まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「モーニン(Mornin')」アル・ジャロウ(1983)

 おはようございます。

 今日はアル・ジャロウの「モーニン」です。


Al Jarreau - Mornin' (Official Video)

 

Mornin' Mister Radio
Mornin' little Cheerios
Mornin' sister oriole
Did I tell you everything is fine
In my mind?


Mornin' Mister Shoeshine man
Shine 'em bright in white and tan
My baby said she loves me and
Need I tell you that everything here is just fine
In my mind


'Scuse me if I sing
My heart has found its wings
Searchin' high and low
And now, at last, I know


Mornin' Mister Golden Gate
I should walk but I can't wait
I can't wait to set it straight
I was shakin' but now, I am makin' it fine
Here in my mind


My heart will soar
With love that's rare and real
My smiling face will feel every cloud
Then higher still beyond the blue until
I know I can, like any man, reach out my hand
And touch the face of God


'Scuse me if I sing
My heart has found its wings
Searchin' high and low
And now, at last, I know


Mornin' Mister Radio
Mornin' little Cheerios
Mornin' sister oriole
Did I tell you that everything is just fine
In my mind


So won't you get up, oriole
So won't you get up, Cheerios
Wake up, Mister Radio
It's fine
Here in my mind


Singin' about mornin' little radio
Mornin' little Cheerios
Wake up, Mister Radio
Need I tell you everything right is just doing fine
Woo, in my mind

 

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おはよう、ミスター・ラジオ君
おはよう、いとしいチェリオス(シリアルのブランド名)
おはよう、麗しき小鳥さん
僕の心の中は最高だって君に言ったっけ?


おはよう、ミスター靴磨き君
日を浴びて真っ白に靴を輝かせ
僕の彼女は"愛してる "と言ってくれた
僕としてはここでの毎日はバッチリだって
言わなきゃね


つい歌っちゃったらごめんなさい
僕の心は翼を見つけたのさ
高いところも低いところも探して
そして今、ついに、分かったんだ

 

おはよう、ミスター・ゴールデン・ゲート君
歩くべきだけど待てないんだ
橋が修復されるまで待てないんだ
心が震えてたけど もうバッチリさ
この心の中は

 

僕の心は舞い上がる
めったにない本物の愛と共に
僕の笑顔はあらゆる雲を感じるだろう
そして青空のずっと向こうまで高く
僕だってできるのさ、みんなのように、この手を伸ばせば
神のその顔に触れることができるんだ

 

つい歌っちゃったらごめんなさい
僕の心は翼を見つけたのさ
高いところも低いところも探して
そして今、ついに、分かったんだ

 

おはよう、ミスター・ラジオ君
おはよう、いとしいチェリオス(シリアル)
おはよう、麗しき小鳥さん
僕の心の中は最高だって君に言ったっけ?

 

だから起きてくれないか 小鳥さん
起きてよ  チェリオスさん
起きるんだ、ミスター・ラジオ君
最高の気分なんだ、この心は

 

朝のラジオのことを歌おう
おはよう、いとしのチェリオ
起きるんだ、ミスター・ラジオ君
何もかもうまくいってるって君に言わなきゃね
僕の心の中で               (拙訳)

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 朝をここまで心地よく歌った歌は他にはないかもしれません。

 ミュージック・ビデオを見ての通り、アルさん、もうご機嫌です。こんな男の人を実際に街で見かけたら、僕はなるべく足早に通り過ぎようとしますけどねw。

 

 いや、待てよ、アルさん、自分で自分を暗示にかけているのかもしれません、、、。ラジオさんおはよう!みたいなこっ恥ずかしい、芝居じみたことをやることで、気持ちのほうも引っ張られてよくなってくるというのもありますから。

 表情や、体の動きとか、姿勢とか、発する言葉で、その人の気持ちは結構左右されてしまうんですよね。

 

 休みの日の朝は、さすがにラジオやシリアルに話しかけるのは無理ですが、ベランダの植物とか、あと、もし小鳥なんかが寄ってきたら、話しかけてみるというのもいいかもしれません。

 ちょっと気分が良くなレバ、その1日も好転していくなんてこともあるかもですね。

 

 さて、歌詞の中で、ミスター・ゴールデンゲート・ブリッジのくだりで

<I can't wait to set it straight>真っ直すぐに直すのを待てない、ってなんだろうと疑問だったのですが、この曲が発売になった頃、1982年から1986年にかけて、老朽化した橋のかなり大掛かりな補修工事をやっていたようです。完全には交通止めにはしなかったようですが、車線規制などは結構あったようで、だから歌の中で歩いたほうがいいんだけど、ウキウキしちゃって待っていられないんだよ、と歌っていたようです。

 

 

  さて、アル・ジャロウは、変幻自在に声を操るシンガーとして名高いですが、意外なことに大学を出るまで音楽で食べていこうとは考えていなかったそうです(幼い頃兄弟とイベントで歌ったりはしていたそうです)

 彼の地元ミルウォーキーのレーベルでシングルをリリースしたりしていましたが、彼はカウンセリングの仕事についてサンフランシスコに引っ越します。そこで、ジョージ・デューク率いるトリオと共演したりすることで、いよいよ火がついて、その後ロサンゼルスに移り、本格的に歌い始めます。

 

 デビューが1975年で、彼はすでに35歳になっていました。

そして、彼が注目を集めるきっかけになったのは1976年のセカンド・アルバム「GLOW」でした。

 プロデュースはトミー・リピューマ。エンジニアはアル・シュミット。

 ちなみに「GLOW」のレコーディングのひと月前に、トミーとアルはジョージ・ベンソンの「ブリージン」を制作していました。

 

 「GLOW」からの最初のシングルはエルトン・ジョンの「Your Song」でした。

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 そして、彼はヒット・チャートの上位に食い込むようになったのは1981年のアルバム

「ブレイキン・アウェイ」。ジェイ・グレイドンのプロデュースで全米9位まで上がる大ヒットになりました。

 アルバムからのシングルは「We're in This Love Together」。全米15位まで上がりました。

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 そしてこの成功を受けて、再びジェイ・グレイドンと組んで制作したアルバム「ジャロウ」からのシングルがこの「モーニン」(全米21位)でした。

 

 この曲の成り立ちはちょっと変わっています。

まずジェイ・グレイドンが1982年にディオンヌ・ワーウィックに書いた「For You」という曲の延長線上にギター・リフを作り、それをもとにデヴィッド・フォスターが曲に仕上げたのだそうです。

 

「For You」

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 最初にインスト・ナンバーを作りデヴィッド・フォスターのアルバムに入れました。

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 そして、ジェイ・グレイドンがこの音源をアル・ジャロウに歌詞をつけて歌ってみたらと提案して、出来上がったのがこの「モーニン」だったようです。

    (Songfacts)

 

 さて、この曲、実際に80年~90年代、FMの朝の時間帯で何度も耳にしたものです。でも、えっ~またこの歌かよ、とか不思議と思わなくて、毎回聴くたびに心地よい気分になれました。

 軽快でかつ聴き飽きない曲というのは、本当に作るのが難しくて、才能と引き出しがたっぷりある人しか作れないもの、長い間音楽を聴いてきてそれは本当に思いうことです。

 

 

 

 

 

デヴィッド・フォスター&ジェイ・グレイドンの”エアプレイ”

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トミー・リピューマの傑作

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