まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ジャスト・ガット・ラッキー(Just Got Lucky)」ジョー・ボクサーズ(1983)

  おはようございます。

 今日で777日目、ラッキーな数字なので「ジャスト・ガット・ラッキー」、ジョー・ボクサーズです。

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Your technique its leaves me weak
My heart knows its the beat I seek
And I found it (just got lucky)
And I found it (just got lucky)

I never worry that your love is fake
I´m free and easy and I´m feeling jake
'Cos I found it (just got lucky)
Oh boy I found it (just got lucky)
'Cos I never felt this way before
Like a dog always begging for more

I´ve been fooled by love so many times
I gave up on all those silly rhymes
Kept my feelings all inside my heart
A locked door, no key was cut, that was to fit
Now I´m such a very lucky guy
Gang way, one side now, come on hear me say
Come on hear me say

 

We've got the answer and it´s plain to see
That I´m for you and you´re for me
'Cos I found it (just got lucky)
Together we've found it (just got lucky)

I feel a quiver every time we kiss
The sky´s the limit with a love like this
'Cos I found it (just got lucky)
Together we found it (just got lucky)
'Cos I never felt this way before
Like a dog always begging for more

I´ve been fooled by love so many times
I gave up on all those silly rhymes
Kept my feelings all inside my heart
A locked door, no key was cut, that was to fit
Now I´m such a very lucky guy
Gang way, one side now, come on hear me say
Come on hear me say
Just got Lucky
Just got Lucky

Your technique its leaves me weak
My heart knows its the beat I seek
Yeah I found it (just got lucky)
Oh Boy I found it (just got lucky)
'Cos I never felt this way before....
Just got Lucky
Just got Lucky

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おまえのテクニック 

そいつでオレは弱くなっちまう

オレのハートはわかってる

それがオレが探していたビートさ

見つけたぜ(ただラッキーだっんだ)

そうさ、見つけたんだ(ただラッキーだったんだ)

 

おまえの愛がニセモノでも気にしない

オレは自由気ままさ

そして言うことなしって気分なんだ

見つけたぜ(ただラッキーだったんだ)

そうさ、見つけたんだ(ただラッキーだったんだ)


こんな風に感じたことは今までなかった

いつもおねだりする犬みたいさ

オレは今まで何度も愛にダマされてきた

心の中にある感情をのせた

バカげた詩を書くのはもうあきらめたんだ


鍵のかかったドア

鍵のコピーはなく、どれもピッタリ合わない

オレはこんなにラッキー・ガイ

さあ、片方の道を開けて

オレのいうことを聞きに来いよ

 

オレたちは答えを見つけた

はっきりとわかるのさ
(オレのいうことを聞きに来いよ)

オレはおまえのため おまえはオレのため

 

だって、見つけた(ただラッキーだったんだ)

一緒に、見つけたんだ(ただラッキーだったんだ)

 

キスするといつだってふるえてしまう

こんな愛があるなら、不可能なんてないさ

 

だって、見つけた(ただラッキーだったんだ)

一緒に、見つけたんだ(ただラッキーだったんだ)

 

こんな風に感じたことは今までなかった

いつもおねだりする犬みたいさ

 

オレは今まで何度も愛にダマされてきた

心の中にある感情をのせた

バカげた詩を書くのはもうあきらめたんだ


鍵のかかったドア

鍵のコピーはなく、どれもピッタリ合わない

オレはこんなにラッキー・ガイ

さあ、片方の道を開けて

オレのいうことを聞きに来いよ

 

おまえのテクニック 

そいつでオレは弱くなっちまう

オレのハートはわかってる

それがオレが探していたビートさ

見つけたぜ(ただラッキーだっんだ)

そうさ、見つけたんだ(ただラッキーだったんだ)

 

こんな風に感じたことは今までなかった
ただ、ラッキーだったのさ

ラッキーだっただけさ

ラッキーだっただけさ

                   (拙訳)

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 この歌の最初のフレーズ「Your technique its leaves me weak」って少し変わった始まりですが、これはアニメ「ポパイ」でオリーヴオイルがポパイに言ったセリフをそのまま使ったのだそうです。

 

 

  さて、ジョー・ボクサーズは1982年から1983年までのわずか3年という短命で終わったバンドです。

 バンドの基盤は、もともと、クラッシュやスペシャルズデキシーズミッドナイト・ランナーズなどをマネージメントしていたバーナード・ローズが面倒を見ていた”ヴィック・ゴダード&ザ・サブウェイ・セクト”というパンク・バンドでした。パンクといっても、いろんな音楽性を含んでいたようですが。

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 しかし、パンク・ブームも終わっていくとともに、彼らは拠点である”ウィスキー・ア・ゴーゴー”というクラブで ‘Cool Bop & Swing’というタイトルで、ノリのいい古いジャズやR&B、ロカビリーなどの要素を取り入れたイベントを始めます。

 この当時、そのクラブでよくかかっていた曲にはこんなものがあったそうです。

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   パンク・ムーヴメントが終わり、代わりにシンセやドラムマシーンを使ったニュー・ウェイヴ・バンドが盛り上がった時代でしたが、それとは逆の、もっとヒューマンなエネルギーを求める若者の動きがあったんですね。ただ、それはパンクのような破壊的なものではなく、音楽的に洗練されていて、かつノリのいい古いジャズやR&Bの再評価につながったのです。そして、その動きの中から、スタイルカウンシルやシャーデーも出てきたわけです。

    さて、1982年にヴォーカルのヴィック・ゴダードが抜けて解散してしますが、最後のアルバムはこんな感じだったんですね。

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 そして、ヴィックのかわりにディグ・ウェインをボーカルに迎えて、結成したのがこのジョー・ボクサーズでした。

 ディグはアメリカでBuzz & the Flyersというネオ・ロカビリーのバンドをやっていました。 

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 クラッシュのアメリカ公演で前座をやっていたときに、ディグはバーナード・ローズにイギリスに来ないかと声をかけられていたそうです。その後、彼らの前座をやっていたストレイ・キャッツイギリスに行って大成功したのを見たディグは自分もイギリスに拠点を移すことに決めます。

 サブウェイ・セクトのメンバーたちはディグのロンドン公演を見たことがあって、彼を是非バンドに入れたいと思っていたそうです。

 

「ジョー・ボクサーズ」という名前は、ボクサーにはジョーという名前が多くねえ?って誰かが言ったことがきっかけでつけあっれたようです。

 メンバーはレトロな労働者階級の服装で揃えていますが、これはメンバーが同じ時期に大人気だったデキシーズミッドナイト・ランナーズのファンだったからだと言われています。

 デュランデュラン、U2など著名なアーティストがパフォーマンスを行なっているイギリスBBC「オックスフォード・ロードショー」というTV番組に彼らが出演したことがきかっけで、メジャーと契約を結びます。

 そしてデビューシングル「ボクサー・ビート」がいきなり全英3位の大ヒットになります。

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 そしてその次のシングルがこの「ジャスト・ガット・ラッキー」で全英7位のヒット、「ボクサー・ビート」がチャートインしなかったアメリカでも36位まであがりました。

 

 しかし、その次のシングル「ジョニー・フレンドリー」から一気に失速してしまいます。ちなみに”ジョニー・フレンドリー”とはマーロン・ブランドの代表作「波止場」に出てくる港湾労働者組合の悪者のボスの名前です。

 

 クラシックな労働者スタイルと、古いR&B(特にノーザン・ソウル)やロカビリー、スカなどをミックスしたような音楽を合わせるというコンセプトはバッチリでしたが、あまりに統一感があると飽きられやすいというのもあるんでしょうね。

 彼らは1985年にもう一枚アルバムを出し、翌年もアルバムを制作しましたがそちらは発売されることはありませんでした。

 

 ベーシストのクリス・ボストックはスタイル・カウンシルの「カフェ・ブリュ」で2曲ベースを弾いているほか、デイヴ・スチュワート&ザ・スピリチュアル・カウボーイズなど数々のバンドで活躍しています。

 ボーカルのディグ・ウェインは俳優として活動していて「CSI:科学捜査班」「ER緊急救命室」「クリミナル・マインド FBI行動分析課」といった人気番組にも出ていたそうです。

 

 そして、彼らのHPを見ると、なんと35年ぶりとなるライヴが今年の11月5日に行われることがアナウンスされています。

 

  最後は今のところ彼らの最後のシングルになっている「Is This Really the First Time」。服装もサウンドもちょっとおしゃれになって、スタイル・カウンシルっぽいで感じがします。

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