まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ライズ(LIES)」ジョナサン・バトラー(1986)

 おはようございます。

 今日はジョナサン・バトラーの「ライズ」です。

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We took a vow to be ever true
I lived up to mine, tell me, did you?
Someone saw you with your old lover
Hand in hand, I don't understand
You said it ended so long ago
You had me believing while
While you were deceiving me with lies

 

Wish I could have seen it in your eyes 
But I never did (No, I never did)
Baby, lies 
Thought I read the message in your eyes
But I was too caught up in your web of lies

 

Someone calls at the strangest of times
And I swear I hear a man's voice on the other side
You give me the same old story
It's just a friend
That's who it is, girl
I hate to say it
But my faith in you is shaking
Don't say you love me
When It's my heart you're breaking

 

With your lies 
Wish I could have seen it 
In your eyes 
But I never did (No, I never did)
Ooh, lies 
It took so long 
For me to realize 
But I was too caught up in your web of lies

 

Wish I could have seen it in your eyes (Lies)
But I never did, I never did
Lies (Lies)
It took so long for me
To realize (lies)
But I was too caught up in your web of lies

 

Whoa, lies
Girl, you had me believing while
You were deceiving me with lies


I hate to say it
But my faith in you is shaking
Don't say you love me when 
It's my heart you're breaking with your lies


Wish I could have seen it in your eyes
But I never did
Baby, lies
Took so long for me to realize
Oh, but I was too blind to see, girl

 

You cheated on me, you cheated on me
With a white lie, with a wicked lie
When I loved you, loved you
You cheated on me, you cheated on me
With a white lie, oh, with a wicked lie
But I loved you, baby, loved you, baby  Lies

 

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僕たちはずっと誠実であることを誓った
僕はそれを守ってやってきた
教えてくれ、キミはどう?
元カレと一緒にいるところを誰かが見た
手をつないでいるのを、わからない
キミはとっくに終わったと言ってた
キミは僕を信じさせたんだ
嘘で僕を欺きながら

 

キミの瞳に見れたらよかった(嘘を)
でも、僕は決してしなかった(しなかったんだ)
ベイビー、嘘を
キミの瞳に映るメッセージは読んだつもりだった
でも僕はキミの嘘の網にすっかり捕まっていたのさ

 

誰かがすごくおかしな時間に電話をかけてくる
僕は電話の向こう側で男の声を聞いた
キミはよくある言い方をする
ただの友達よ
いったい誰なんだ?ガール
そんなこと言いたくないんだ
だけどキミへの信頼は揺らいでいる
愛してるなんて言わないで
僕の心を傷つけているのに

 

キミの嘘
気づくことができたらよかった
キミの瞳の中に
でも、僕は決してしなかった
おお、嘘
こんなに時間がかかってしまった
気づくのに
だけど僕はキミの嘘の網にすっかり捕まっていたのさ

 

ガール、キミは僕を信じさせたんだ
嘘で僕を欺きながら

 

そんなこと言いたくないんだ
だけどキミへの信頼は揺らいでいる
愛してるなんて言わないで
僕の心を傷つけているのに

 

気づくことができたらよかった
キミの瞳の中に
でも、僕は決してしなかった
こんなに時間がかかってしまった 気づくのに

ああ、僕は夢中で何も見えなかったんだ ガール

 

キミは僕を裏切った 浮気をしたんだ
たわいない嘘で、ひどい嘘で
キミは僕を裏切った 浮気をしたんだ
たわいない嘘で、ひどい嘘で
だけどキミを愛していたんだ ベイビー
愛していたんだ ベイビー                   (拙訳)

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 歌の主人公は最初から最後まで浮気した彼女への恨み言を言っているだけなのですが、対照的に曲調はひたすら爽快です。

 他人の愚痴は聞きたくもないものですが、歌にすると全然平気なんだなと、おかしな気づきもある曲でもあります。

 

 こんな爽やかでいいやつだから、だまされちゃうんだよ、と思わくもないです。爽やかでいいヤツ、っていうのは、僕の経験上、実際は案外モテないし、たいてい恋愛で痛い目にあうようです。

 僕は十代の頃、CMやドラマを見て爽やかだとモテるんだと勘違いして、爽やかなふりをしたりいろいろ試行錯誤したことがありますが、全く逆効果でした(苦笑。

 爽やかさって、テレビとかある程度距離がある場合は魅力になりますが、身近にいるのはちょっと、、という感じに思われるみたいです。

 

 

 さて音楽と関係のない話になってしまいましたが、ジョナサン・バトラー南アフリカ出身のシンガー・ソング・ライターで素晴らしいギタリストでもあります。

 

 彼は6歳くらいの時にのど自慢大会に優勝したことがきっかけで、7歳からすでに南アフリカ中を営業で回っていたという”ちびっ子スター”だったようです。

 

 そして1975年、彼が11歳の時にレコード・デビューを果たしています。
二枚目のシングルはなんと、パリス・シスターズの「I LOVE HOW YOU LOVE ME」(フィル・スペクター・プロデュース、バリー・マン作曲)のカバーで、南アフリカのヒットチャートで4位になったそうです。

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 1979年に彼はジャズ・ロックバンド”The Pacific Express"に参加します。僕はこのバンドを今回初めて知りましたが、なかなかカッコいいです。

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 そして1980年代に入るとジャイヴ・レコードと契約しイギリスに移住、そして1985年にアルバム『イントロデューシング・ジョナサン・バトラー』をリリースした後、本格的に世界デビューしたのが、この「ライズ」が収録された「ラヴ・ソングス(原題 JONATHAN BUTLER)」というアルバムでした。

 

 アルバムをプロデュースしたのはバリー・イーストモンド。フレディ・ジャクソンとビリー・オーシャンという80年代を代表する男性R&Bシンガーを手がけた人です。

 今ではこの名前は使えなくなりましたが、都会型R&Bを指す”アーバン・コンテンポラリー”の重要なサウンドイカーでもあります。

 

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 彼の手腕もあって、「ラヴ・ソングス」はアルバムを通して、1980年代半ばの典型的なR&Bサウンドをたっぷり堪能できる内容になっています。

 

 アルバムに収録されたメロウ・チューン「Take Good Care of Me」。彼はホイットニー・ヒューストンを想定して書いたそうです。

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 さて、この「ライズ」を初めて聴いたのは、僕がレコード会社の新入社員で営業マンをやっていたときでした。お得意先の下高井戸のレコード屋さんの店頭で流れていて、ギターのフレージングとユニゾンしながらスキャットする感じが、ジョージ・ベンソンの再来だ!と興奮してすぐにCDを買った記憶があります。こういうのって、40年近くも経っているのによく覚えているから不思議なものです。

 

 「ライズ」は全米27位、R&B5位、全英18位というスマッシュ・ヒットを記録しています。

  そして、やはりジョージ・ベンソンは彼のアイドルだったようで、1988年にはそのジョージ・ベンソンに曲を書いています。

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 彼はそれ以降、派手なヒットこそないですが、30年以上にわたって今もコンスタントに活動を続けています。歌うまくて、ギターうまくて、いい曲書ける、という音楽の申し子みたいな人ですから当然かもしれません。

 

 2018年には「Close To You」という、バート・バカラックのカバー・アルバムを出しています。もう60歳近いはずですが、メロウなバカラック・ナンバーを相変わらず軽快に爽快に演奏しています。

 彼は、根っから爽やかで正直者なのかもしれません。こと音楽に限って言えば、心根が正直であればあるほど素晴らしい、と僕は信じています。

 

 最後はそのアルバムから「Close To You」を。

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 CDはこちらから

 

 配信はこちらから

Lies

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 バカラックのカバー・アルバム

Close To You

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