まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「Summer Touches You」東北新幹線(1982)

 おはようございます。

 今日は東北新幹線の「Summer Touches You」です。

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 東北新幹線はギタリストの鳴海寛と作・編曲家の山川恵津子によって、1981年に結成されたポップ・デュオです。八神純子のバックバンド、MELTING POTのメンバーなどで活動した後、東北新幹線の開業日付近となる翌82年に『THRU TRAFFIC』でアルバム・デビューしています。

 鳴海は東京出身、山川は京都出身で、なぜ東北新幹線?と不思議に思っていたのですが、発売までに手間取ったため、当時工期が遅れて開通が延期になっていた東北新幹線みたいだと揶揄されてつけられたものだったそうです。

 

 鳴海と山川の出会いは、ヤマハでアルバイトしながらアレンジの勉強をしていた山川が、当時まだ高校生の鳴海のデモテープを採譜することになり、難しいコードをちりばめたとても高校生とは思えない作品に驚き、天才だと思ったのだそうです。

 

 鳴海は8歳からギターとキーボードを始め、12歳でバート・バカラックに感銘を受けて作曲を始めたそうです。他にもフィラデルフィア・ソウル、スティーヴィー・ワンダージョアン・ジルベルトなどに没頭したようで、今の時代から見たらCITY POPのルーツとなる音楽が好きだったんだろうな、と思うかもしれませんが、音楽の道を志す若者のほとんどがフォークかロックだった1970年代半ばから後半という時代の中では、圧倒的にレアな存在だったと言っていいと思います。

 彼が10代の頃に作った曲の音源は2017年に「僕は詩つくり」というタイトルでCD化されています(山川もピアノで参加)。

「おやすみ」

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「レイディー・ローザ」

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 彼が稀有な才能の持ち主だったことがよくわかりますね。

 

 二人は1980年頃から83年まで八神純子のバックバンド”メルティング・ポット”のメンバーとして、山川はキーボードとコーラス、鳴海はサイドギターとコーラスを務めていて、そこから”東北新幹線”の結成に至ったようです(コーラスに八神も参加)。

 

 山川はのちに、プロの作曲家編曲家として、1980年代の歌番組で女性アイドルの曲を中心に頻繁に名前を見かけるほどの売れっ子になるわけですが、”東北新幹線”のアルバムの中でも、都会的な洗練の中に歌謡的なキャッチーさもしっかり加えた、彼女の優れたソングライティングの技量がしっかり感じとれます。

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 東北新幹線はほとんど宣伝もされず、八神のライヴで曲を披露しただけで終わってしまったそうですが、このアルバムを聴いた山下達郎からライヴ・メンバーに誘われ参加しています。

 

 2000年代のシティポップ再評価の流れで、彼らのアルバム『THRU TRAFFIC』がCD化されファンによく知られるようになりますが、2015年に鳴海は急逝してしまいます。

 数年前にこのアルバムは再CD化され、昨今のCITY POPブームの中でも人気盤になり、彼の残した音源もCD化され再評価の動きが進んでいます。

 

 また、鳴海はもともとプロになるまでずっとガット・ギターを弾いていてエレキ・ギターを弾いたことがなかったそうですが、ヤマハの先輩の松下誠からデヴィッド・T・ウォーカーを教えてもらって聴いてみると、昔自分がよく聴いていて好きだったものだとわかり、彼のスタイルに傾倒していったそうです。

 

 山下達郎のライヴ盤「JOY」の「蒼氓」での彼のギタープレイは、ファンの間では有名なものです。

 最後は鳴海がデヴィッド・T・ウォーカーに捧げた「Mr.Sunshine」という曲を。

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(参考:金澤寿和氏「Light Mellow on the web」http://lightmellow.livedoor.biz/archives/52182629.html

 

 

 

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