まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ウー・チャイルド(O-o-h Child)」ヴァレリー・カーター(1977)

 おはようございます。

 今日はヴァレリー・カーターの「ウー・チャイルド」です。

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Ooh-oo child
Things are gonna get easier
Ooh-oo child
Things'll be brighter
Ooh-oo child
Get it together and we'll get it all done
Ooh-oo child
The world is much brighter


Some day
We'll walk in the rays of a beautiful sun
Some day
When the world is much brighter
Some day
We'll get it together and we'll get it all done
Some day
When my head is much lighter

Ooh-oo child
Things are gonna get easier
Ooh-oo child
Things'll be brighter


Ooh-oo child
Things are gonna get easier
Ooh-oo child
Things'll be brighter

 

Ooh-oo child 

We'll get it together and we'll get it all done
Ooh-oo 
the world is much lighter

 

 

 

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ああ、子供たち、ものごとはもっと簡単になるわ

ああ、子供たち、世の中は明るくなるの

ああ、子供たち、力を合わせればなんでもできる

ああ、子供たち、世界はもっと輝くわ


いつか、美しい太陽の光をあびて歩くの

いつか、世界がもっと輝いたときに

いつか、みんなで力を合わせて成し遂げるの

いつか、私の頭の中が軽くなるとき

 

ああ、子供たち、ものごとはもっと簡単になるわ

ああ、子供たち、世の中は明るくなるの

ああ、子供たち、ものごとはもっと簡単になるわ

ああ、子供たち、世の中は明るくなるの

 

 

ああ、子供たち、力を合わせればなんでもできる

ああ、世界はもっと明るくなる


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 この動画で使われている映画は、1979年の「レベルポイント(Ove The Edge)」で、僕は見たことがなかったのですが、マット・ディロンが出演していて、サントラにはチープ・トリックが4曲、カーズが2曲、ほかはジミヘン、ラモーンズヴァン・ヘイレンリトル・フィートという面々で、この「ウーチャイルド」はサントラの最後に入っていて、映画でもラスト・シーンに使われていたようです。

 

 歌っているヴァレリー・カーターはジャクソン・ブラウンジェームス・テイラーローウェル・ジョージドン・ヘンリークリストファー・クロスロッド・スチュワート、ニール・ダイアモンドなど数多くのアーティストのバック・コーラスをつとめていたシンガーです。

 大変控えめで謙虚な性格のため、スター歌手には向いていなかったようですが、”天使の声”と評されるほどの歌声をに魅せられたまわりのミュージシャンたちに後押しされるように、彼女はソロ作品をいくつかリリースしています。

 

 最初のアルバムが1977年の「愛はすぐそばに(Just A Stone's Throw Away)」で、その冒頭を飾っていたのがこの「ウー・チャイルド」で、シングルにもなりました。

 ちなみにこの曲はカバーで、オリジナルはシカゴの兄弟姉妹グループ、ファイヴ・ステアステップスの1970年の大ヒット曲(全米8位)です。

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 スピナーズ、ニーナ・シモンダスティ・スプリングフィールドなど本当にたくさんのアーティストにカバーされていて、今やソウル・クラシックのひとつと言っていいでしょう。

 

   さて、十代の頃からコーヒー・ハウスで歌い始めた彼女は、1974年に”ハウディー・ムーン”という3人組フォーク・バンドの一員としてA&Mレコードからデビューします。メンバーの一人は元フィフス・アベニュー・バンドのジョン・リンド。レコーディングはプロデューサーの一人であるローウェル・ジョージ人脈のミュージシャンが集められました。彼らはLAのライヴ・ハウス”トルバドール”を拠点に活動していました。

 

 彼女が曲を作ってメインヴォーカルを録っている「Cook With Honey」(ジュディ・コリンズもカバーしています)。

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 ハウディ・ムーンがアルバム1作だけで、解散してしまったあと、彼女はバックコーラスの仕事を中心に活動していましたが、ローウェル・ジョージの後押しもあって1977年にソロ・デビューを果たしたわけです。

 このアルバムには他に、ジャクソン・ブラウンジョン・セバスチャンジェフ・ポーカロなどが参加していますが、興味深いのはE,W&Fのモーリス・ホワイトが2曲プロデュースしていることでしょう。

 

 そのうちの1曲「So So Happy」は、スキップ・スカボロウの作品。「Can't Hide Love」他 E,W&Fの曲をいくつも手がけた他、ビル・ウィザースの「Lovely Day」も書いいていて、気分が明るくなる曲をたくさん手がけた人なんですね。本当に稀有な才能です。それにしても「So So Happy」って、本当に彼らしいタイトルです。

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  その後、彼女は翌1978年に「ワイルド・チャイルド」というアルバムを出しますが、セールス的に成功しなかったようで、引き続きバックコーラスの仕事に専念していくことになります。

 

 しかし、アーティストからの彼女の人気は高かったようで、ビッグ・アーティストが彼女のことを歌にしています。

 

「Valerie」スティーヴ・ウィンウッド(1982年)。歌詞を書いたウィル・ジェニングスは1970年代中頃、ヴァレリーとトム・ヤンスと3人で仲が良く、多くの時間を一緒に過ごしたと回想しています。

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 「That Girl Could Sing」ジャクソン・ブラウン(1980年)。2017年のコンサートで彼はこの曲をヴァレリーに捧げるとアナウンスし「これは彼女について書いた曲だ。僕はただ彼女に夢中だった時期があったんだ」と語ったそうです。

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 ちなみに、ジャクソン・ブラウンの「孤独のランナー」に入っていた「Love Needs a Heart」という曲はジャクソンとヴァレリーローウェル・ジョージの共作でした。

 

 また、E,W&Fのアルバム「FACES」(1982年)に収録された「Turn It Into Something Good」という曲を共作しています。

 

 そして、1996年に彼女は日本のポニー・キャニオンからのラヴ・コールにより、久しぶりのアルバム「The Way It Is 」をリリースしています。

 

E,W&Fの名曲「That's the Way of the World」のカバー

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 2017年に残念ながら彼女は心臓発作で亡くなってしまいます。その翌年には彼女への追悼の思いを込めた未発表集「The Lost Tape」がリリースされ、その中にプリンスとの共作曲が含まれていました。

 プリンスが大ブレイクする前、1970年代後半にマネージメントが同じだった二人は意気投合し、彼女のアルバムを彼がプロデュースするという話もあったのだそうです。

 最後はその二人の共作曲「I Got Over It」を。

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