まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ジャクソン・カナリー (Jackson Cannery)」ベン・フォールズ・ファイヴ(1995)

 おはようございます。

 今日はベン・フォールズ・ファイヴ「ジャクソン・カナリー (Jackson Cannery)」です。

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Stop the bus
I wanna be lonely
When seconds pass slowly
And years go flying by
You gotta stop the bus
I'll get off here
Enough's enough
I'm leaving this factory


All she wants
Is food on the table
I won't be able
To bring it home
All she wants, come on
All I need is free
'Cause I'm a factory


Did Mother Nature tell you
Boy you come and go as you please
That's what she said to me
But Big Brother got the keys
And I got Jackson Cannery

 

Millionaires and mill rats live side by side here
Messed up my brother's mind
He's far from Earth
Tell me what's he worth (nothing)
The same as you the same as me
In this factory


Did Mother Nature tell you
Boy you come and go as you please
That's what she said to me
But Big Brother got the keys
And I got Jackson Cannery


(Whoa)(Come on)(Whoa)(Whoa)
(That's pretty good, try it again)
(Whoa)
It's 4 in the morning
Mother don't know
That I'm going far away
She's whispering to the moon
I hope he don't join you soon


Baby boss
Climbs up on his soapbox
But Great Caesar's ghost
Knows what's best for me
He says stop the bus

 

Did Mother Nature tell you
Boy you come and go as you please
That's what she said to me
But Big Brother got the keys
And I got Jackson Cannery

 

Did Mother Nature tell you
Boy you come and go as you please
That's what she said to me
But Big Brother got the keys
And I got Jackson Cannery

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バスを止めろ
ひとりになりたいんだ
数秒がゆっくり過ぎるのに
月日が飛び去ってしまう時は
バスを止めなくちゃ
ここで降りるよ
もうたくさんさ
この工場を出て行くよ


彼女の望むものは
テーブルの上の食べ物
オレには家に持って帰れない
彼女が望むものなんて、そうさ
オレが欲しいのは自由なんだ
だって、オレは工員だから


母なる自然の言葉が聞こえたか?
少年よ、好きなように行き来するがいい
そう言ったんだよ
だけど、鍵を握っているのは支配者(ビッグブラザー
オレにあるのはジャクソン・カナリーさ


大富豪とドブネズミがここじゃ一緒に生きていて
兄貴のアタマをおかしくさせたんだ
彼の心はここから遥か彼方にいっちまった
彼の価値って何なんだ(何もない)
おまえだってオレだって変わりはしないさ
この工場の中じゃ


母なる自然の言葉が聞こえたか?
少年よ、好きなように行き来するがいい
そう言ったんだよ
だけど、鍵を握っているのは支配者(ビッグブラザー
オレにあるのはジャクソン・カナリーさ

 


朝の4時だ
母さんは知らない
オレが遠くに行くことを
彼女は月にささやいいている
”彼がすぐにあなたに合流しませんように”


うちの小ちゃいボスが演説台によじ登る
だけど、偉大なシーザーの亡霊は
オレにとって何がベストか知ってるんだ
彼は言うのさ、バスを止めろって

 

母なる自然の言葉が聞こえたか?
少年よ、好きなように行き来するがいい
そう言ったんだよ
だけど、鍵を握っているのは支配者(ビッグブラザー
オレにあるのはジャクソン・カナリーさ

 

母なる自然の言葉が聞こえたか?
少年よ、好きなように行き来するがいい
そう言ったんだよ
だけど、鍵を握っているのは支配者(ビッグブラザー
オレにあるのはジャクソン・カナリーさ

      (拙訳)

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 この曲に”Big brother got the keys"というフレーズが出てきますが、ライナーノーツやネットで調べてみた限り全部”兄貴が鍵を持っている”という風な和訳になっていて、確かに歌の中に兄弟がでてきて、彼は頭がおかしくなっちゃうんですが、その兄弟が鍵を持っているとはどういうことか、さっぱりわからなかったんです。

 

 でも、ひょっとして、ジョージ・オーウェルの「1984」に出てくる”独裁者”のことじゃないのかなと思って調べてみると、"Big Brother"と表記する歌詞サイトもあり、これは「1984」に言及していると思う、と歌詞サイトに意見を書き込んでいる海外の方も複数いたので、今回僕はそちらを選びました。

 

 ベン・フォールズ本人はこの曲についてこんな風に語っています。

「僕がひらめいたイメージのひとつなんだ。それは大学から職場までバスに乗っていた男で、その時感情が爆発して、バスの運転手に車を止めてもらって降ろしてもらって、最後はアイルランドU2を探すことになるんだ。彼は統合失調症で、施設に入ったり出たりしている。僕が惹かれたのは、彼が統合失調症であるということではなく、人生のどの時点なっても、ただ辞めてもいいということさ。そう思えば何でも辞められるのさ。そして、「バスを止めろ」というアイディアは、ちょっとドラマチックだと思っえたんだ。あなたがすべてやめるのをみんなが見なければいけないし、みんながあなたと一緒に止まらなければならないし、彼らはあなたを外に出してくれる。ジャクソンという名前は、僕が働き者だと思っていた知り合いの名前からとって、The Canneryはノースカロライナにある靴下工場さ。だから、名前を混ぜ合わせたんだよ、そして、この曲の決定的なフレーズは、「When seconds pass slowly and years go flying by(数秒がゆっくりと過ぎ、数年があっという間に過ぎていく)」だと思う。一瞬一瞬が死ぬほど退屈で、振り返ってみるとすべてが一瞬で過ぎ去っていた、ということさ」

(Turntable Online   March 1996)

 

 たしかに、「When seconds pass slowly and years go flying by」〜秒単位だとえらく長く感じるのに、気がつくと月日があっという間に過ぎてゆくという、不本意な仕事に身を置いている状況を見事に言い表したフレーズですね。

 

 あと、canneryは和訳では「缶詰工場」と出てきますが、フォールズは彼の地元ノースカロライナにある靴下工場のことだと言っています。

 

 

   ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム生まれたベン・フォールズは、9歳のときに父親が大工仕事の代償にもらったピアノに興味を持ち、ラジオでエルトン・ジョンビリー・ジョエルの曲を聴き耳で覚えながら、音楽にのめり込んでいったようです。

 

 そして1993年に彼がロバート・スレッジ、ダレン・ジェシーと組んだのがベン・フォールズ・ファイヴでした。何で5人じゃないのか?という質問に彼はかつて「自分達に必要なメンバーは3人に思えたから」と答えています。ファイヴ、がかっこよかったんですかね。

 そして1995年にリリースされたデビュー・アルバム「ベン・フォールズ・ファイヴ」の冒頭を飾っていたのがこの「ジャクソン・カナリー」でした。

 

 当初、彼は自分たちの音楽のことを”punk rock for sisters"と評していて、そういう客観的な視点も持ち合わせていたんですね。

 

 長いポップ・ミュージックの歴史の中でも”ピアノ・マン”というカテゴリーでは、もうエルトン・ジョンビリー・ジョエルの”二人勝ち”になっていますが、1990年代後半の短い期間に限れば、ベン・フォールズは日本ではエルトン、ビリーを凌ぐような人気がありましたね。

 

 そしてその”爽快な勢い”は「ベン・フォールズ・ファイヴ」というアルバムの中で、いつまでも新鮮なままでいるように思えます。

 

 あらためて調べてみると、彼らはヒット・チャートではそれほどのヒット曲はなかったんですね。本国アメリカでは100位に入った曲がなくて、かえってイギリスで人気があったようです。

 最後は、人気のあった日本向けに日本語で歌ったこの曲を。日本語の面白さだけじゃなく、曲自体もいかにも彼ららしい個性がはっきり出ているように思います。

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ベン・フォールズ・ファイヴ

ベン・フォールズ・ファイヴ

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 マチュア時代の彼はベン・フォールズみたいでした。彼の方が先輩ですけど。。

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