まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングのエピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”なものになってしまったのかもしれませんが、みなさんの毎日の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出なども絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「やすらぎの季節(Don't Give Up on Us)」デヴィッド・ソウル(David Soul)(1977)

 おはようございます。

 今日はデヴィッド・ソウルの「やすらぎの季節」です。


David Soul - Don't Give Up On Us

Don't give up on us, baby
Don't make the wrong seem right
The future isn't just one night
It's written in the moonlight
Painted on the stars
We can't change ours

Don't give up on us, baby
We're still worth one more try
I know we put a last one by
Just for a rainy evening
When maybe stars are few
Don't give up on us, I know
We can still come through

I really lost my head last night
You've got a right to start believin'
There's still a little love left, even so

Don't give up on us, baby
Lord knows we've come this far
Can't we stay the way we are?
The angel and the dreamer
Who sometimes plays a fool
Don't give up on us, I know
We can still come through

It's written in the moonlight
and painted on the stars
We can't change ours

Don't give up on us, baby
We're still worth one more try
I know we put a last one by
Just for a rainy evening
When maybe stars are few
Don't give up on us, I know
We can still come through

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僕たちのことをあきらめちゃいけない、ベイビー
間違っていることをごまかしちゃいけない
未来はこの夜のことだけじゃないんだ
それは月明かりに書かれ 星たちに描かれているもの
僕たちが未来を変えることはできないんだ

僕たちのことをあきらめちゃいけない、ベイビー
もう一度やり直す価値はある
二人は最後のチャンスをとっておいたはず
星も見えない まさかのときのために
あきらめちゃいけないんだよ
僕たちはまだ 乗り越えていける

昨夜僕は気が動転していた
君が僕を信じられなくなっても仕方ない
でもまだささやかな愛は残されている、そうだとしたら

僕たちのことをあきらめちゃいけない、ベイビー
もう一度やり直す価値はある
二人は最後のチャンスをとっておいたはず
星も見えない まさかのときのために
あきらめちゃいけないんだよ
僕たちはまだ 乗り越えていける

それは月明かりに書かれ 星たちに描かれているもの
僕たちが未来を変えることはできないんだ

僕たちのことをあきらめちゃいけない、ベイビー
もう一度やり直す価値はある
二人は最後のチャンスをとっておいたはず
星も見えない まさかのときのために
あきらめちゃいけないんだよ
僕たちはまだ 乗り越えていける    ” 

             (拙訳)

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   1975年から1979年まで放映された人気ドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」のハッチ役で人気を博したのが、この曲を歌っているデヴィッド・ソウルでした。

  アメリカ、イギリスの両方でヒットチャートの1位になり、あの”ハッチ”が歌手でも大成功したというイメージで世間ではとらえられていましたが、彼は元々は歌手として世に出た人でした。それもちょっと奇妙なかたちで、、。

 

 1967年にアメリカの人気トーク番組「マーヴ・グリフィン・ショー」に、彼はスキーマスクをかぶった謎の”覆面男”(Covered Man)として、何度か登場し「私の名前はデヴィッド・ソウル。音楽で有名になりたいんだ」と語り、注目を集めたのです。

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 この時期、彼はシングルを3枚ほどリリースしましたが、成功はしなかったようです。

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 その後、彼は役者としてキャリアを重ね、ようやく「刑事スタスキー&ハッチ」で成功し始めると、1976年にはニール・ヤングの「ハーヴェスト」などを手がけたエリオット・メイザーのプロデュースで初めてのアルバムを制作、4曲ソング・ライティングにも参加しています。

 そしてアルバム・リリース直後に、レコード会社の社長から、イギリスの作曲家トニー・マコーレイに会って、彼の曲をレコーディングしてほしいというオファーがありました。トニー・マコーレイはポップス・マニアにはなかなか人気の高い人で、たとえばこんなヒット曲を出しています。

 ザ・ファウンデーションズ / 恋の乾草(Build Me Up Buttercup)(1968)

 全英2位 全米3位

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ピケティ・ウィッチ / 恋はフィーリング(That Same Old Feeling)(1970)全英5位


Pickettywitch - That same old feeling (HQ)

 

 デヴィッドが謎の”覆面男”としてアメリカのTVに出ていたちょうどその頃から、トニー・マコーレイは新進のヒット作家としてイギリスで活躍を始めていたのわけです。

 そして、キャッチーなポップ・チューンで知られるトニーがバラード作家としての才能も見せたのがこの「やすらぎの季節」でした。

 デヴィッドとトニーは合って曲を聴かせてもらうと数日後には録音し、翌週には完成、そしてすぐに発売したそうです。 

 曲はまず、トニーの本国であるイギリスで先にリリースされ1位になると、アメリカでも追いかけるように1位になりました。

 

「やすらぎの季節」と同時にトニーからプレゼンされた「愛はいつの日か(Going in With My Eyes Open)」も、同じタイミングでレコーディングされ、セカンドシングルとしてリリースするとイギリスで2位の大ヒットになりますが、アメリカでは54位と失敗し、いわゆる”一発屋”として終わってしまいます。

 しかし、イギリスで、やはりトニーの作、プロデュースの「夜明けのシルバー・レディ(Silver Lady)」が再び1位になるなどなど活躍を続けました。


David Soul - Going In With My Eyes Open (Full Version)


David Soul - Silver Lady

   2004年にコメディ映画として「スタスキー&ハッチ」がリメイクされ、デヴィッド本人もカメオ出演していました。

 劇中でハッチ役のオーエン・ウィルソンが「やすらぎの季節」を歌っています。


Starsky & Hutch - Don't give up on us baby

  そして、この年彼はイギリス国籍を取得し現在もイギリスに住んでいます。それにはいろいろな理由があったのでしょうが、最初の大きなきっかけは、遡ればこの「やすらぎの季節」になるのではないでしょうか。

 

<追記>

2024年1月4日に彼が亡くなったというニュースがありました。ご冥福をお祈りします。

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こちらも、トニー・マコウレイのヒット曲

popups.hatenablog.com

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