まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Catch Your Way」杉真理(1980)

 おはようございます。

 今日は杉真理(すぎまさみち)。

 日本屈指のポップスの匠と呼んでいい存在じゃないでしょうか。40年以上に渡って、ひたすら明るく親しみやすいポップスを作り続けています。そんなアーティストは日本では、ひょっとして世界中を見渡してみても彼だけかもしれません。

 ちなみに、先日このブログで紹介したユーミンの「Esper」のコーラス・アレンジは彼が手がけています。

 

popups.hatenablog.com

  また、竹内まりやが大学のサークルの後輩で、彼のバンドでコーラスを勤めていたという縁もあってか、彼女は自身のアルバムで彼の曲を取り上げています(「Hold On」や「目覚め」など。いい曲です)。

 作曲家としても、山口百恵(「想い出のストロベリー・フィールズ」など)や松田聖子(「雨のリゾート」など)など数多くの曲を手がけています。

 

 しかし、世の中で一番知られている彼の曲は、多分、彼の作品の中では異色のCMソング「ウィスキーがお好きでしょ」。不思議なものです。どうあれ、国民誰もが知っている曲がある、ということは作曲家にとってすごく嬉しいことなのかもしれません。

 

 さて、この「Catch Your Way」は僕が彼を初めて知った曲。自動車のCMで使われていたのを覚えています。

 "Catch Your Way"って、僕は聞いたことのない英語の言い回しですが、自動車メーカーのキャンペーン用のキャッチ・コピーだったようです。コピーライターが考えた”Catch Your Way"というネーミングありきで、曲の依頼があったのでしょう。

 そして、その後彼は、当時僕が大好きだった大瀧詠一佐野元春と共に「ナイアガラ・トライアングルVol2」というアルバムを制作します。日本のポップス史に残る巨大な才能の二人に対して彼は一歩も引けをとっていません。このアルバムはいまだに大好きです。

 

 彼のように明るく親しみやすくキャッチーな曲を40年以上作り続けるというのは、ちょっと尋常なことではないと僕は思います。

 でも、明るく親しみやすくキャッチーなものというのは、世間は軽くとらえがちですから、そのありがたみになかなか気づいてくれないものです。          

 ただ根が明るい人が明るいポップスを書けるわけじゃないでしょう。

 何より、明るいこと、楽しいこと、のありがたみがわかっている人じゃないと作れない、きっと”陽の当たらない場所”から見つめないとわからないものなのだと思います。

 言い換えれば、自然体、等身大じゃ作れない音楽、純粋で強い”作為”がなければいけない。

 作るのにすごく手間がかかる上に、労多くしてなかなか認められない、好きじゃなきゃ続かない分野です。

  だから、音楽家の中でも人一倍偏屈な(?)アーティストが作ったものも多いような気がします。だから、説得力がある、残るんだと思います。

 

 お会いしたことがないのでわかりませんが、彼の場合、人一倍屈折しているということはないと思います。ただの明るくていい人でもないのも確かだと思います。明るいポップスのありがたみを人一倍理解して、その魅力にこだわり続けている、半端ない偏屈さがある。

 今年彼は最新アルバム「MUSIC LIFE」を発売して、その時に受けたインタビューで、

 明るく楽しく生きてやる。それが、大人の責任だと思う、そうあり続けたい、と語っています。

 やはり、意識的に、客観視しながら、明るく楽しいこと、に執着していたわけです。

 

 僕も、”今の時代には、明るいポップスが足りない”という思いから、このブログを始めたので、彼のスタンスにはすごく敬意を感じます。

 

 


Catch Your Way ★杉真理★

 

Catch Your Way

Catch Your Way