まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ゲット・ダウン(Get Down)」ギルバート・オサリバン(1973)

 おはようございます。

 今日はギルバート・オサリバンアイルランド出身のシンガー・ソングライターで、「アローン・アゲイン」が有名ですね。

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Told you once before
And I won't tell you no more
Get down, get down, get down
You're a bad dog, baby
But I still want you around

You give me the creeps
When you jump on your feet
So get down, get down, get down
Keep your hands to yourself
I'm strictly out of bounds

Once upon a time, I drank a little wine
Was as happy as could be, happy as could be
Now I'm just like a cat on a hot tin roof
Baby, what do you think you're doing to me

Told you once before
And I won't tell you no more
So get down, get down, get down
You're a bad dog, baby
But I still want you around, around
I still want you around
Hey hey hey

I don't give a damn
And I'd like you, if you can
To get down, get down, get down
You're a bad dog, baby
But I still want you around

 

Once upon a time, I drank a little wine
Was as happy as could be, happy as could be
Now I'm just like a cat on a hot tin roof
Baby, what do you think you're doing to me

Told you once before
And I won't tell you no more
So get down, get down, get down
You're a bad dog, baby
But I still want you around, around
I still want you around

Bad baby, bad dog, baby
Bad baby, bad dog, baby

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前にも言ったよね
もう二度と言わないからね
落ち着いて、落ち着いて、落ち着いて
君は悪いワンちゃんさ、ベイビー
でも今も君にそばにいてほしいのさ

 

ゾッとしちゃうのさ
君が飛び上がると
だから、座って、落ち着いて、落ち着いて
手を出しちゃダメさ
僕は絶対立ち入り禁止さ

 

昔はさ、僕もワインを少し飲んで
これ以上なくハッピーだった
今じゃ僕は熱いトタン屋根の猫みたいに慌ててる
ベイビー、自分が僕にしたことをわかってる?

 

前にも言ったよね
もう二度と言わないからね
落ち着いて、落ち着いて、落ち着いて
君は悪いワンちゃんさ、ベイビー
でも君にそばにいてほしいのさ

 

僕の知ったこっちゃないけど
できれば君に落ち着いてほしいのさ
君は悪いワンちゃんさ、ベイビー
でも君にそばにいてほしいのさ


昔はさ、僕もワインを少し飲んで
これ以上なくハッピーだった
今じゃ僕は熱いトタン屋根の猫みたいに慌ててる
ベイビー、自分が僕にしたことをわかってる?


前にも言ったよね
もう二度と言わないからね
落ち着いて、落ち着いて、落ち着いて
君は悪いワンちゃんさ、ベイビー
でも今も君にそばにいてほしいのさ

いけないベイビー、いけないワンちゃん、、

                             (拙訳)

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 この歌に出てくる女の子は、すぐ飛びついてきたり、落ち着きがないので、主人公が "落ち着いてよ””じっとしててよ”という歌です。

 You are bad dog ,baby (君はしつけの悪いワンちゃんだよ)、

という歌詞も出てくるので、彼女を”犬”にたとえているんですね。

 

 "Get Down"もイギリスでは犬にむかっていう言葉でもあったらしく、伏せ、とか、待て、とかの意味になるんでしょうか。ギルバート本人もその意図があったようです。

 でも、女性を犬扱い、というのは、たとえ親愛の情があるとはいえ、今の時代だったらかなり問題になるかもしれませんね。

 

 彼の代表曲「アローン・アゲイン」は最近では”自殺予告ソング”なんて呼ばれているようですし、「クレア」は3歳の女の子への愛情を示す内容が危険だと近年ネットでバッシングされていました。彼の天邪鬼な曲作りのアプローチが、どうやら今の時代では過剰に解釈されてしまう状況に陥ってしまっているようです。

 

 

 この「ゲット・ダウン」ですが、当時は、彼と愛犬の歌だと思った人もたくさんいたようです。

   イギリスの大人気音楽番組「トップ・オブ・ポップス」で女性ダンサーと犬がこの曲を”共演”したことが大きく影響したそうです。*なぜギルバート本人が出演していないのか謎ですが、、

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 しかし、対照的にアメリカでは”Get Down"はスラングで、男女が関係を持つという意味があって、その上、You Are Bad Dog,Babyとまで言っているので、かなりセクシーな(?)内容だと誤解されもしたようです。こんなポップで爽やかな曲なのに、、。

 同じ英語圏でも、こういうギャップはあるもんなんですね。

 彼と彼の愛犬のほほえましい曲と間違えられたイギリスやアイルランドではNO.1ヒット。セクシーでダーティな(?)内容に誤解されたアメリカでは最高7位どまりでした(もちろん、そのせいばかりじゃないでしょうけど)。

 この曲の場合は極端ですが、歌詞を誤解されるというのはヒット曲にはよくある話です。いわゆる”空耳”もふくめて、思わぬ解釈をされたがために大ヒットした曲も少なくないように思います。作り手の意図から離れて、聴き手が勝手に解釈してこそヒット曲、と言い換えることもできるのかもしれませんね。

 

 

 *ちなみに、シングル「ゲット・ダウン」のB面は「A Very Extraordinary Sort of Girl」邦題は「彼女は変わった少女です」。「ゲット・ダウン」の彼女は犬みたいに落ち着きがないし、彼はエキセントリックな女の子が好きなんでしょうか?それとも同じ女性のことを歌ったものだったりして、、

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  最後にギルバートとエルトン・ジョンが”連弾”で「ゲットダウン」をデュエットしている映像を。この頃の二人は人気面でも”対等な”ライバルだったんですね(その後は大きく水をあけられてしまいましたが、、)。ともかく、こんな貴重なものを見れる今の時代は本当に素晴らしい、などと思ってしまいます、、。


Gilbert O'Sullivan feat. Elton John - Get Down (Gilbert O'Sullivan Show - 1973)

 

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