まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「イタリアン・レストランで (Scenes from an Italian Restaurant) 」ビリー・ジョエル(1977)

 おはようございます。

 今日はビリー・ジョエルの「イタリアン・レストランにて」です。

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A bottle of white, a bottle of red
Perhaps a bottle of rosé instead
We'll get a table near the street
In our old familiar place
You and I, face to face, mmm
A bottle of red, a bottle of white
It all depends upon your appetite
I'll meet you any time you want
In our Italian restaurant


Things are okay with me these days
Got a good job, got a good office
Got a new wife, got a new life
And the family is fine
Oh, lost touch long ago
You lost weight, I did not know
You could ever look so nice
After so much time


You remember those days
Hanging out at the Village Green?
Engineer boots, leather jackets
And tight blue jeans
Oh, you drop a dime in the box
Play the song about New Orleans
Cold beer, hot lights
My sweet romantic teenage nights

 

Brenda and Eddie were the popular steadies
And the king and the queen of the prom
Riding around with the car top down
And the radio on
Nobody looked any finer
Or was more of a hit at the Parkway Diner
We never knew we could want
More than that out of life
Surely Brenda and Eddie
Would always know how to survive


Brenda and Eddie were still going steady
In the summer of '75
When they decided their marriage
Should be at the end of July
Everyone said they were crazy
"Brenda you know that you're much too lazy
And Eddie could never afford
To live that kind of life."
Oh but there we were waving
Brenda and Eddie goodbye

 

Well, they got an apartment
With deep pile carpets
And a couple of paintings from Sears
A big waterbed that they
Bought with the bread
They had saved for a couple of years
They started to fight
When the money got tight
And they just didn't count on the tears


Well, they lived for a while in a very nice style
But it's always the same in the end
They got a divorce as a matter of course
And they parted the closest of friends
Then the king and the queen
Went back to the green
But you can never go back there again


Brenda and Eddie had had it already
By the summer of '75
From the high to the low
To the end of the show
For the rest of their lives
They couldn't go back to the Greasers
The best they could do
Was pick up their pieces
We always knew they would
Both find a way to get by
And that's all I heard about Brenda and Eddie
Can't tell you more 'cause I told you already
And here we are waving
Brenda and Eddie goodbye


Bottle of red, bottle of white
Whatever kind of mood you're in tonight
I'll meet you anytime you want
In our Italian restaurant

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ボトルの白ワイン、赤ワイン
代わりにロゼがいいかな
通りに近いテーブルにしよう
昔なじみの店の
君と僕、向かい合って、
ボトルの赤、ボトルの白
それは君の食欲次第さ
いつでも君が好きなときに会おうよ
僕らの好きなイタリアン・レストランで


最近、僕はいい感じなんだ
いい仕事に いいオフィス
新しい奥さんもいて、新しい人生が始まったのさ
家族も元気だよ
ああ、本当に久しぶり
君はやせたね  知らなかったよ
君は今もとても素敵さ
長い時間がたっても

 

あの頃を覚えているかな
ビレッジグリーンでぶらぶらしただろ?
エンジニア・ブーツに、レザー・ジャケット
それにタイトなブルージーンズ
ああ、ジュークボックスに10セント入れて
ニュー・オリンズの曲をかけて
冷えたビール、照明は熱くて
僕の甘くロマンチックな10代の夜さ

 

ブレンダとエディーはみんな知ってるカップルだった
プロムのキングとクイーンさ
車の幌を下して走り回っていたよ
ラジオを鳴らして
誰よりもイカしてた
パークウェイ・ダイナーの人気者だった
人生でそれ以上のことは望めるなんて
僕らには思えなかった
間違いなくブレンダとエディーは
うまく生きる方法を知っていたのさ


ブレンダとエディはまだ付き合っていた
1975年の夏
7月の終わりに、二人が結婚を決めたとき
誰もが二人はクレイジーだと言った
"ブレンダ......君はあまりにもいい加減すぎる
エディーにはそんな生活ができる余裕はないよ”
だけど、僕たちは
ブレンダとエディーに手を振ることになったんだ

 

彼らはふかふかのカーペットを敷いた
アパートを手に入れ
シアーズで買ったいくつかの絵画と
大きなウォーターベッドを
数年かけて貯めた金で買ったんだ
二人がお金に困ると、喧嘩が始まった
そして、彼らにはもう涙もあてにできなかったんだ


彼らはしばらくは、とてもいいスタイルで暮らしていた
でも、最後はいつだって同じ
当然の結果として、彼らは離婚して
最も親しい友だちとも疎遠になった
そしてキングとクイーンは田舎に帰ったのさ
だけど、もう二度とあの日々に戻ることはできない


ブレンダとエディーは
75年の夏までに全て味わったのさ
絶頂からどん底へ ショーの終わりまで
彼らの残りの人生
グリースできめてた仲間たちに戻ることはできなかった。
彼らができることは、自分たちのかけらを拾い集めること
僕たちがいつだってわかっていたように
二人ともなんとかやってゆく方法を見つけたんだ
ブレンダとエディーについて僕が知っているのはそれだけ
全部話したから、これ以上言うことはない
そして、ここで
ブレンダとエディーに別れの手を振るのさ


ボトルの赤、ボトルの白
今夜、君の気分に合わせればいい
いつでも好きなときに会おうよ
僕らの好きなイタリアンレストランで

                 (拙訳)

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 ネタ元を忘れてしまいましたが(すみません!)、ビリー・ジョエルが自分の作ったものの中で好きな曲としてあげ、ローリングストーン誌が選ぶ史上最高の500曲にもランクインするなど、発表された時以上に評価が高まってきているのが、この「イタリアン・レストランで」です。

 

 組曲の形式をとりながら、最後まで飽きさせることなく楽しめる、いかにも彼の創作の才能が一気に花開いていった時代を象徴するような曲だと僕は思います。

 

 

「あの歌には、誰もが知っている、いわば典型的なカップルが登場するんですが、永遠の疑問をあえて取り上げてみたかったんです。あの似合いのカップルのカップルに何が起こったのか。あまりに早く絶頂期を迎えてしまうとね、要するに高校時代に頂点に立ってしまうと、まず間違いなく早い段階でつまずいてしまうんです。当初はタイトルも『ブレンダとエディのバラード』だったんですが、もう少し見栄えのいい設定にしようって思ったんですよ」

 (「イノセントマン ビリー・ジョエル100時間インタヴューズ」)

 

「僕はビートルズの「アビーロード」のB面がいつだって大好きなんだ。あの素晴らしい曲の流れはジョージ・マーティンの手腕によるものだ。”イタリアン・レストランで”はかなり影響を受けているよ」

 (「ストレンジャー」30周年記念盤 DVD「The Making of The Stranger」)

 

 彼が「ブレンダとエディのバラード」を書いている同じ時期に別の曲を思いつきます。

「久しぶりに会ったカップルをテーマにした別の断片的なストーリーを思いついたんです。赤ワイン、そして白ワイン。それだけなんだけど、古いイタリアン・レストランが舞台なんです。それがいつの間にかつながっていって」

(「イノセントマン ビリー・ジョエル100時間インタヴューズ」)

 

 もともと別の曲だったのを、「アビーロード」のB面のようにつなげていくことで、この曲が出来上がっていったわけです。

 

   そして物語は彼自身が生まれ育った場所を背景に描かれています。

”They couldn't go back to the Greasers”という歌詞の「The Greasers」とは、髪をグリースでオールバックにして、レザージャケットにタイトなブルージーンズでキメていた労働者階級の若者のスタイル。1950年代から60年代前半にかけてNYなど都会を中心に流行したサブカルチャーのことでした。ビリー・ジョエルがその一派だったかどうかはわかりませんんが、身近な存在だったのでしょう。

 ちなみに「The Greasers」が出てくる有名な映画としてはフランシス・フォード・コッポラ監督の1983年の「アウトサイダー」の主人公たちがそうでした。マット・ディロントム・クルーズパトリック・スウェイジロブ・ロウエミリオ・エステベスとか今考えるとすごいメンツが集まっていましたね。

 

 それから、この「イタリアン・レストランで」は、ビリーが実在するレストランを想定して書いたそうで、ニューヨークのカーネギー・ホールの向かいにあった「Fontana di Trevi」(”トレビの泉”のことですね)という店だったそうです。

 今はそこにはないそうなので、移転したのかもしれません。ちなみに、冒頭で紹介したこの曲のMVではレストランの名前が「CACCIATRE'S」になっていますが、これはビリー・ジョエルの「ムーヴィン・アウト」で”サージェント・オリアリー”が働いていた店の名前ですね。

 

 ビリー・ジョエルのライヴ動画を最後に。1983年の「 Live from Long Island」から。

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