まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ビゲスト・パート・オブ・ミー(Biggest Part Of Me)」アンブロージア(1980)

 おはようございます。

今日はアンブロージアの「ビゲスト・パート・オブ・ミー」です。


Ambrosia - Biggest Part of Me (HQ)

(Sunrise) There's a new sun a-risin'
(In your eyes) I can see a new horizon
(Realize) That will keep me realizin'
You're the biggest part of me
(Stay the night) Need your lovin' here beside me
(Shine a light) Need you close enough to guide me
(All my life) I've been hopin' you would find me
You're the biggest part of me

 

Well, make a wish, baby
Well, and I will make it come true
Make a list, baby
Of the things I'll do for you
Ain't no risk, now
In lettin' my love rain down on you
So we could wash away the past
So that we may start anew


(Rainbow) Risin' over my shoulder
(Love flows) Gettin' better as we're older
(All I know) All I wanna do is hold her
She's the life that breathes in me
(Forever) Got a feelin' that forever
(Together) We are gonna stay together
(Forever) For me, there's nothin' better
You're biggest part of me


Hey, make a wish, baby (Wish and it will come true)
Well, and I will make it come true
Make a list, baby (Make a list of the things for you)
Of the things I'll do for you
Ain't no risk, now (Let it rain on you)
In lettin' my love rain down on you
So we could wash away the past (Wash)
So that we may start anew


More than an easy feelin', she brings joy to me
How can I tell you what it means to me?
Flow like a lazy river for an eternity
I've finally found someone who believes in me
(Who believes, who believes in me)
And I'll never leave, oh
(Now I've found all I need)


Oh, la-tee-da, now
Mmm, make life grand


Make a wish, baby (Wish and it will come true)
Oh, and I will make it come true
Make a list, baby (Make a list of the things for you)
Of the things I'll do for you
Ain't no risk, now (Let it rain on you)
In lettin' my love rain down on you
So we could wash away the past (Wash)
So that we may start anew, yeah, yeah,


(Beside me) Need your lovin' here beside me
(To guide me) Keep it close enough to guide me
(Inside of me) From the fears that are inside of me
You're the biggest part of me
(Forever) Got a feeling that forever
(Together) We are gonna stay together
(Forever) From now until forever
You're the biggest part of me
You're the life that breathes in me
You're the biggest part
Of me, 

You changed my life
You made it right
And I'll be a servant to you
For the rest of my life
baby, you're the biggest part of me...

***********************************************************************

(朝日が) 新しい太陽が昇る
(君の瞳に)新しい地平線が見える
(気づくんだ) それは僕に気づかせ続けてくれる
君が僕にとって一番大きな存在だと
(夜を一緒に) 僕のそばで君に愛がほしいんだ
(光を照らして) 僕を導けるほど近くにいて欲しい
(僕の人生で) 君が僕を見つけてくれるのをずっと願っていた
君が僕にとって一番大きな存在なんだ

 

さあ、願いごとをしよう、ベイビー
そして僕はそれを実現させるんだ
リストを作ろう、ベイビー
僕が君のためにすることの
リスクはないさ 今なら
僕の愛の雨を君に降り注いで
そうすれば 過去を洗い流せるように
そうすれば 僕たちは新しく始めることができる

 

(虹が)僕の肩越しにのぼってゆく
(愛は流れ)歳を重ねるごとに良くなっていく
(僕にわかることは)彼女を抱きしめたいということだけ
(永遠に)永遠に感じていたい
(一緒に) 僕たちは一緒にいよう
(永遠に)僕にとって、これ以上のものはないんだ

 君が僕にとって一番大きな存在なんだ

 

さあ、願いごとをしよう、ベイビー
そして僕はそれを実現させるんだ
リストを作ろう、ベイビー
僕が君のためにすることの
リスクはないさ 今なら
僕の愛の雨を君に降り注いで
そうすれば 過去を洗い流せるように
そうすれば 僕たちは新しく始めることができる

 

安らぎよりももっと、彼女は僕に喜びを与えてくれる
それが僕にとってどんなものか 君にどう伝えたらいいんだろう?
ゆったりとした川のように流れ続けるんだ 永遠に
僕を信じてくれる人にやっと出会えた
(僕を信じる者、僕のことを信じる者)
そして、僕は決して離れない
(これで、必要なものは全て見つけたのさ)

 

人生を大きくしてくれる、、

 

さあ、願いごとをしよう、ベイビー
そして僕はそれを実現させるんだ
リストを作ろう、ベイビー
僕が君のためにすることの
リスクはないさ 今なら
僕の愛の雨を君に降り注いで
そうすれば 過去を洗い流せるように
そうすれば 僕たちは新しく始めることができる

 

(僕のそばで) 僕のそばに君に愛が必要なんだ
(僕を導くために)僕を導けるようにそばにいてほしい
(僕の中にある)僕の中にある不安から
君は私の中で一番大きな存在です
(永遠に) 永遠に感じ続けよう
(一緒に) 僕たちは一緒にいよう
(永遠に)これから先、永遠に
君は僕にとって一番大きな存在なんだ
君は僕の中に息づいている命
君が僕にとって一番大きな存在なんだ

 

君は僕の人生を変えた
それを正しいものにした
そして、僕は君に仕えよう
これからの人生を
ベイビー、君が僕にとって一番大きな存在なんだ、、、(拙訳)

***********************************************************************

 

 アンブロージアは1970年代にアメリカ、ロサンゼルスで結成されたバンドです。アンブロージアとは”神々の食物”の意で、そこから転じてアンブロージアという伝統のあるフルーツ・サラダもあるのだそうです。

 

 彼らはもともとプログレッシヴ・ロック(昔はプログレで通じたんですが、いまはどういうロックと説明すればいいでしょう?)をやっていましたが、アメリカ西海岸のバンドらしく、ビーチ・ボーイズやクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングに影響を受けたコーラス・ワークも得意としていました。

 

 デビューは1975年、アルバム「アンブロージア(Ambrosia)」からは「涙のイエスタデイ(Hold On To Yesterday)」が全米17位のヒットになっています。

www.youtube.com

 曲を書いたのはメンバーのデヴィッド・パックとジョー・プエルタ。バンドでは主にこの二人が曲を書きヴォーカルをとっています。ちなみに、プエルタは1980年代にはブルース・ホーンズビー・アンド・ザ・レインジのベーシストとして活躍しています。

 ちなみにアルバムのエンジニアはアラン・パーソンズピンク・フロイドなどプログレの名手であったことから指名されたのでしょう。

翌年リリースのセカンド「ピラミッドの伝説(Somewhere I've Never Travelled)」 (1976年)ではアランがプロデュースも手がけています。

 またファーストとセカンドの間にはビートルズ・ナンバーのカバーを使ったドキュメンタリー映画「映画と実録でつづる第二次世界大戦(All This and World War II)」で彼らは「マジカル・ミステリー・ツアー」を演奏しています。

www.youtube.com

”メロディックプログレ”と評される彼ららしいカバーですね。

 

そして、彼らが本格的にブレイクしたのが1978年のアルバム「遥かなるロスの灯(Life Beyond L.A)」。シングル「お前に夢中(How Much I Feel)」が全米3位の大ヒットになります。

www.youtube.com

 ソングライティングとヴォーカルはデヴィッド・パック。バンドで複数のメンバーが曲を書いたり、ヴォーカルもとれるバンドの多くがヒットが出ることにより、その曲を手がけたメンバーにスポットライトがあたってしまうという流れが必ずあるものですが、アンブロージアもそうだったわけですね。

 

 そして、1980年にやはりデヴィッドが書き歌ったこの「ビゲスト・パート・オブ・ミー」が全米3位の大ヒットになりました。

 

 デヴィッドはこう回想しています。

「1979年の7月4日のことさ。マリブで開催される7月4日のお祝いに行くために、家族が車に乗るのを待っていたんだ。みんな、あまりに時間がかかっていて、僕はスタジオに機材を全部置いてきてしまったことに気づいて、スタジオに戻って、どういうわけかピアノの前に座ると、コードが浮かんだんだ。」

 そして、テープレコーダーの電源を入れ、コードとメロディーを文字通り5分から10分で書き上げました。歌詞のかなりの部分は、なんとなく出てきたのだそうです。

 

”人生でずっと待っていたものが、ぽろっと飛び出して来た感じ”だったと彼は言います。

 

 ただし、歌詞はグリーティング・カードのメッセージみたいなありふれたものだと感じた彼は、マイケル・マクドナルドに依頼することにします。この頃、アンブロージアはドゥービー・ブラザーズと一緒にツアーを回っていたんですね。

 マイケルはこの曲を聴いた時にこの歌詞のおかげでヒットになる、と言ったそうですがデヴィッドは納得せず、マイケルに書き直しを頼みます。

 しかし彼から4カ月半も返事はなく、曲はミックスされ発売されてしまいました。そして、曲は一気にTOP40入りします。

 

「夜中の2時くらいにマイケル・マクドナルドから電話がかかってきたんだ。彼は”ヘイ、デヴィッド、君が作っていた曲おぼえてるよね... この曲を <The Heart, it's the Weakest Part of Me>というタイトルにしよう”。僕は言ったよ「おお、いいアイデアだけど、知ってる?先週シングルとして発売されて、一気に40位なんだ。" 彼はこう言ったよ”ほら、あれはヒットするって言っただろ!”(笑)」

(THE TENNESSEAN       July 11    2014)

 

 この頃マイケル・マクドナルドはドゥービーをアーシーなバンドからAOR寄りのポップな路線に切り替えて大ヒットを飛ばしていた時期です。そんな彼らと一緒にツアーを回っていれば(当時50回以上一緒にやっていたそうです)、少なからず音楽的な影響も受けたんじゃないでしょうか。

 

 また、”プログレ”をやっていた時代は彼らは全く売れなくて、稼ぐために毎晩レズビアンバーでR&Bのカバーを4時間もやっていたそうです。アル・グリーンとかの曲を。その感覚が彼らの中にしみ込んでいって、「ビゲスト・パート・オブ・ミー」のグルーヴにつながった、なんて逸話もあります。やっぱり、下積みも大事なんですね。

 

 この次のシングル「愛にときめいて(You're The Only Woman)」もデヴィッド作のAOR路線で、全米13位のヒットになっています。

www.youtube.com

 

 この流れならたいていの場合、一気にAOR路線をメインにしそうなものですが、彼らは次作「Road Island」(1982)でもプログレハード・ロック路線にこだわります。しかし商業的には大失敗し、メンバーはそれぞれの道を歩むことになってしまいました。

 いま振り返ってみると、プログレのコアなファンからしたら彼らはメロディアスすぎて、AORファンからしたら、ヒット曲はいいけどアルバム全体はプログレっぽい、と言った感じで、どっちつかずな場所に彼らは入り込んでしまったように思えます。

 (西海岸のプログレ・バンドとして自分たちはTOTOに影響を与えたのではないかと、バンドのドラマーのバーリー・ドラモンドは語っています)

 

 ただ、3曲の大ヒットソングはどれも素晴らしく、特にこの「ビゲスト・パート・オブ・ミー」はドゥービー・ブラザーズの「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」やボビー・コールドウェルの「風のシルエット」などと並んで、AOR、ヨット・ロックを象徴するような楽曲であることは間違いありません。

 

 最後にデヴィッド・パックが2005年にリリースしたセルフカバーを。

www.youtube.com

 

 

One Eighty

One Eighty

  • アーティスト:Ambrosia
  • Rock Candy
Amazon
ベスト・オブ・アンブロージア

ベスト・オブ・アンブロージア

Amazon

 

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com