まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「20センチュリー・ボーイ(20th Century Boy)」 T・レックス(1973)

おはようございます。

 今日はT・レックスの「20センチュリー・ボーイ」です。


20th Century Boy (2012 Remaster)

 

 " 友達が言う”いいね” 友達が言う”いい!”ってね

   みんな言うんだ まるでロビン・フッドみたいだって

   オレはネコのように動き 羊みたいに突進し

   蜂のように刺す、ベイビーおまえの男になりたいんだ

   はっきりしてるよ オレはおまえのために生まれたんだ 

   オレはおまえの相手 おまえを楽しませる”20世紀のおもちゃ”さ

 

    友達が言う”いいね” 友達が言う”いい!”ってね

    みんな言うんだ まるでロビン・フッドみたいだって

    飛行機のように飛んで 車みたいに走って

 手も握るよ、だからベイビーおまえの男になりたいんだ

 はっきりしてるよ おまえはオレの運命のご主人様さ

    オレはおまえのおもちゃ おまえを楽しませる”20世紀ボーイ”さ

 

  20世紀のおもちゃさ、おまえにかわいがってほしいんだ,,,

 

     友達が言う”いいね” 友達が言う”いい!”ってね

     みんな言うんだ まるでロビン・フッドみたいだって

     オレはネコのように動き 羊みたいに突進し

     車輪のように回転もする、ベイビーおまえの男になりたいんだ

     はっきりしてるよ オレはおまえのために生まれたんだ

     オレはおまえのおもちゃ おまえを楽しませる”20世紀ボーイ”さ

       

      20世紀のおもちゃさ、おまえにかわいがってほしいんだ,,,

      20世紀ボーイさ おまえに楽しんでほしいんだ、、   "(拙訳)

  

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Friends say it's fine  friends say it's good
Everybody says it's just like Robin Hood
I move like a cat, charge like a ram,
Sting like a bee, babe I wanna be your man.
Well it's plain to see you were meant for me, yeah
I'm your boy, your 20th century toy

Friends say it's fine,  friends say it's good
Everybody says it's just like Robin Hood
Fly like a plane, drive like a car
Hold like a hand, babe I wanna be your man 
Well it's plain to see you were meant for me, yeah
I'm your toy, your 20th century boy

20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy

Friends say it's fine, friends say it's good
Everybody says it's just like Robin Hood
Move like a cat, charge like a ram,
Steer like a wheel, babe I wanna be your man
Well it's plain to see you were meant for me, yeah
I'm your toy, your 20th century boy

20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy
20th century boy, I wanna be your toy
20th century boy, I wanna be your toy

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 マークボランは意味不明な(?)歌詞を書きますし、発声も明瞭じゃないので、この曲についても海外の歌詞サイトでは”こう聴こえるんだけど””正しいのは?”みたいな書き込みがけっこうありました。

 例えば、2行目は”Everybody says it's just like rock'n roll”としている歌詞サイトのほうが多いのですが、rock'n rollじゃなくRobin Hoodロビン・フッド)だとするところもあって、僕なりにこの曲の動画のマーク・ボランの口の動かし方をチェックしたのと、ロビンフッドは人形のおもちゃ(Toy)にもなっていると言うこともあって、ロビン・フッド説を採用しました。

 そうすると、ネコのように動き云々というのは、その”おもちゃの機能”のことがよりわかりやすくなる気もします。正解はわかりませんが、、。

 

 さて、本国イギリスではスーパースター、アメリカでは「ゲット・イット・オン」だけのヒットで終わったT・レックスですが、日本ではどうだったかというと、かなりの人気だったようです。

 昨日のブログで取り上げた「メタル・グルー」が収録されたアルバム「スライダー」は30万枚売れたといいます。そして1972年の終わりに来日時には羽田空港が大騒ぎになったそうで、武道館公演も2回やっていますので、やはり相当な人気だったのでしょう。

 日本での人気に気を良くしたのか、マーク・ボランは突然レコーディングがしたいと言い出して、東芝EMIのスタジオで急遽録ったのがこの「20センチュリー・ボーイ」でした。

   (ウィキペディアでは録音は12月3日の午後3時から夜中の1時半までかかったとあって、次の日は2回目の武道館公演だったはずですから、かなり強行なスケジュールでした)

 プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは日本に同行していなかったので、ロンドンに戻ってからバックボーカル、アコギ、サックスなどをダビングして最終的に仕上げたようです。

 しかし、浦沢直樹の漫画「20世紀少年」で再び脚光を浴び、その後CMでも使われるなど、ひょっとしたら今の日本ではT・レックスの曲で一番有名かもしれないこの「20センチュリー・ボーイ」が日本でのライヴ期間中に急遽録音されていたというは、とても面白いことのように思えます。

 もちろん全く因果関係などあるわけがないのですが、アメリカで唯一のヒットとなった「ゲット・イット・オン」がアメリカでのライヴ期間中に急遽録音されていたという前例を思い出してしまったからです。

 

 

 それから、この時の来日時に記者会見をやっていて、そこでデヴィッド・ボウイとの違いについて尋ねられたマーク・ボランはこんな風に答えています。

 

「最大の違いは、僕らの方が数倍有名であるということです。(場内笑)デヴィッド・ボウイは、ひとつの考えにとらわれていて、それを表現していこうとしているのに対し、僕らは常に未来に向かって進んでいるんです。

   音楽をやっていく上で重要なのは、その音楽が自分のハートから生まれてこなければならないことだと思います。僕らは、その考えにのっとってやってきましたが、デヴィッド・ボウイの場合には、どちらかというと頭脳の中から生まれてきたように思います。彼は非常に良いライターだと思いますが、だんだんと自分の才能を発揮できなくなってきているんじゃないでしょうか。ジミ・ヘンドリックスなんかもハートで音楽を演奏し創っていた人です」

                  (「ボラン・ブギー 電気ノ武者伝説」)

 この会見のタイミングは1972年末ですから、セールスも頭打ちになってきたとはいえT・レックスの最高潮期でした。当時「ジギー・スター・ダスト」でようやくブレイクしたボウイに対して、明らかに”上から目線”ですね。

 両者のプロデューサーであったトニー・ヴィスコンティによると、マーク・ボランは”ポップ・スターを熱望するものを決まってねたむ”らしく、ボウイがジギースターダスとを思いついた時は、小バカにしながらもはらわたが煮えくり返る思いを抱いていてアルバム「ジギー・スターダスト」に対しても狭量で意地の悪いコメントを繰り返していたそうです。

 確かにそういう”ジェラシー”も、彼の発言から感じ取れます。

 そんななかでも、ボウイに対して”頭で考えすぎている”と思っているところは興味深いところです。自分は”ハート”なんだと。彼はお互いの最も違うところをちゃんと理解していたのかもしれません。そして、それが時間とともに彼らのキャリアにはっきりと表れてゆくわけですから。

 

 これは僕の勝手な印象なのですが、デヴィッド・ボウイは”ミッキーマウスの着ぐるみを自ら着るウォルト・ディズニー”のような人物であり、マーク・ボランは”限りなくミッキー・マウスに同化しようとした男”のように思います(まったくヘンなたとえですみません、、)。

 

 エルヴィス・プレスリージェームズ・ディーンみたいな大スターになりたくて、「僕は生まれながらのスターなんだ。だから死ぬのは30歳より前じゃなくちゃ」と語っていたというマーク・ボランは、自分がシンボリックな存在になることだけに取り付けれていたのに対し、デヴィッド・ボウイはあるテーマにそった想像の世界を構築することに取り付けれていて、ひとたび完成するとそれを壊し新たな世界を構築する、ということを繰り返していました。

 マークは本当に30歳より前(29歳)に自動車事故で亡くなってしまうわけですが、長きにわたって活動を続けリスペクトされてきたボウイと、その歩みは本当に対照的なものになりました。

 (ちなみにマークが自動車事故で亡くなった後、彼の息子に対してボウイは18歳まで信託金を贈っていたそうです)

 

 

 トニー・ヴィスコンティは、まだ売れなかった頃二人を一緒にやらせようと考えていたそうです。

「私は見定めていたのだ・・・デヴィッドの悪口を並べ立てるマークと、かたやマークのことをいつも我が事のように喜ぶデヴィッドを」

      (「ボウイ、ボランを手がけた男 トニー・ヴィスコンティ自伝」)

   デヴィッドの悪口、といっても前述した通り多分に”ジェラシー”によるものだったのでしょうし、マークはボウイのリード・ギタリストを自任していて、実際にレコーディングもしています。このコラボレーションはもっと続く可能性もあったようですが、マークの奥さんのジューンが「マークはデヴッドにはもったいない」と言ったことからその可能性はなくなってしまったと言われています。

 

 最後に、マークがギターを弾いているデヴィッド・ボウイの曲「The Prettiest Star」を。「スペイス・オディティ」の次のシングルでした。


David Bowie - The Prettiest Star (1970 stereo version)

 

 

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