まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「愛ゆえに(The Things We Do for Love )」10cc(1976)

 おはようございます。

 今日は10ccの「愛ゆえに」


10cc - The Things We Do For Love

  本当にたくさんの破れた心が 川に落ちてしまった

  本当にたくさんの孤独な魂が 海へむかって漂っている

  賭けをして その代償を払う

  それが愛のために僕らがやること

  愛のために僕らがやることはそれなんだ
    

     コミュニケーションは答えにたどり着くまでの問題点だ

     彼女の電話番号を持って 受話器に手をかける

  すると天気が急に変わって  電話が全然通じない

  愛のために僕らはいつもそんなことばかりしている

     それが、愛のために僕らがやっていることなんだ

  *他に行く場所がなくて 雨や雪の中を歩いているみたいだ

  君の一部が死にかけていると感じている

  そして、彼女の瞳の中に答えを探している

     君が彼女とはもうおしまいだって思うとき

  彼女はやり直したいって言うんだ

     君は僕を夢中にさせる  その方法を君は知っているんだ

  君は僕をやり場のない気持ちにさせたんだ

 

      *繰り返し

    お互い歩み寄れば きっとこの状況をなんとかできるよ

 二人の意見が違うってことには同意して 別れることには反対すれば

 結局最後は僕らが愛のために妥協することなんだ

    それが僕らがやること 愛ゆえに                (拙訳)

 

     10ccはイギリスのバンドで グレアム・グールドマン、エリック・スチュワート、ケヴィン・ゴドレイ、ロル・クレームの4人組。全員が曲を作れてボーカルもできるというバンドです。

 ポップス志向のグレアム&エリック、実験志向のゴドレイ&クレームという2チームがソング・ライティングの基本でしたが、組み替えしたり、3人、4人全員で書いたりと柔軟に対応していました。

   ゴドレイとクレームは幼い頃からの友達で、グレアムも近いエリアに住んでいて知り合いだったそうです。

 

 グレアムはまだ10代で作曲家としてヒットを飛ばしています。ヤードバーズ「For Your Love」(全英1位全米6位)とホリーズの「バス・ストップ」(全英5位全米5位)です。

  ちなみに「For Your Love」はグレアムがゴドレイと組んだグループ”モッキンバーズ”のデビュー曲になるはずだったのが、レコード会社に却下されたのだそうです。


The Yardbirds - For Your Love (1965) (Full version)


Bus Stop- The Hollies - 1966

 

 エリック・スチュワートはマインドベンダーズというグループのギタリストだったのですが、ヴォーカルのウェイン・フォンタナが抜けた後ボーカルもつとめるようになり、のちにフィル・コリンズもカバーしたポップ・スタンダード「恋はごきげん(A Groovy Kind Of Love)」も彼が歌っていました。


ザ・マインドベンダーズ The Mindbenders/恋はごきげん A Groovy Kind Of Love(1965年)

 

  さて、「愛ゆえに」は10ccの5枚目のアルバム「愛ゆえに(DECEPTIVE BENDS)」からのファーストシングルです。

 ポップ志向でツアーもやりたいグレアム&エリックと実験志向でレコーディングだけをやりたいゴドレー&クレームが完全に決裂しゴドレイとクレームが脱退してから初めてリリースする作品でした。

 イギリスのメディアからは”5cc”などと揶揄されたそうですが、二人はだからこそ本気で挑んだそうです。実験的で風刺的なゴドレイとクレームの持ち味は薄れますが、メロディの良さは彼らのアルバムの中でも随一のものになっていると思います。

 

 この「愛ゆえに」は、グレアムとエリックの共作ですが、最初エリックから自殺の曲にしたいと言う提案があったそうですがグレアムは却下しエリックも納得したそうです。そして、エリックが「The Things We Do for Love」というタイトルを思いつき、そこからふくらんでいったそうです。

 歌詞に出てくる描写は、実際にエリックが昔経験したことらしく、その時電話を持っていなかった彼は結婚直前の彼女に電話しようと電話ボックスを探して雪の中を歩き回り、見つけて中に入ると電話が壊れて通じなかったということが実際にあったそうです。

 男女間のことは本当に大変でみんな試行錯誤していて、この歌の言う通り歩み寄りは

不可欠ですが、

 

You think you're gonna break up
Then she says she wants to make up

君が彼女とはもうおしまいだって思う時 

彼女はやり直したいって言うのさ

 

   というフレーズが雲の隙間から射す日差しのようで、効果的だなあといつ聴いても思ってしまいます。

 

 

 

愛ゆえに+3(紙ジャケット仕様)

愛ゆえに+3(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:10cc
  • 発売日: 2014/07/30
  • メディア: CD