まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「アブラカダブラ(Abracadabra )」スティーヴ・ミラー・バンド(1982)

 今日はスティーヴ・ミラー・バンドの「アブラカダブラ」です。

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I heat up
I can't cool down
You got me spinnin'
'Round and 'round
'Round and 'round
And 'round it goes
Where it stops
Nobody knows


Every time you call my name
I heat up
Like a burnin' flame
Burnin' flame
Full of desire
Kiss me, baby
Let the fire get higher


Abra-abra-cadabra
I wanna reach out and grab ya
Abra-abra-cadabra
Abracadabra


You make me hot
You make me sigh
You make me laugh
You make me cry
Keep me burnin'
For your love
With the touch
Of a velvet glove


Abra-abra-cadabra
I wanna reach out and grab ya
Abra-abra-cadabra
Abracadabra


I feel the magic in your caress
I feel magic when I touch your dress
Silk and satin
Leather and lace
Black panties with an angel's face


I can see magic
In your eyes
I hear the magic
In your sighs
Just when I think I'm gonna get away
I hear those words that you always say


Abra-abra-cadabra
I wanna reach out and grab ya
Abra-abra-cadabra
Abracadabra


Every time
You call my name
I heat up like a burnin' flame
Burnin' flame
Full of desire
Kiss me baby
Let the fire get higher
Yeah, yeah


I heat up
I can't cool down
My situation goes 'round and 'round
I heat up
I can't cool down
My situation goes 'round and 'round
I heat up
I can't cool down
My situation goes 'round and 'round


I heat up (I heat up)
I can't cool down (I can't cool down)
My situation goes 'round and 'round ('Round and 'round)
I heat up (I heat up)
I can't cool down (I can't cool down)
My situation goes 'round and 'round ('Round and 'round)
I heat up (I heat up)
I can't cool down (I can't cool down)

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ヒートアップして
冷静になれない
おまえはオレを回すんだ
ぐるぐる ぐるぐると
そして、回っているうちに
どこで止まるのか
誰にもわからない


おまえがオレの名前を呼ぶたびに
ヒートアップするんだ
燃えさかる炎のように
欲望ではちきれそうさ
キスしてくれ、ベイビー
炎をもっと燃え上がらせて


アブラ、アブラ、カダブラ
手を伸ばして君をつかみたいんだ
アブラ、アブラ、カダブラ
アブラカダブラ


おまえはオレをを熱くする
ため息つかせる
オレを笑わせる
オレを泣かせる
おまえの愛を求めて
オレをを燃やし続ける
ベルベットの手袋で触れながら


アブラ、アブラ、カダブラ
手を伸ばして君をつかみたいんだ
アブラ、アブラ、カダブラ
アブラカダブラ


おまえの愛撫には魔法を感じる
おまえのドレスに触れると魔法を感じるんだ
シルクとサテン
レザーとレース
天使の顔をして黒い下着を身につける


魔法が見える
おまえの瞳に
魔法が聞こえる
おまえのため息の中に
逃げようと思った時に
おまえがいつも言うあの言葉を聞いたんだ


アブラ、アブラ、カダブラ
手を伸ばして君をつかみたいんだ
アブラ、アブラ、カダブラ
アブラカダブラ


おまえがオレの名前を呼ぶたびに
ヒートアップするんだ
燃えさかる炎のように
欲望ではちきれそうさ
キスしてくれ、ベイビー
炎をもっと燃え上がらせて

 

ヒートアップして
冷静になれない
オレの置かれた状況はぐるぐるまわるのさ
ヒートアップして
冷静になれない
オレの置かれた状況はぐるぐるまわるのさ
ヒートアップして
冷静になれない
オレの置かれた状況はぐるぐるまわるのさ

 

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 スティーヴ・ミラーは「顔のない男」とか「ロック界で最も目立たないフロントマンの一人」などと言われたそうです。

 そのせいか、 昔から僕にとってスティーヴ・ミラー・バンドは、いまいち”つかみどころのない”バンドなんです。曲自体はわかりやすいものが多いのですが、たとえば、どんなバンド?と聴かれたらうまく答えられない、というか。しかも、3曲も全米1位のシングルを持っているんですけどね。

 ウィキペディアによると彼以外のメンバーは現在までトータルで33人もいて、中にはボズ・スキャッグス、ベン・シドラン、ニッキー・ホプキンス、ロス・ヴァロリー、レス・デューデックなんて名前もあって、すごいウェルカムなんだけど、居心地はそんなよいわけでもなく、去る者は追わず、そんな感じなんでしょうか、、。

 

 

 さて、スティーヴ・ミラーはウィスコンシン州ミルウォーキーに生まれ、父親がアマチュアながら評判のレコーディング・エンジニアでもあったらしく、レス・ポールやT-ボーン・ウォーカーなどと直に接する機会があったこともあり、ブルースにはまりギターを弾き始めます。

 そして、学校の同級生にボズ・スキャッグスがいて一緒にバンドを始めます。彼はボズにギターの手ほどきをしたそうです。大学に進むと、ベン・シドランと知り合い、3人はアーデルズというバンドを一緒に組んだそうです。

 

  ブルースを志していた彼は、その後、シカゴ、ニューヨーク、テキサスと渡り歩き最終的にサンフランシスコにたどり着きます。そこでバターフィールド・ブルース・バンドとジェファーソン・エアプレーンを観て感銘を受けた彼は、サンフランシコに居座る決意をしました。

  1966年にスティーヴ・ミラー・ブルース・バンドを結成、翌1967年にチャック・ベリーのバックを務め、そのライヴ盤が彼らにとって初めてのレコードでした。それをきっかけにメジャー契約を勝ち取り、ストックホルムにいたボズ・スキャッグスをバンドに呼び入れ、バンドをスティーヴ・ミラー・バンドに改名します。

 そして、1968年にリリースされたデビュー・アルバム「未来の子供達へ(Children of the Future)」はロンドンに渡り録音、プロデュースはビートルズの”ゲット・バック・セッション”やストーンズの「ベガーズ・バンケット」のエンジニアのグリン・ジョーンズが手がけていました。

 その中から、ボズが作りメインヴォーカルもとり、ベン・シドランがゲストでハープシコードを弾いている「Baby's Callin' Me Home」を。

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 オーセンティックなブルースではなく、当時サンフランシスコから世界に発信していた”サイケデリック・ロック”っぽさがありながら、ほどほどに聴きやすさもある作品でした。

 同じ年に出したセカンド・アルバム「セイラー」は全米24位まであがり、彼らは次々とアルバムをリリースしそこそこヒットさせますが、長くシングル・ヒットは出せずにいました。

 そしてようやく生まれた初ヒットが「ジョーカー」(1973年 全米1位)でした。

あるとき彼は、2分半でラジオの全米TOP40でオンエアされるような曲を作る、という挑戦を受けた書いたと言っています。ゲームやクロスワード・パズルみたいだとも。

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 そして、彼らの最大のヒット・アルバムは1976年の『鷲の爪(Fly Like an Eagle)』。その中から全米1位になった「Rock'n Me」。イントロのギターのリフはフリーの「オール・ライト・ナウ」を参考にしたようです。

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  彼はラジオでオンエアするシングル・ヒットを出せば、マフィアのために演奏せずに済んで、ライヴの演出にお金をかけられるようになると語っていて、売れることに肯定的な意見を持っているようです。

 そして、1982年にリリースされて、彼らの三枚目のNO.1になったのがこの「アブラカダブラ」でした。

「『アブラカダブラ』は本当に巧妙にできたヒット曲さ。本当に素晴らしい楽曲だよ。僕はこの曲を持っていましたし、演奏するのが大好きだ。観客もこの曲を気に入っている。いつも演奏しています。毎晩、「アブラカタブラ」のギターワークにはスタンディング・オベーションが起こるんだ。

 歌詞を書いたとき、僕はスプリームスのことを考えていたんだ。完成していたんだけど、別のアルバム用だった。最後にアルバムから外して、"もっといい歌詞が書ける "と思ったんだ。歌詞があまり良くなかったので、せっかくのいい曲が台無しになっていたんだ。それで、やめて、3年間我慢していたんだよ。そして、ある日、ダイアナ・ロスを見かけて、彼女のことを考え始めまた。僕は1965年にスプリームスと一緒にショーに出たことがあるんだ。、スプリームス、フォー・トップス、ゴールドバーグ・ミラー・ブルース・バンド(註:スティーヴ・ミラー・バンド以前に彼が組んでいたバンド)で。それは「ゴー・ゴー・フラバルー(Hullabaloo)」という番組だった。スプリームスは本当に素晴らしかった。スプリームスのことを考えていたら、「手を伸ばして君をつかまえよう(I wanna reach out and grab ya)」と思いついて、12分で歌詞を書いたんだ。だから僕はいつも、この曲は3年と12分かかったと言っているのさ」

 (BEST CLASSIC BANDS 2019)

  ”reach out”ならフォー・トップスの方(Reach Out  I'll Be There)じゃないかと思ったのですが、ダイアナ・ロスには1970年に(Reach Out And Touch)というソロ・デビュー曲はあります。でもそうすると、1965年じゃないし、、。まあ、あくまでも、インスピレーションなんですから、時系列的な整合性なんて必要ないでしょう。

 

 それはよしとして、当時僕はこの曲はイージーなヒット狙いかな、なんて思ってしまったんですけど、ちゃんと歌詞ができるまでアルバムを一枚見送って、3年も寝かせたんですね。

 歌詞を読んでもそんなすごい歌詞じゃないですけどね。でも、考えてみたら、世の中素晴らしい歌詞の曲ばかりだったら、かなり息苦しくなるように僕は思います。意味のよくわかんない、イージーなポップスが風通しを良くして、心を楽にしてくれることもすごく多いですよね。

 しかし、パッと聴きイージーなポップスでも、歌詞はなんでもいいというわけじゃないんでしょうね。何か然るべきものじゃなければ大衆にはウケない。でも、ひたすら考えればいいというわけでもないはず。その辺の塩梅は本当に謎ではありますね。

 

 さて、この曲、アメリカのレコード会社は売れないと思ったらしく、スティーヴ・ミラー自ら動いてヨーロッパに行きプロモーションしたところ大ヒットし、その状況を見てアメリカでリリースしたところ全米1位、ビルボードのオールタイムチャートでも100位入りする超大ヒットになりました。

 

 

 最後に、今年(2021年)5月に公開されたカバーの動画を。歌っているのはジャーニーのヴォーカル、アーネル・ピネダホワイトスネイクのギタリスト、ジョエル・ホークストラ、Mr.Bigビリー・シーン、パーカッションのレニー・カストロといったメンバーで、たぶんリモートで録ったのでしょう。

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