まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「Happy Time Happy Song」KAN(1999)

 おはようございます。

 今日はKAN。

 僕は大学生の時、ヤマハの「East West '84」というアマチュア・コンテストに出場していた彼を見て衝撃を受けたことを今でも覚えています。”日本にもビリー・ジョエルがいた!”とか、10年後にベン・フォールズ・ファイヴが出てきたときは”あの時のKANみたいだ”と思ったものです。きっと原田真二佐野元春みたいな天才肌の洋楽色の強いアーティストになるんだろうなあ、とイメージしていました。

 しかし、メジャーデビューした彼は、そのイメージとはちょっと違いました。気さくなお兄ちゃんポップスという感じで、僕は正直少しがっかりしたものです。JPOPにすり寄り過ぎじゃないか、と。

 でも、今回あらためて聴き直してみると、歌詞を思いっきり”日本仕様”にしているだけで、彼は洋楽をルーツにしたポップスをずっと貫いていることに気づきました。メロディは歌謡曲方向には決して行かない。飄々とちょっとコミカルにふるまいながら自分のこだわりは譲らない人なのかもしれません。

 

 さて、この「Happy Time Happy Song」もメロとアレンジはかなり洋楽っぽい。しかし、そこに「さあ 学生さん 今は後先考えないでおやんなさい」などという、いかにも彼らしい親しみやすい語り口が載っている。それによってまた曲全体の温かみが増している気がします。

 そして「本当の僕は小さい小さい音楽家です」というフレーズが出てきます。自分を”すごいアーティストのようには絶対に見せようとしない、彼なりの美学がぽろっと表れたような言葉と思います。

 「愛は勝つ」の頃みたいにテレビで彼を見かけることは滅多になくなってしまいましたが、今の彼の方がはっきり言って”凄い”です。35年前に僕が衝撃を受けた姿に近いのは今の彼だと思います。

   相変わらず、飄々とコミカルに振舞っていますが、山下達郎桑田佳祐とはまた違う日本のポップスの高みに達していると僕は感じています。

 なんか今回は、熱のこもったKANへの応援メッセージみたいになってしまいました。すみません!

 


happy time happy song - kan

 

KREMLINMAN

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