まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「サイモン・スミスと踊る熊(Simon Smith and the Amazing Dancing Bear)」ニルソン(1969)

 おはようございます。

 今日はニルソンの「サイモン・スミスと踊る熊」です。

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I may go out tomorrow if I can borrow a coat to wear
Oh I'd step out in style with my sincere smile and my dancing bear
Outrageous alarming courageous charming
Oh who would think a boy and bear
Could be well accepted everywhere
It's just amazing how fair people can be

 

Seen at the nicest places where well fed faces all stop to stare
Making the grandest entrance is Simon Smith and his dancing bear
They'll love us, won't they?
They feed us, don't they?
Oh, who would think a boy and bear
Could be well accepted everywhere
It's just amazing how fair people can be

 

Who needs money when you're funny?
The big attraction everywhere
Will be Simon Smith and his dancing bear
It's Simon Smith and the amazing dancing bear

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明日は出かけようかな コートを借りれたらね
そしたら、心からの笑顔と僕の踊る熊と一緒に
バッチリ決めて外に飛び出すよ
とんでもなく、ただごとじゃない、勇気があって、チャーミング
ああ、まさか、男の子と熊の組み合わせが
どこに行っても受け入れられるとは
驚いちゃうよ 人がこんなに公平になれるなんて

 

素敵なお店で、裕福な人たちがみんな釘付けになるのは
堂々と登場するサイモン・スミスと踊る熊
僕らを気に入ってくれるよね?
ご馳走してくれるよね?
ああ、まさか男の子と熊の組み合わせが
どこに行っても受け入れられるとは
驚いちゃうよ 人がこんなに公平なれるなんて

 

君が楽しかったら、お金なんて必要?
どこに行っても大人気なのは
サイモン・スミスと 踊る熊
そう、サイモン・スミスと素晴らしいダンスをするクマさ

              (拙訳)    

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この曲を書いたのはランディ・ニューマン。この曲についてこんな風に語っています。

 

「”サイモン・スミスと踊る熊”を思いついたとき、僕はフランク・シナトラ・ジュニアのために曲を書こうとしていたんだけど、それが僕の曲作りに変化をもたらしたんだ。1964年にこの曲を書いたんだけど、”Suzie”の韻を踏もうとしていて、”Suzie, doozy”みたいな感じで、タイトルに女の子の名前が入った歌詞だったんだ。僕にはそれが我慢できなかった。そういていると、"coat to wear "を思いついて、それから"bear "が頭に浮かんで、それが今も書いているようなスタイルになったんだ。それが1965年でも2015年でも僕に書けるような曲がある。僕は変わってないんだ、はっきり言って、昔からずっとね」

 (THE BIG ISSUE  10 Aug 2017)

 

「この曲以降、僕は前とは全く変わってしまった。その後はとりわけ型にはまった曲を書くことは決してなかったんだ」

(Performing Songwriter  November 28, 2016)

 

「僕が最初に書いていた曲はひどいロックンロールだったよ、典型的なシュレルズみたいな。あの頃はキャロル・キングとバリー・マンが好きだった。歌詞よりもメロディが好きだった。僕が音楽出版社で曲を書き始めた頃、ただ一つ気にかけていたことは、歌詞がコマーシャルであるべき、ということだった」

 (Songfacts Interview)

 

 彼のキャリアはまず音楽出版社の契約作家としてヒットしそうなものをせっせと書くことから始まりました。

 そして、この「サイモン・スミスと踊る熊」に関して彼は"自分がキャロル・キングになろうとしなかった初めての曲 "だったと言っています。

 ランディ・ニューマンのよく知られている曲のスタイルはこの「サイモンスミスと踊る熊」を作ることでできあがったんですね。

 

 

 それにしても、最初からは熊(Bear)の歌にしようと考えたわけじゃなく、ただ”Coat To Wear”という歌詞の韻を踏むために思いついただけだったとは、、、。

 

 

 この曲は彼の古くからの友人レニー・ワロンカーがプロデュースしたハーパーズ・ビザールがとりあげてアメリカで有名になりますが、一番最初にレコーディングしたのは、トミー・ボイス。

 モンキーズの「恋の終列車」や「モンキーズのテーマ」などで知られる作家チーム、ボイス&ハートの一人です。

 レオン・ラッセルのアレンジ、プロデュースでA&Mからシングル・リリースされています。僕はその音源は聴いたことがないのですが。

 

 そして、その次がアニマルズのキーボーディストだったアラン・プライスが結成した

”アラン・プライス・セット”がカバーして1967年に全英4位の大ヒットになっています。

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  このヴァージョンをアレンジしたのは、このブログで僕が”激推し”しているアレンジャー、ウォーカー・ブラザーズ「太陽はもう輝かない」などで、素晴らしいフィル・スペクターサウンドを作り上げたアイヴァー・レイモンドだということも付け加えておきます。

 二ルソンの曲を気に入ったプライスは、その次のアルバム「A Price On His Head」で

彼の曲を6曲も取り上げています。

 

 そして、ハーパーズ・ビザールの登場。サイモン&ガーファンクルの曲「Feelin’ Groovy」がタイトルになったこのデビュー・アルバムにはもう2曲ニューマンの曲が入っていました。まさにGroovyな気持ちになれる作品です。

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 そして、1969年にこの曲をカバーしたのが二ルソンでした。二ルソンはニューマンが1968年にリリースしたデビューアルバムに感銘を受け、彼がほかのアーティストに提供した曲も聞き込んでいき、どんどん彼の音楽にはまっていきました。

 

ランディ・ニューマンは特別だ、彼はすばらしい。ビートルズのメンバーにも匹敵する才能だろう。世に知られた存在になるのは間違いない」

    (「ハリー・二ルソンの肖像」)

 ニューマンの曲はハマると中毒性があるんでしょうね。二ルソンはこの翌年にはアラン・プライスの「A Price On His Head」の6曲を超える、全曲ニューマンのカバーで作られた「Nilsson Sings Newman (ランディ・ニューマンを歌う)」というアルバムをリリースしています。

 

 日本でも2002年にキリンジがこの曲をカバーしていますが、最初にカバーした日本人は矢野顕子でした。

 1984年のアルバム『オーエス オーエス』に収録されていました。

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 最後はランディ・ニューマンご本人のセルフ・カバーを。

1972年のアルバム「セイル・アウェイ」以降、ライヴ音源などもありますが、今日は

2016年リリースの「The Randy Newman Songbook Vol. 3」に収録されていたヴァージョンを。

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ランディ・ニューマン、冬の名曲。

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 ランディ・ニューマンの代表曲。

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