まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ウィアー・オール・アローン(We're All Alone)」ボズ・スキャッグス(1976)

 おはようございます。

 今日はボズ・スキャッグスの「ウィアー・オール・アローン」。


Boz Scaggs We re All Alone HQ

 ”AOR”を代表する名盤「シルク・ディグリーズ」に収録されている稀代の名バラードですが、ボズ・スキャッグスのヴァージョンはシングルのタイトル曲にはなっていません(後に日本ではなっていますが)。B面だったのです。

 ただし、アメリカでは、この曲をA面にして、その後アルバムからの最大のヒット曲になる「ロウダウン」をB面にしたラジオプロモーション用のシングルが作られています。レコード会社サイドもこれがアルバムの中のベスト・カットだと判断したんでしょうね。

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 しかし、「ロウダウン」のほうがクリーヴランドのラジオ局を発火点にヒットしますので、「ウィアー・オール・アローン」はアルバムのメイン曲の座を「ロウダウン」に譲ることになったのかもしれません。

 ただ、シングルにならなくても、この曲の素晴らしさは広まったようで、「シルクディグリーズ」の発売から間もなくカバー・ヴァージョンがリリースされました。

 歌ったのは、このブログでもおなじみフォー・シーズンズフランキー・ヴァリ。アルバムからのシングルとしてもリリースされています。全米最高78位ですが、この曲を最初にシングルチャートに送ったのはフランキー・ヴァリだったのです。


WE´RE ALL ALONE - FRANKIE VALLI - 1976

  同じ1976年の後半、イギリスでもこの曲のカバーが生まれます。ザ・ウォーカーブラザーズです。シングル発売もされましたが、イギリスやアメリカではチャートインせず、オランダで22位まであがったのが最高でした。


The Walker Brothers - We're All Alone (Official Audio)

 ザ・ウォーカー・ブラザーズの代表曲「太陽はもう輝かない」はフランキー・ヴァリのカバーでしたが、

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   この両者が「ウィアー・オール・アローン」のカバー1番手と2番手だったというのも興味深いことです。

 そして、その後この曲を”ヒット”させたヴァージョンが登場します。

リタ・クーリッジです。


We're All Alone

  全米7位、全英6位とまぎれもない大ヒットになり、当時は彼女のヴァージョンに引っ張られるようにして、ボズのヴァージョンもラジオでよく耳にしました。

 彼女にカバーするように進言したのは、彼女が所属するA&Mレコードをハーブ・アルパートと共同で創立したジェリー・モスだったそうです(ちなみにA&MのAはアルパート、Mがモスと、頭文字を合わせたものです)。モスは「ウィアー・オール・アローン」を女性が歌うのにぴったりな曲、だと考えたのだそうです。その勘がずばっと的中したわけですね。

 

 ちなみに、実はリタと全く同時期にこの曲をカバーしていた女性グループがいます。それが、スリー・ディグリーズ。リタ・クーリッジのヒットに合わせてイギリスでシングル・カットしたそうです。


Three Degrees - We're All Alone

 もうひとり、カントリー・シンガー、タニヤ・タッカーの妹、ラコスタ・タッカー。

こちらはカントリー・チャートで小ヒットになっています。


La Costa "We're All Alone"

   そしてやはり1977年に、この曲の評判はハワイにまで。AORファンには定番のセシリオ&カポノ


Cecilio & Kapono - We're All Alone

  こうしてみると、この曲はじっくりと時間をかけてスタンダードになったわけじゃなく、”食いつき”はとても速かったことがわかります。確かに、一聴して名曲だとわかる、そんな佇まいがありますよね。デヴィッド・ペイチのアレンジも実に見事だと思います。

 最後は、後年のボズ本人のセルフカバーを。


We're All Alone

  

   

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