まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ゲット・イット・オン (Get It On)」T・レックス(1971)

 おはようございます。

今日はT・レックスの「ゲット・イット・オン」です。


T. Rex - Get It On (1971) HD 0815007

 

 ”おまえは ダーティでスウィート、黒い服を着てる

   振り返るなよ 愛しているんだ

   おまえはダーティでスウィートなのさ

   おまえはスリムで、おまえは脆い

   ヒドラの歯を持っている

   おまえはダーティでスウィート、そしてオレの恋人

 

      やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

   やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

 

   おまえは車のような仕様さ

   おまえを照らすダイアモンドの星の光輪が

   ホイールキャップみたいだ

   おまえは車のような仕様さ

      おまえはまだ飼いならされていない若者

   嘘じゃない、その長いマントにはたくさんの鷲がいる

       おまえはダーティでスウィート、そしてオレの恋人

  

      やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

   やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

 

    おまえは空虚でワイルド

       靴とストッキングに憂鬱(ブルース)を隠している

  おまえは空虚でワイルドなんだ

       おまえは車のような仕様さ

     おまえを照らすダイアモンドの星の光輪が

     ホイールキャップみたいだ

     おまえは車みたいな造りなのさ

 

       やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

    やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

      

       おまえは ダーティでスウィート、黒い服をまとってる

     振り返るなよ 愛しているんだ

     おまえはダーティでスウィートなのさ

   おまえが踊るとき、歩くとき さあ踊ろう

   チャンスを掴むんだ オレのことをわかってくれ

 

         やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

      やろうぜ 銅鑼を鳴して 楽しもうぜ

       

         オレを連れて行ってくれ

    しばらくオレはずっと考えている、、、    " (拙訳)

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Well you're dirty and sweet, clad in black
Don't look back and I love you
You're dirty and sweet, oh yeah
Well you're slim and you're weak
You've got the teeth of a hydra upon you
You're dirty sweet and you're my girl

Get it on, bang the gong, get it on
Get it on, bang the gong, get it on

You're built like a car,
You've got a hub cap diamond star halo
You're built like a car, oh yeah
You're an untamed youth that's the truth
With your cloak full of eagles
You're dirty sweet and you're my girl

Get it on, bang the gong, get it on
Get it on, bang the gong, get it on

You're windy and wild,
You've got the blues in your shoes and your stockings
You're windy and wild, oh yeah
You're built like a car,
You've got a hub cap diamond star halo
You're dirty sweet and you're my girl

Get it on, bang the gong, get it on
Get it on, bang the gong, get it on

You're dirty and sweet,
Clad in black, don't look back and I love you
You're dirty and sweet, oh yeah
When you dance when you walk so let's dance,
Take a chance, understand me
You're dirty sweet and you're my girl

Get it on, bang the gong, get it on
Get it on, bang the gong, get it on

Get it on, bang the gong, get it on
Get it on

(Take me)
(For a meanwhile I'm still thinking)

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 T・レックスは”ティラノザウルス・レックス”という当初のバンド名をわかりやすくするために略したものです。有名な恐竜の名前ですね 。凶暴な印象の。今はティラノウルスと濁らない表記が普通のようです(僕が子供の頃読んだ恐竜図鑑では”チラノザウルス”でしたが)。

 

 ティラノザウルス・レックスは正式な学名で”ティラノザウルス”が「属名」、大きな分類を示し、”レックス”が「種小名」その”属”の中の個別の特性を示すものなのだそうです。

 ちなみに、ティラノザウルスは古代ギリシア語で”暴君トカゲ”、レックスはラテン語で”王”という意味だということです。

 

 バンドの中心メンバー、マーク・ボランはファンタジー系の読み物を愛好していて、レイ・ブラッドベリの短編小説に「ティラノザウルス・レックス」というものがあって、そこからとったと言われています。

 

 T.レックスは1970年代前半の数年間に大ブームになった”グラム・ロック”を代表するバンドでした。

 ”グラム”は魅惑的、グラマラスの意味で、メイクをし、ラメやスパンコールの入ったギラギラした衣装を着ていたことから、当初は”グリッター・ロック”とも呼ばれていたそうです。

 

 その”グラム・ロック”ブームを牽引したのが、T・レックスのマーク・ボランデヴィッド・ボウイでした。

 二人は同じ1947年生まれ、レコード・デビューはボウイが1964年、マーク・ボランが1965年と、アーティストとしても並走するような歩みを見せています。

 

 1960年代後半にマーク・ボランが結成した”ティラノザウルス・レックス”はサイケデリックなフォーク・ロック・サウンドの二人組ユニットでした。同時期のボウイもやはりフォーク・ロックをやっていました。両者ともにボブ・ディランの影響をうけ、フォーク・ロックは当時の流行のサウンドでもあったわけですが、キラキラしたグラム・ロックの大スターが二人とも、ブレイクする直前はアコースティックなスタイルだったというのは興味深いことだと思います。

 

 また、二人ともプロデューサーがトニー・ヴィスコンティだったことで、マークがボウイのレコーディングにギターを弾くなど交流もありました。そして、先に売れ始めたマークを見ながら、ボウイが自分のスタイルに取り入れたものも少なくなかったようです。

 

 ティラノザウルス・レックスが憶えにくいということで、T・レックスに名前を変えたタイミングで、曲のサウンドもエレクトリックでポップなものに変更します。そしてその途端、彼らは大ブレイクを果たします。

    1970年。曲は「Ride a White Swan」。全英2位のビッグヒットになりました。


Ride A White Swan

 そして、あらたにベースとドラムスが加わり4人組になったT・レックスは、次のシングル「ホット・ラヴ」で全英1位を獲得します。


T REX HOT LOVE.wmv (original song)

 イギリスで大ブレイクしたもののアメリカでは売れていなかった彼らですが、1971年4月にアメリカでライヴを行なっていて、そのときにこの「ゲット・イット・オン」は作られたようです。

 NYのフィルモア・イーストでのライヴで滞在していたたホテルでマークとドラマーでリズム・パターンのアイディアを出し合い、その後ハリウッドのウィスキー・ア・ゴーゴーのライヴのためにLAに移動したあとレコーディングを行なっています。

 ちなみに「ゲット・イット・オン」の次のシングルとなった「ジープスター」はニューヨークにいたときにレコーディングしたそうです。

 

 ロンドンとは対照的に陽射し溢れるロサンゼルスで、プール付き豪邸でリハーサルをやるなど、今までと全く違う環境で作られたようです。

 

 「ゲット・イット・オン」がどうしようもなく開放的な気分にさせてくれるのは、あの史上最強に気持ちのいいギター・リフの魔力によるところが圧倒的に大きいとは思いますが、アメリカ西海岸の空気感というのも実は何%かはあるのじゃないかと僕は思い込んでいます。

 そのせいとまではいいませんが、彼らの曲でアメリカでヒットしたのはこの曲のみ(全米10位)でした。

 

 ちなみに、曲終わりに彼がアドリヴっぽく「For a meanwhile I'm still thinking」と歌うのですが、これはチャック・ベリーの「リトル・クイニー」という曲に出てくる歌詞で、マークはまずこの曲をレコーディングしたいと思っていて、この曲を弾きながら思いついたのがこの「ゲット・イット・オン」だったそうです。

 


Chuck Berry - Little Queenie (1959)

 

 

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