まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「太陽はもう輝かない(The Sun Ain't Gonna Shine Anymore)」ザ・ウォーカー・ブラザーズ(1966)

 おはようございます。

 今日はウォーカー・ブラザーズ。昨日登場したダスティ・スプリングフィールドと同じプロデューサー(ジョニー・フランツ)アレンジャー(アイヴァー・レイモンド)が手がけて大ヒットしたグループです。


The Sun Ain't Gonna Shine Anymore Walker Brothers FULL SONG ReEdit Stereo HiQ Hybrid JARichardsFilm

 フィル・スペクター風のサウンドで歌う”イギリスのライチャス・ブラザーズ”というイメージを僕は持っていましたが、 

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 実は彼らはアメリカ人で、グループを組んでから成功するためにアメリカからイギリスに渡った人たちでした。

 また、彼らの場合デュオじゃなく、ドラマーがいるところが特徴ですね。ただし、血縁者じゃないのに、ブラザーズ、と名乗っているのは一緒です。

 ただし、ライチャス(Rightous)は”正当な”という意味で、白人ながらソウルフルな歌を歌うことから黒人客から”義兄弟”と認められたという逸話から名付けられましたが、

 ”ウォーカー”は、メンバーの一人ジョン・マウスがドイツ人系の苗字”マウス(MOUS)”に抵抗があって17歳のときジョン・ウォーカーと名乗り始めたことがきっかけになっています。

 ちなみに1959年から60年にかけて彼はフィル・スペクターの隣りの部屋に住んでいて、ミュージシャン同士ということで交流もあったそうです。

  ジョンはベースのノエル・スコット・エンゲル(のちにスコット・ウォーカーと名乗ります)とドラマーのアル・シュナイダーの3人で”ウォーカー・ブラザーズ・トリオ”を結成しますが、ジョンとスコットのデュオとしてレコード契約を得たタイミングで”ウォーカー・ブラザーズ”に変更します。

 そして1965年に「Pretty Girls Everywhere」という曲でデビューします。


The Walker Brothers - Pretty Girls Everywhere (Jan 20, 1965)

 この曲はユージン・チャイルドというR&Bシンガーのカバーで、昨年(2019)ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースもカバーしていました。

 しかし、ウォーカー・ブラザーズのヴァージョンはヒットしませんでした。この時期に彼らはゲイリー・リーズ(後にメンバーとなり、ゲイリー・ウォーカーと名乗ります)というドラマーと出会います。イギリスをツアーで回っていたゲイリーは、彼らの音楽はイギリスの方が絶対にウケる!と確信して、彼らを説得します。

 イギリスのレコード会社にアプローチすると、彼らにすごく興味を持ったのがダスティ・スプリングフィールドのプロデューサーのジョニー・フランツでした。

 また、彼らは「Pretty Girl Everywhere」の次の曲をすでにアメリカでレコーディングし終えていました。それは、エヴェリー・ブラザーズ(こちらは本当の兄弟)のカバーで「Love Her」という曲でした。作詞作曲は「ふられた気持ち」を書いたバリー・マン&シンシア・ワイル。アレンジはフィル・スペクターのアレンジャー、ジャック・ニッチェという布陣でした。

 ”フィル・スペクター風”のサウンドで一世を風靡した彼らですが、実際に本物にかなり近いスタイルのレコーディングを経験していたことは特筆すべきことでしょう。

 この曲とデビューシングルのプロデューサーのニック・ヴェネットはビーチ・ボーイズの最初の二枚のアルバムや、グレン・キャンベルなどのプロデューサーだった人ですから、当然フィル・スペクターの人脈とも繋がりがあったはずです。


The Walker Brothers - Love Her -1965

 そしてこの曲がイギリスでヒットすると、プロデューサーのジョニー・フランツは

自身が手がけたダスティ・スプリングフィールドの”ヒットの方程式”を彼らの当てはめます。

 曲はバート・バカラック&ハル・デヴィッド、アレンジはアイヴァー・レイモンド、

という布陣です。そしてこれが功を奏して全英1位の大ヒットになります。 


The Walker Brothers - Make It Easy On Yourself

 ”スペクター・サウンドバカラック”がここで聴くことができます。本家スペクターがやったら、サウンド的なカタルシスを追い求めるフィルと、ナイーヴで複雑なニュアンスを大事にするバカラックは、うまくハモらなかったんじゃないかと僕は考えます。 あくまでもスペクター”風”だったから、曲に合わせていろんな調整をし柔軟に対応できた、だからこそうまくいったんじゃないかと思います。

 当然、バカラックの曲の中から”スペクター風”サウンドが似合うという観点からこの曲がセレクトされた可能性も高いように僕は思います。

 ちなみに、この曲のアレンジャーのアイヴァー・レイモンドは、ダスティ・スプリングフィールドの「二人だけのデート」の次のシングル「ステイ・アワイル」で、すでに”フィル・スペクター風”アレンジにチャレンジしています。


Stay Awhile

 アイヴァーがウォーカー・ブラザーズのアレンジをするとき、実際にジャック・ニッチェのレコーディングを経験している彼らに、何らかのアドバイスをもらったということはあったか?興味深いところです。

 それはともかく、彼らはこの後「マイ・シップ・イズ・カミング・イン」という同じサウンドの曲をヒットさせ、その後にリリースされたのがこの「太陽はもう輝かない」でした。

 この曲は、実はオリジナルがフランキー・ヴァリです。

  曲を書いたのも「君の瞳に恋してる」「シェリー」をはじめとするフランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズのほとんどのヒット曲を書いたボブ・クルーとボブ・ゴーディオ。 

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The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore) - Frankie Valli

 この曲は全英1位、全米でも彼らの最高となる13位まであがる大ヒットになりました。

  1967年に彼らは本家スペクターもの、ロネッツのカバーでバリー・マン&シンシア・ワイル作の「恋の雨音(Walking In The Rain)」をシングル発売しています。


ザ・ウォーカー・ブラザーズ/ウォーキン・イン・ザ・レインWalkin' In The Rain (1967年)

 当時彼らは日本でも大変な人気だったらしく、1968年にビートルズに次いで2組目となる武道館公演を実施しています。その模様は「In Japan」というアルバムで聴くことができますが、確かにかなり凄まじいお客さんの歓声です。

 

 

太陽はもう輝かない

太陽はもう輝かない

  • 発売日: 2013/07/09
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore) [2007 Remaster]

The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore) [2007 Remaster]

  • 発売日: 2015/08/09
  • メディア: MP3 ダウンロード