まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「恋のゲーム(It's All in the Game)」トミー・エドワーズ(1958)

 おはようございます。

 今日はトミー・エドワーズの「恋のゲーム」です。

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Many a tear have to fall
But it's all in the game
All in the wonderful game
That we know as love

You have words with him
And your future's looking dim
But these things
Your hearts can rise above

Once in a while he will call
But it's all in the game
Soon he'll be there at your side
With a sweet bouquet

And he'll kiss your lips
And caress your waiting fingertips
And your hearts will fly
Away

(Soon he'll be there at your side)
With a sweet bouquet
Then he'll kiss your lips
And caress your waiting fingertips
And your hearts will fly
Away

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何度も涙を流さなければいけない
だけど、それはすべてゲーム
すべては素晴らしいゲームの中のこと
僕たちが”愛”として知っている

 

君は彼と口喧嘩をして
君の未来は暗く思える
だけど、そんなことは
君の心は乗り越えられるんだ

 

たまにしか彼から電話がこない
だけど、それはすべてゲーム
すぐに彼は君のそばにかけつけるんだ
甘美なブーケを持って

 

彼は君の唇にキスをして
待ちこがれていた君の指先をなでる
そして君のハートは舞い上がってゆく

 

(すぐに彼は君のそばにかけつける)
甘美なブーケを持って
そして彼は君の唇にキスをする
待ちこがれていた君の指先をなでる
そして君のハートは舞い上がってゆく

                (拙訳)

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 この曲はもともとシカゴの銀行家チャールズ・ゲイツ・ドーズが1911年に書いた"Melody in A Major"というインスト・ナンバーでした。独学でピアノと作曲を身につけたという彼は1925年から1929年までアメリカ合衆国の副大統領をつとめた人物です。

 この曲は彼の友人のバイオリニストの紹介で音楽出版社に伝わり、最初はピアノやバイオリンのソロ曲として演奏されていましたが、楽団のアレンジをされて有名になっていきました。

 ドーズの副大統領任期中には彼が出席した行事でもよく演奏されたようです。

 

 彼は1951年に亡くなりますが、その年にこの曲にぴったりな歌詞を思いついたのがカール・シグマンでした。

 シグマンはデューク・エリントングレン・ミラーの曲も手がけた人で、インスト曲や英語圏以外の曲に英語詞をつけることも得意としていました。

 ライチャス・ブラザースがカバーしてヒットした「引き潮(EBB TIDE)」も元はインスト曲でした。また、映画「ある愛の詩」の主題歌の英詞を書いたのも彼です。

 

 さて、シグマンが"Melody in A Major"に歌詞をつけた「恋のゲーム」を最初にレコーディングしたのが、トミー・エドワーズでした。

  彼は 1951年にデビューし、その年「モーニングサイド・オブ・マウンテン」(のちにダニー&マリー・オズモンドもカバー)が全米24位のヒットを記録し、そのあとのシングルとして「恋のゲーム」はリリースされ、全米18位になりました。

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 彼は1954年あたりからピタッとヒットが止まってしまい、レコード会社は彼の契約を切る意思を固めます。ただ、この時代ステレオ録音が広まり始めた時期だったので、最後に「恋のゲーム」のステレオ盤を出すことを提案したそうです。

 そこでエドワーズは、せっかくならアレンジも変えることにして、その当時の旬だったロック・シンガーが歌うバラード風にして録音しシングル発売すると、全米6週連続NO.1という大ヒットになりました。

 ビルボードの55年間のオールタイム・チャートでも47位、ビートルズの「抱きしめたい」が48位ですから、かなりの大ヒットです。

 

 それは、彼の最後の”ひと粘り”が生んだものだったんですね。

 

 この曲の大ヒット後、スタンダード曲を新しいアレンジにすることが当時流行したそうです。数ヶ月後に、スタンダードをリアレンジしたプラターズの「煙が目にしみる」が1位になっていますから、彼らのプロデューサーのバック・ラムは「恋のゲーム」をヒントに選曲したのかもしれませんね。

 

  最後にこの曲のカバーを。クリフ・リチャード(1964年 全米25位)、フォートップス(1970年 全米24位)、日本では山下達郎も歌っていますが、今日はじっくりと聴けるものを。ヴァン・モリソン、1979年のアルバム「Into The Music」に収録されていました。

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恋のゲーム

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It’s All In The Game

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Into the Music

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