おはようございます。
今日は佐野元春のガラスのジェネレーションです。
ガラスのジェネレーション 2006 (Additional Recorded Version)
この「ガラスのジェネレーション」は1980年に発売された彼のセカンド・シングル。さすがに、40年近く前の曲だから若い人は知らないだろうなあ、と検索してみたら
いきなり、最近のアイドル・グループ(アイドル・ルネッサンス)のカバー・ヴァージョンの映像がトップに出てきて驚きました。
もちろん、僕はリアルタイムでこの曲を聴いていますが、今回ピックアップしたのは2006年に彼が、歌とピアノ以外全部録り直したニュー・ヴァージョンです。
世に数多あるニュー・ヴァージョンの評価が決してオリジナルを凌ぐことができないように、このヴァージョンについても、やっぱりオリジナルのほうがいいと思われているようです。
じゃあ、なぜ僕がこっちを選んだかというと、
もともと佐野元春はこの曲を
「ニック・ロウの「クルエル・トゥ・ビー・カインド(恋するふたり)」みたいなアコースティック・ギターをジャカジャカ鳴らしたフォーク・ロックみたいなスタイルで彼はやりたがっていたんです。」(この曲を編曲した伊藤銀次の自伝より)
というエピソードを知っていたので、
このブログの第1回めに選ぶほど、「恋するふたり」を世界一好きな人間だと自称する僕は、ほうっておけなかったわけです。
「ガラスのジェネレーション」を「恋するふたり」風にしなかった理由について、伊藤は、当時の佐野の事務所の先輩にアリスがいて、フォークギターをかき鳴らすと、彼らの後継者だと思われるんじゃないかと危惧したことと、佐野は新人であり、1980年代という新しい時代らしいサウンドとして、当時使われ始めたシンセサイザーを入れることを提案したらしいです(佐野元春は当時”新しい才能”というイメージで評判になったので、この選択は大正解だったと思います)。
さて、このニュー・ヴァージョン、聴いてみるとまさに、”アコギジャカジャカ”の「恋するふたり」風です。本人の中にこういう感じでやりたかったという気持ちが残っていたのでしょう、四半世紀もたってから録音し直したわけです。しかも歌い直さず、オリジナルのボーカルは残したということは、もうひとつのオリジナル・ヴァージョンを作るという意図があったのではないかと僕は考えます。しかも、この時の彼のバンド”ザ・ホーボー・キング・バンド”はフォーク・ロック的なサウンドをやらせたら日本一、うってつけのタイミングだったのでしょう。
ただ、80年当時、佐野は伊藤の意図を理解して彼が提案するサウンドに見合った新しいイントロを考えたりしたそうで、結果ヒットこそしなかったですが、彼のレパートリーの中のとても重要な曲になりました。
もしも、当時「恋するふたり」風でこの曲がリリースされていたら?などと想像すると、もう少し、通好みの反応で終わったのかもしれないですね。きっと当時の僕は大喜びしたでしょうけど。
なにごとも、時流をよく見ること、タイミングが大切なのかもしれないですね。
最後は1987年のライヴ映像を。また全然違ったアレンジですね。ザ・リバー・ツアーの頃のスプリングスティーンのタッチがちょっとあります。