイズの代表曲になり、カバー・ヴァージョンも数多く生まれています。

 

 1972年山下達郎の最初の作品として有名な「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」。この曲をカバーした作品としてもかなり早い方です。今の時代から見れば、ビーチ・ボーイズの有名曲をやっているなと思ってしまいますが、当時の日本としたらけっこうマイナーな曲だったはずです。

www.youtube.com

 ザ・フーキース・ムーンもカバーしています(1974年)。スペクター・サウンドをガレージ・パンクっぽくやるパターンはあるのですが、このカバーはそのハシリだっやかもしれません。

www.youtube.com

 

 やはり、ロニー・スペクターが歌うことをイメージして「さよならハリウッド」を書いたビリー・ジョエルが、この曲をカバーするのは必然?

www.youtube.com

 この曲のカバーとしてのクオリティということではやはりこちらがいいですね。B.Jトーマス、1977年に全米17位まであがりました。プロデュースはAORやCCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)ファンには有名なクリス・クリスチャン。

www.youtube.com

f:id:KatsumiHori:20210809144054j:plain