まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ユー・マイト・シンク (You Might Think)」カーズ(1984)

 おはようございます。

 今日はカーズの「ユー・マイト・シンク」 です。

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You might think I'm crazy to hang around with you
Maybe you think I'm lucky to have something to do
But I think that you're wild
Inside me is some child

You might think I'm foolish
Or maybe it's untrue (you might think)
You might think I'm crazy (but all I want)
But all I want is you

You might think it's hysterical, but I know when you're weak
You think you're in the movies, and everything's so deep
But I think that you're wild
When you flash that fragile smile

You might think it's foolish
What you put me through (you might think)
You might think I'm crazy (but all I want)
All I want is you

And it was hard, so hard to take
There's no escape without a scrape
But you kept it going till the sun fell down
You kept it going


Well, you might think I'm delirious the way I run you down
But somewhere sometimes, when you're curious, I'll be back around
Oh, I think that you're wild
And so uniquely styled


You might think it's foolish
This chancy rendezvous

You might think I'm crazy (but all I want)
But all I want is you
All I want is you
All I want is you

 

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君は僕がイカれてるって思ってるかもね

君につきまとっているから

それとも、とりあえずやることがあるんだから

ラッキーだって思っているかな

だけどね、君はワイルドだって僕は思うんだ

僕の心には子供がいるのさ

 

君は僕をバカだって思うかもね

それとも僕が嘘をついているって

君は僕がイカれてるって思うかもね

だけど、僕がほしいのは君だけなんだ


ヒステリックだって君は思うかもしれない

だけど僕は知ってるよ、君が弱っているとき

君は映画の中にいると思いこんで すべてを深刻に受け止めて

だけど僕は君はワイルドだって思うよ

その儚げな微笑みをチラッと見せた時に

君はバカげたことだって思うかもしれない

君が僕と知り合ったことを

君は僕がイカれてるって思うかもしれない

僕がほしいのは君だけさ

それは、とても受け入れられないことだった

傷を負うことなしには逃げられないのに

君はやり続けたんだ太陽が沈むまで

君はやり続けたのさ

 

僕が錯乱してるって君は思うだろう

こんな風に君を追い詰めて

だけど、いつかどこかで、君が僕のことが気になったら

戻ってくるよ

君はワイルドだって思うんだ 

そして、とてもユニークなスタイルを持っている

君はバカげてるって思うかもね

この危なっかしいランデヴーを

僕がイカれてるって思うかもね

でも、僕がほしいのは君だけなんだ

僕がほしいのは君だけなんだ    (拙訳)

 

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  カーズの中心メンバーはリック・オケイセック (vo、g)とベンジャミン・オール (vo、b)。

   リックがオハイオ州クリーヴランドに引っ越してきて、地元のTV番組に”グラスホッパー”というバンドで出演していたリックと知り合い、その数年後に二人は一緒に活動を開始します。

 そして、活動拠点をボストンに移した彼らがもう一人ギタリストを加えて、”ミルクウッド(Milkwood)”というグループを結成し、1973年に一枚アルバムをリリースしています。

 これがなんと、クロスビー、スティルス、ナッシュっぽいフォーク・ロックだったんです。

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 Milkwood解散後、別のバンドに参加したあと、”オケイセック&オール”というフォーク・デュオで活動していたようで、二人がバディ・ホリーの「エヴリデイ」をカバーしている動画がありました。

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 そしてその後1976年に結成した「Cap'n Swing」というバンドは、カーズの前身と言っていいもので、その後カーズのレパートリーになる曲もやっています。

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 リックはよりロックっぽいサウンドを目指していたので、ジャズ系だったドラム、ベースを外し、メンバーを入れ替えて再出発したのがカーズだったというわけです。

  そして、彼らのデモテープの1曲が地元ボストンのラジオ局で大人気になり、その噂を聞きつけたメジャーレーベル(エレクトラ)と契約することになりました。

 

 彼らは1978年にデビューし、デビュー曲はボストンのラジオ局で大人気になった「Just What I Needed 燃える欲望」でした。(メイン・ヴォーカルはベンジャミン・オール)

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 シングルは最高27位、アルバムは18位という上々のデビューを果たします。そして新人バンドとしては異例のロングセラーになります。デビュー・アルバム『錯乱のドライブThe Cars』は現在までにアメリカだけで600万枚を超えていて、実はカーズの作品の中で最大のセールスを誇っています。

 

   彼らは当時流行していたニューウェイヴのバンドとして出てきたわけですが、その中でも完成度がすごく高かったんです。だから、デビュー・アルバムがいまだに人気が高いわけですが、それは彼らが相当長い下積みで鍛えられていたからなんですね。リック・オケイセックはこのときすでに34歳だったんです。当時大人気だったビリー・ジョエルブルース・スプリングスティーンより5歳も上なんですね。

 

 そして、彼らの作品のクオリティを支えたのが、プロデューサーのロイ・トーマス・ベイカーです。

 彼は「オペラ座の夜」などクイーンの最初の五枚のアルバムを手がけた人です。ロイの拠点はロンドンでしたので、メンバーはロンドンに渡り、わずか12日間でファースト・アルバムをレコーディングしました。(セカンド・アルバムの頃からはロイは拠点をアメリカに移しています)。

 

 ロイとカーズのコラボレーションは四枚目のアルバム『シェイク・イット・アップ』(1981)まで続きました。

 

 僕が最初に彼らの曲で注目したのが、セカンド・アルバム「キャンディ・オーに捧ぐ」からのファースト・シングル「レッツ・ゴー」でした。(メイン・ヴォーカルはベンジャミン・オール)

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 そしてこの「ユー・マイト・シンク」(メイン・ヴォーカルはリック・オケイセック)は1984年リリースの「ハートビート・シティ」からの最初のシングルで全米7位まで上がるヒットになりました。

 

 この作品でプロデューサーがロバート・ジョン“マット”ラングに変わっています。この当時彼はAC/DCやデフレパード、フォーリナーなど、メタル、ハード・ロックバンドを大ヒットさせ、大変注目されていました。

 その後、シャナイア・トゥエイン、ブライアン・アダムスなどポップ・ミュージック史上屈指の大ヒットプロデューサになる人です。

 

 ラングは当時イギリスをベースにしていましたので、カーズのメンバーはファースト・アルバム以来になるロンドン・レコーディングを行っています。

 彼のプロデュースで、カーズのサウンドはぐっとキャッチーに、良くも悪くも80'sっぽくなりました。

 

 この曲のヒットを強力に後押ししたのがミュージック・ビデオで、第一回MTVビデオ・ミュージック・アワードの”ビデオ・オブ・ザ・イヤー”に選ばれています。

 マイケル・ジャクソン「スリラー」、ポリス「見つめていたい」、シンディ・ローパー「ハイスクールはダンス・テリア」、ハービー・ハンコック「ロック・イット」というこの時代を象徴するビデオを打ち破っての受賞でした。

 

   最後にこの曲のカバーを。

 

 まず、2005年にリックとベンジャミンの代わりに、トッド・ラングレンとカシム・サルトンが加わり、新たなドラマーにして”ニュー・カーズ”が結成されました(ユートピア・カーズって名前の方が適切なように思いますが、、)。2006年に発売された、彼らの唯一のアルバム「It's Alive」はカーズの代表曲をメインに、そこに新曲やトッドの「アイ・ソー・ザ・ライト」なんかが混じる構成で、「ユー・マイト・シンク」もやっていました。

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 2011年の映画「カーズ2」でこの曲が使われていました。カバーしたのはLA出身のパワーポップ・バンド、ウィーザー。彼らのデビューアルバム(1994年)をプロデュースしたのがリック・オケイセックでした。

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