まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「スターティング・オーヴァー((Just Like)Starting Over)」ジョン・レノン(1980)

 おはようございます。

 今日はジョン・レノンの「スターティング・オーヴァー」です。


(Just Like) Starting Over - John Lennon

 

 ”*共に歩む人生は 二人にとってとてもかけがえのないもの

  そこで僕たちは成長した 成長したんだ

  僕らの愛が変わらず特別なものだったとしても

  この機会に どこか一緒に飛んで行ってみよう

 

  **ずいぶん長い間 ゆったりと暮らしてきた

  誰のせいでもない 時が経つのが速すぎるんだ

  だけど君を見たら 二人また恋に落ちたみたいだ

  まるで再出発するみたいに もう一度始めてみよう

 

  毎日僕たちは愛のある日々を過ごしていたけど

  もっと素敵で心地よく愛しあえないのかな

  翼を広げて飛び立つ時だ 

  今までと同じような日々は過ごさずに

  まるで再出発するみたいに もう一度始めてみよう

 

 二人だけで出発しよう ずっと遠くまで旅をしよう

 もう一度 二人力を合わせて

    最初の頃 そうしたように ねえ ねえ ダーリン

 

 ** くりかえし

 *  くりかえし               ” (拙訳)

 

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Our life together
Is so precious together
We have grown, we have grown
Although our love is still special
Let's take a chance and fly away
Somewhere alone

It's been too long since we took the time
No-one's to blame, I know time flies so quickly
But when I see you darling
It's like we both are falling in love again
It'll be just like starting over
Starting over

Everyday we used to make it love
Why can't we be making love nice and easy
It's time to spread our wings and fly
Don't let another day go by my love
It'll be just like starting over
Starting over

Why don't we take off alone
Take a trip somewhere far, far away
We'll be together all alone again
Like we used to in the early days
Well, well, well darling

It's been too long since we took the time
No-one's to blame, I know time flies so quickly
But when I see you darling
It's like we both are falling in love again
It'll be just like starting over
Starting over

Our life together
Is so precious together
We have grown, we have grown
Although our love still is special
Let's take a chance and fly away somewhere
(Over and over and over)

Starting over (over and over and over)
(And over and over and over)
(Over and over and over)
(And over and over and over)

********************************************************

 

 彼が亡くなって来年でもう40年になります。

 長いブランクの後に、この”スターティング・オーヴァー”(再出発)という曲で復活した矢先に彼は銃殺されてしまいました。リラックスしていて、ポジティヴでハッピーな曲なのに、この事件が全く違う”意味”をつけてしまっていたように、当時の僕は感じました。

 

 サウンドはシンプルなロックンロール。ロイ・オービソンエルヴィス・プレスリージーン・ヴィンセントなど1950年代に活躍したロックンローラー、若きジョン・レノンの憧れでもあった人たちのスタイルを踏襲しています。音楽的にも彼は原点に戻ろうとしていたわけで、再出発、やり直し、のタイトルに本当にふさわしいと思います。

 

 1980年というのは、ディスコやAORなどいろんなジャンルの曲がヒットしましたが、ビリー・ジョエル(「グラス・ハウス」)、クィーン(「愛と言う名の欲望」)といった人たちまで、ロックンロールのスタイルで大ヒットを飛ばした、”ロックンロール復活の年”でもありました。それを忘れてはいけません。

 

    ブルース・スプリングスティーン(「ハングリー・ハート」、「ザ・リバー」)トム・ペティ(「危険な噂」、「破壊」)ボブ・シーガー(「奔馬の如く」)などロックンロール・ヒーローが活躍し、イギリスからもプリテンダーズやエルヴィス・コステロのようなパンク・シーンを背景にしながらも、実にオーセンティックなR&Rを演奏するアーティストも大人気でした。

 そして、そんな”ロックンロール復活の年”のトリをつとめたのが、まさにそれにふさわしいアーティストであるジョン・レノンだったわけです。

 

 彼の死からかなり長い年月が立ったいま、この曲がずっと纏ってきた悲しい記憶から離れて、本来持っている率直でポジティヴなメッセージが伝わるといいなあと思っていたのですが、調べてみると21世紀に入ってから、椎名林檎スガシカオがカバーしたり、人気TV番組でテーマ的に使われたりして、とっくに”一人歩き”し始めていたようです。

 スターティング・オーヴァーという同名異曲もたくさん作られているようで、間違いなくこの曲の影響でしょう。

 

 長く一緒にやってきたパートナーと、新鮮な気持ちに立ち返って、もう一回やり直そうというテーマは、今の時代とても”響く”んじゃないでしょうか。そして、彼の「イマジン」や「ハッピークリスマス」といった大きな視点での平和を歌った曲に比べるとこの曲を日常的ではありますが、やはりすごく普遍的なメッセージを持っているものだと僕は思います。

 

 

 

 

 

 

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