おはようございます。
今日はジョージ・ベンソンの「マスカレード」です。
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Are we really happy here with this lonely game we play?
Looking for words to say
Searching but not finding understanding anywhere
We're lost in a masquerade
Both afraid to say we're just too far away
From being close together from the start
We tried to talk it over but the words got in the way
We're lost inside this lonely game we play
Thoughts of leaving disappear every time I see your eyes
No matter how hard I try
To understand the reasons that we carry on this way
We're lost in a masquerade
Both afraid to say we're just to far away
From being close together from the start
We tried to talk it over but the words got in the way
We're lost inside this lonely game we play
Thoughts of leaving disappear every time I see your eyes
No matter how hard I try
To understand the reasons why we carry on this way
We're lost in a masquerade
Wohoho, in a masquerade
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僕たちは本当に幸せなのか、こんな寂しいゲームをやって
何か言葉を探しながら
探してみても どこにもわかりあえることは見つからない
僕たちは仮面舞踏会に迷い込んだんだ
おたがい言うことをおそれているのさ
最初は近くにあった二人の気持ちが
遠く離れてしまったってことを
話し合おうとしたけれど
邪魔をする言葉しか出てこない
僕たちはこの寂しいゲームの中に迷い込んでしまったんだ
別れようという思いは
君の瞳を見るたびに消えてしまう
こんな風に続けてしまう理由をなんとか理解しようとするけど
僕たちは仮面舞踏会にのめりこんでしまうんだ
おたがい言うことをおそれているのさ
最初は近くにあった二人の気持ちが
遠く離れてしまったってことを
話し合おうとしたけれど
邪魔をする言葉しか出てこない
僕たちはこの寂しいゲームの中に迷い込んでしまったんだ
別れようという思いは
君の瞳を見るたびに消えてしまう
こんな風に続けてしまう理由をなんとか理解しようとするけど
僕たちは仮面舞踏会にのめりこんでしまうんだ
仮面舞踏会に (拙訳)
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この曲のオリジナルはレオン・ラッセルので、彼が1972年にリリースしたシングル「タイト・ロープ」のB面に収められ、アルバム『カーニー (Carney)』にも収録されていました。
レオン・ラッセルが出してすぐにカバーしたのが、ヘレン・レディ。彼女を一躍スターに押し上げた全米NO.1ヒット「I Am Woman」収録された同名のアルバムにこのカバーも入っていました。
彼女の次にカバーしたのがカーペンターズです。
彼らは1971年にやはりレオン・ラッセルが書いた「スーパースター」をカバーし、大ヒットさせていました。彼らの「マスカレード」は1973年のアルバム「ナウ・アンド・ゼン」に収録し、1974年のシングル「プリーズ・ミスター・ポストマン」のB面にもなっています。
ジョージ・ベンソンのプロデューサーをつとめたトミー・リピューマは、レオン・ラッセルとは古くからの知り合いでこの「マスカレード」も聴いていたそうです。
「初めて聴いた時にはそれほどいい曲には聴こえなかった。というのも、レオンはグラフィック・イコライザーを通して、電話で話しているかのように歌っていたからね。メロディの素晴らしさに気づいていなかった」
(「トミー・リピューマのバラード ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語」)
しかし、彼の元に届いた若いサックス奏者のデモにこの曲が入っていて、その奏者と契約しようと思うと同時に、「マスカレード」の曲の良さも知らされたそうです。
そのサックス奏者がデヴィッド・サンボーンでした。
しかし、彼が「マスカレード」を正式にレコーディングしたのは、およそ20年後の1995年でした。
ジョージ・ベンソンは当時レコード会社の移籍先を探していました。凄腕のジャズ・ギタリストとしてはすでに地位を気づいていたのですが、トミーはあるときエンジニアのアル・シュミットと一緒にライヴでジョージが歌う「サマータイム」を聴いて感動したことがあったそうです。そして、レーベルに誘う打ち合わせの時にトミーは最初に「もっと歌ったらどう?」と彼に言ったそうです。もっと歌をやりたい気持ちのあったジョージはその一言でトミーとやってみようと決断したと言われています。
そしてジョージのプロデュースをすることになったトミーが、ぜひやってみたいと思って選んだ1曲がこの「マスカレード」でした。
ただし、当初この曲はジョージのギターのインストで録音するつもりでセッティングされていました。
「レオン・ラッセルのオリジナル曲を聴いていると、ジョージがそれに合わせて歌い始めた。そのヴォーカルがあまりに素晴らしい出来だったので、ギリギリのところでトミーはフィル・アップチャーチの奥さんにタワーレコードでこのアルバムを買って来て欲しいと頼んだ。そしてスタジオに戻ってきた彼女が歌詞を書き写した」
(「トミー・リピューマのバラード ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語」)
なんと、当日土壇場で”歌モノ”に変更されたんですね。
ちなみに、フィル・アップチャーチは名セッション・ギタリスト。この曲ではリズム・ギターを担当しています。1972年にはトミーのプロデュースで「DARKNESS DARKNESS」という素晴らしいソロ・アルバムを出しています。
レコーディングは1、2回リハーサルをやったのち本番となり、ヴォーカルを含めファースト・テイクがそのまま採用されたのだそうです。
しかも、ボーカルをチェックするつもりで安いマイクを使ったのに、あまりに出来が良かったのでそのままOKテイクになったといいいます。エンジニアのアル・シュミットはまさに”マジック・モーメント”だったと語っています。
トミーはこう回想しています。
「僕はこのテイクを収録している最中から、すでにこれは明らかに決定的な瞬間が訪れていると感じたねーー全員が圧倒されているのがわかった」
(同上)
この曲は8分以上の長さがあり、ラジオでオンエアするには長すぎましたが、この曲に入れ込んだニューオリンズのラジオ局のDJが、オンエア用に4分以内に編集したヴァージョンを作ったそうです。そして、それをレコード会社の宣伝マンが上層部に聴かせ許諾を取り、シングルとしてリリースすることになり、一気に大ヒットしたそうです。]
こちらが、シングル・ヴァージョン。ジョージ・ベンソンのヴォーカルを聴いたことがなかった全米のリスナーはスティーヴィー・ワンダーの新曲だと勘違いしたらしく、ラジオ局にリクエストが殺到したそうです。
どんなに素晴らしい曲でも、その曲にあったアレンジをされ、そして、ちょうど良いタイミングでリリースされなければ、大ヒットしないということを、まさに証明しているキョックなのかもしれないですね。
最後に当時のジョージ・ベンソンのパフォーマンスを。グレン・キャンベルがホストを務める「ミッドナイト・スペシャル」という番組の映像です
トミー・リピューマのプロデュース。フュージョン・ブームのきっかけとなった傑作
カーペンターズのヴァージョンでこの曲を馴染んだ人も多いでしょう。他にも「イエスタデイ・ワンスモア」「シング」「ジャンバラヤ」と日本人が大好きな曲が満載
でも、時にはレオン・ラッセルのオリジナルを一人聴くのもまた、心に沁みてきていいんです