おはようございます。
今日はジグゾーの「スカイ・ハイ」です。
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Blown round by the wind
Thrown down in a spin
I gave you love
I thought we had made it to the top
I gave you all I had to give
Why did it have to stop
You've blown it all sky high
By telling me a lie
Without a reason why
You've blown it all sky high
You, you've blown it all sky high
Our love had wings to fly
We could have touched the sky
You've blown it all sky high
Up round I've flown
Then down down like a stone
I gave you love
Writer/s: CLIVE KENNETH SCOTT, DESMOND DYER
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弧を描くように風に舞い上げられて
スピンしながら落ちてしまった
僕は君に愛を捧げて
二人の愛は頂点に達したと思った
与えるべきものは全て君に与えたのに
どうして僕たちは終わりにしなければいけなかったんだろう
君はすべて空高く吹き飛ばしたんだ
僕に嘘をつくことで
理由なんかなく
君は全部空の彼方に吹き飛ばしたんだ
君はすべて空高く吹き飛ばしたんだ
僕らの愛には飛ぶ翼があって
君は空に触れることもできたのに
空の彼方にすべて吹き飛ばしたんだ
僕はふわっと舞い上がり
そのあと、石のように落ちたんだ
僕は君に愛を捧げて
二人の愛は頂点に達したと思った
与えるべきものは全て君に与えたのに
どうして僕たちは終わりにしなければいけなかったんだろう
(拙訳)
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日本では覆面レスラー、ミル・マスカラスのテーマで大ヒット。元々はカンフー・スター主演のアクション映画の主題歌
”昭和男”には仮面のプロレスラー” ミル・マスカラス”のテーマ曲としておなじみです。
オリコンの洋楽シングル歴代売り上げでは56万8千枚で堂々13位。12位がカーペンターズ「イエスタデイ・ワンスモア」、すぐ下の14位がビートルズ「レット・イット・ビ
ー」なんですから、とんでもないポジションに鎮座しているわけです。
この頃、僕は小学生でTVのプロレス中継をせっせと見てたわけですが、今思えばプロレスラーのテーマ曲の選曲ってすごかったと思います。
アブドーラ・ザ・ブッチャーのピンク・フロイドの「吹けよ風、呼べよ嵐」、ブルーザー・ブロディのレッド・ツェッペリンの「移民の歌」とか、ものすごくハマってましたし。
その中でも、ミル・マスカラスの衝撃はやっぱり鮮烈でした。今のプロレスはアクロバティックな動きが当たり前ですが、この当時はこの人くらい(あと弟のドスカラス)で、たぶん日本で最初にアクロバティックなプロレスをお茶の間に見せたのが彼だったんじゃないでしょうか。
って、プロレスのブログみたいになってきたので、、、音楽の話に戻します。
その、宙高くジャンプするミル・マスカラスの映像に、絶妙にハマっていたこの「スカイ・ハイ」ですが、全米3位、全英9位、カナダやオーストラリアでも3位とミル・マスカラスと関係ない国でも大ヒットしています。
もともとこの曲は映画「スカイ・ハイ(The Man From Hong Kong)」の主題歌として作られたものでした。
Jigsaw - Sky High (1975) The Man From Hong Kong
主役はジミー・ウォン。「片腕ドラゴン」や勝新太郎の座頭市映画でも共演したことのあるカンフー・スターです。「女王陛下の007」でジェームズ・ボンドを演じたジョージ・レーゼンビーも出演していましたが、映画はそれほどヒットしなかったようでこの曲だけが大ヒットする結果に終わったようです。
曲調、アレンジだけ聴くと、アクロバティックなプロレスラーやアクション映画にぴったりな感じがしますが、歌詞を読むとシンプルに”失恋の歌”なんですね。
この曲を歌ったジグソーは1966年にイギリスでキーボード、ボーカルのクライブ・スコットを中心に結成されました。ザ・フーなども演奏したことのある、マンチェスターにある”ジグゾー・クラブ”からその名がつけられたと言われています。
その後ボーカル、ドラムスのデズ・ダイヤーが参加し、この二人が中心となって曲を書いてゆき、この「スカイ・ハイ」も彼らの作品です。
彼らはライヴの評判はよかったのですが、長年ヒットを出すことができませんでした。そこでニューヨークの音楽出版社からアドバイスを受け作った曲が転機となります。
それが「Who Do You Think You Are (邦題:恋のあやまち)」。キャンドルウィック・グリーンが歌い全英21位まで上がるヒットになりました。
そして、追いかけるようにアメリカのグループ”ヘイウッズ(Bo Donaldson and the Heywoods)”がカバーし、全米15位まであがります。
そして、本家ジグゾーもシングルで発売します。
Jigsaw Who Do You think you Are
しかし本家のヴァージョンはヒットせず、その後数枚シングルを出したあと、レコード会社の契約を切られてしまいます。
そこでバンドのマネージャーをメインにクライヴとデズがお金を出しあって(「恋のあやまち」の印税があったのでしょう)”スプラッシュ”というレーベルを立ち上げます。
そのタイミングでできた曲が「スカイ・ハイ」だったのです。結成から9年もかかって、意地を見せた曲だったわけです。
「スカイ・ハイ」の印象的なオーケストラのアレンジが手がけたのは、リチャード・アンソニー・ヒューソン。
ビートルズの「ロング・アンド・ワインディング・ロード」をフィル・スペクターがプロデュースする際に、大げさな弦アレンジを施してポールを激怒させたエピソードはファンには有名ですが、その弦アレンジを担当していたのが彼です。
「恋のあやまち」を聴けばわかる通り、ジグゾーは本来ソフト・ロックもしくは”パイロット”などのようなUKポップのグループでした。しかし「スカイ・ハイ」がヒットしすぎて、他のたくさんのレパートリーが”空の彼方に”吹っ飛んでいってしまったんですね。
しかし、ポップス・マニアの多い日本を中心に、後年「スカイ・ハイ」以外の彼らの曲を評価する動きがあり、彼らのレアな音源もCD化されています。
最後に「スカイ・ハイ」の次のシングルを。どうしても”柳の下に〜”のパターン
になってしまうんでしょうね、再びリチャード・アンソニー・ヒューソンに弦アレンジを依頼した「Love Fire」。全米30位と彼らにとっては2番目のヒットになっています。