まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「キャロライン・ノー(Caroline, No)」ザ・ビーチ・ボーイズ(1966)

 おはようございます。

 僕の知り合いにキャロラインさんはいないのですが、今日もキャロラインものです。さすがにこの曲をはずすわけにはいかないので、、


Caroline, No (Remastered)

  

 ”あの長い髪はどこにいってしまったの?

  僕が知っていた少女はどこにいるの?

  あの幸せな輝きをどうして失くしてしまったの?

  ああ、キャロライン、ダメだよ、、

  誰が君の外見を変えてしまったの?

  僕は君がこういったのを覚えているよ、私は絶対変わらないって

  でも、それも嘘だったんだね   

  ああ、キャロライン、君は、、、

   僕の心は壊れて ここから立ち去って、泣きたいよ

   愛おしいものが死んでしまうのを見ることはひどく辛い

   ああ、キャロライン、どうして、、

   もう一度君の中に見つけられるだろうか? 

   あのとき僕の愛を駆り立てた何かを

      一度失ってしまったものを取り戻すことが僕らにできるだろうか?

   ああ、キャロライン、もう、、”      (拙訳)

 

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Where did your long hair go
Where is the girl I used to know
How could you lose that happy glow
Oh, Caroline no

Who took that look away
I remember how you used to say
You'd never change, but that's not true
Oh, Caroline you

Break my heart
I want to go and cry
It's so sad to watch a sweet thing die
Oh, Caroline why

Could I ever find in you again
Things that made me love you so much then
Could we ever bring 'em back once they have gone
Oh, Caroline no 

**********************************

 

     この曲の入ったアルバム「ペットサウンズ」は「ローリングストーン」誌が2005年に行った”史上最高のアルバム500”という企画で、ビートルズの”サージェント・ペパーズ”に次いで第2位になるなど、名盤として揺るぎなき地位(相当な年月をかけて評価ができていったのですが)を確立しています。

 

 

 この曲を書いたブライアン・ウィルソンは「ペット・サウンズ」の中で最高の曲は「神のみぞ知る(God Only Knows)」かもしれないけど、僕の一番好きな曲は「キャロライン、ノー」だと語っています。

   レコーディングにはビーチ・ボーイズの他のメンバーは参加せず、ハル・ブレイン、キャロル・ケイ、グレン・キャンベルなど”レッキング・クルー”と作ったので、この曲は「ペット・サウンズ」の2ヶ月前にブライアン・ウィルソンのソロ・シングルとして発売されています。

 

 歌詞はトニー・アッシャーが書いたのですがタイトルは「キャロル・アイ・ノウ」だったらしく、ブライアンがよく聞こえない右側から話しかけられたので「キャロライン・ノー」だと思ったのだそうです。

「キャロラインはキャロルより歌っていてきれいな名前だった。チェック・ベリーがキャロルに関してみんなが思いつくことは歌ってしまっていたし。」

                    (「ブライアン・ウィルソン自伝」)

            チャック・ベリーに「キャロル」と言う歌があります

 

 そして、キャロラインと言う名前は当時の彼の奥さんの名前マリリンと韻は踏めるというのもよかったようです。

「僕がこの曲を思いつき、意味するものを考えていたとき、頭に浮かんだのはマリリンのことだった。」             (「ブライアン・ウィルソン自伝」)

 

 

 僕も「ペット・サウンズ」が大好きで何度も聴いているのですが、いつもアルバムの最後がこの「キャロライン、ノー」だということに驚いてしまって、感慨深くなります。

 

 勝手な幻想を抱いて憧れていた女の子が時間が経って大人になってしまっていることに傷ついてしまう少年の歌で終わるアルバムなんて他にはないでしょう。

 (ブライアンは男の子の方が心変わりをした、という可能性も示唆しています。どちらにしろ、十代の頃特有のセンシティヴ過ぎる気持ちがはっきりと描かれたものなのだということに間違いはありません)

 

 

 考えてみれば、大人になってポップスを聴くことは、十代の頃の心の状態をフラッシュバックさせることでもあります。

 その中でも、この「キャロライン、ノー」のような曲を聴いた時に、今も胸が締めつけられる感じがするかどうか、というのが今の自分の心の純度をはかる尺度にもなるようにも思えます。

 

 この切なさは、歌詞に負うところも大きいかなとも思っていたのですが、この曲のインストだけでも、十分すぎるほど切なくなります、、、。

 


Caroline, No (Instrumental Stereo Mix)

 

 

 

 

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