おはようございます。
今日はビーチ・ボーイズの「リトル・セイント・ニック」です。
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Merry Christmas Saint Nick
Christmas comes this time each year
Well, way up north where the air gets cold
There's a tale about Christmas that you've all been told
And a real famous cat all dressed up in red
And he spends the whole year working out on his sled
It's the little Saint Nick It's the little Saint Nick
Just a little bobsled we call it old Saint Nick
But she'll walk a toboggan with a four speed stick
She's candy-apple red with a ski for a wheel
And when Santa hits the gas, man, just watch her peel
It's the little Saint Nick It's the little Saint Nick
Run, run, reindeer Run, run, reindeer
Run, run, reindeer Run, run, reindeer
He don't miss no one
And hauling through the snow at a frightening speed
With a half a dozen deer with Rudy to lead
He's gotta wear his goggles because the snow really flies
And he's cruising every pad with a little surprise
It's the little Saint Nick It's the little Saint Nick
Ohh, Merry Christmas Saint Nick
Christmas comes this time each year
Ohh, Merry Christmas Saint Nick
Christmas comes this time each year、、、
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メリー・クリスマス セント・ニック
毎年この季節に クリスマスがやってくる
さて、空気が冷たくなるずっと北の方では
クリスマスにまつわる話があって、みんなも聞いたことがあるね
全身赤い服の本当に有名なヤツ
そして彼は一年中ソリで体を鍛えているんだ
それがリトル・セイント・ニック
それがリトル・セイント・ニック
僕らがオールド・セント・ニックと呼ぶ、ただのかわいいボブスレー
だけど、彼女は4速ギアでトボガン橇みたいに坂を滑ってゆくんだ
りんご飴みたいな赤で、車輪の代わりにスキーがついている
サンタがアクセルを踏んだら、急発進さ
それがリトル・セイント・ニック
それがリトル・セイント・ニック
走れ 走れ トナカイ 走れ 走れ トナカイ
走れ 走れ トナカイ 走れ 走れ トナカイ
彼はみんなのことをおぼえているよ
恐ろしいほどのスピードで雪をかき分ける
6頭のトナカイで、先導するのはルディ
雪が飛んでくるからゴーグルをつけて
そして、ささやかなサプライズを運んで
あらゆる小道を進むのさ
それがリトル・セイント・ニック
それがリトル・セイント・ニック
メリークリスマス セイント・ニック
毎年この季節にクリスマスがやってくる
メリークリスマス セイント・ニック
毎年この季節にクリスマスがやってくる、、、
(拙訳)
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セイント・ニック(Saint Nick)とは聖ニコラス、サンタクロースのことです。そして、この歌に出てくる”リトル・セイント・ニック”はサンタクロースが乗るソリの名前なんですね。
ビーチ・ボーイズといえばサーフ・ミュージックで有名ですが、もうひとつ”ホット・ロッド”というカスタム・カーを主役にした曲も彼らの大きな売りでした。
なかでも「リトル・デュース・クーペ(Little Deuce Coupe)」というヒット曲があって、1932年製のフォード・クーペのことを歌っています。ちなみに、Deuceは数字の2をさして、製造年の末尾を表すそうです。
”Just a little deuce coupe With a flat head mill But she'll walk a Thunderbird like”
(フラット・ヘッド・エンジンを載せた ただのかわいいフォード・クーペ だけど、彼女はサンダーバードのように走るんだ)
という歌詞がありますが、この「リトル・セイント・ニック」ではこうなります。
"Just a little bobsled we call it old Saint Nick But she'll walk a toboggan with a four speed stick "
(僕らがオールド・セント・ニックと呼ぶ、ただのかわいいボブスレー
だけど、彼女は4速ギアでトボガン橇みたいに坂を滑ってゆくんだ)
自分の愛車に対して、彼女のように愛情を込めて”リトル”をつけ、人称代名詞は"She"を使う、そういう設定をそのままサンタのソリにあてはめているわけです。
それから、「リトル・デュース・クーペ」は「リトル・セイント・ニック」のわずか5ヶ月前に発売されていて、作った時期が近いんですよね。なので、テーマや歌詞だけじゃなく、曲の構成や一部コード進行も、ブライアン・ウィルソンが意図的に流用したようなところが見受けられます。
などといろいろ思いを巡らせながら、「ブライアン・ウィルソン自伝」をペラペラめくっていたら、ブライアン本人があっさり認めている言葉がありました。
”<リトル・セイント・ニック>は<リトル・デュース・クーペ>のクリスマス向けヴァージョンだった”
それから、この曲を録音したのが1963年10月頃と言われていますが、ちょうどこの頃、ブライアン・ウィルソンが最も敬愛するフィル・スペクターが「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター」をレコーディングしています。
彼はフィルのレコーディング・スタジオにも顔を出して「サンタが町にやってくる」でピアノも弾いたそうですが、その演奏はフィルに却下されてしまったそうです。
しかし、憧れのフィル・スペクターのクリスマス・ソングのレコーディング現場に立ち会ったことで、彼もクリスマス・ソングを書こうと考えたんじゃないかと思います。
また、この「リトル・セイント・ニック」は翌1964年に発売された「ザ・ビーチ・ボーイズ・クリスマス・アルバム」に新たなミックスで収録されています。
そのアルバムから1曲、テキサス州出身のシンガー、俳優のドーイ・オデルが最初に歌い、エルヴィス・プレスリーが大ヒットさせた「ブルー・クリスマス」を。
さて、最後に「リトル・セイント・ニック」の再演ヴァージョンを。2005年のブライアン・ウィルソンのクリスマス・アルバム「What I Really Want for Christmas 」に収録されているものです。