まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「輝く星座/レット・ザ・サンシャイン・イン(Aquarius / Let the Sunshine In)」フィフス・ディメンション(1969)

 おはようございます。

 今日はフィフス・ディメンションの「輝く星座/レット・ザ・サンシャイン・イン」です。

www.youtube.com

*******************************************************************************

When the moon is in the Seventh House
And Jupiter aligns with Mars
Then peace will guide the planets
And love will steer the stars


This is the dawning of the age of Aquarius
The age of Aquarius
Aquarius
Aquarius


Harmony and understanding
Sympathy and trust abounding
No more falsehoods or derisions
Golden living dreams of visions
Mystic crystal revelation
And the mind's true liberation
Aquarius   Aquarius


When the moon is in the Seventh House
And Jupiter aligns with Mars
Then peace will guide the planets
And love will steer the stars


This is the dawning of the age of Aquarius
The age of Aquarius
Aquarius   Aquarius
Aquarius   Aquarius

 

Let the sunshine
Let the sunshine in
The sunshine in

Let the sunshine
Let the sunshine in
The sunshine in

Let the sunshine (Oh let it shine!)
Let the sunshine in (Come on)
The sunshine in (Now everybody just sing along)

Let the sunshine (And let the sun shine on in)
Let the sunshine in (Open up your heart)
The sunshine in (Let it shine on in)

(And when you're lonely)
Let the sunshine (Hey! Let it shine, yeah)
Let the sunshine in (You got to open up your heart)
The sunshine in (And let it shine on in)

(And when you feel like you've been mistreated)
Let the sunshine (And your friends turn their back upon ya)
Let the sunshine in (Just open up your heart)
The sunshine in (And let it shine on in)

(You've got to feel it)
Let the sunshine (You've got to feel it)
Let the sunshine in (Ahh, open up your heart and let it shine on in)
The sunshine in

(And let me tell you one thing)
Let the sunshine (I want you to sing along with the 5th Dimension)
Let the sunshine in (Hey, open up your heart)
The sunshine in

(Aww, come on)
Let the sunshine (Let it shine)
Let the sunshine in (Everyday)
The sunshine in (Hey, you got to feel it)

Let the sunshine (You got to feel it)
Let the sunshine in (When you open up your heart)
The sunshine in (You gotta let the sun come on in)

(And I see in the mornin')
Let the sunshine (And late at night)
Let the sunshine in (Open up your heart)
The sunshine in (Hey!)

*******************************************************************************

月が第7ハウスにあって
木星と火星が並ぶ
そのとき、平和が惑星を導き
愛が星の舵をとる


これは水瓶座の時代の夜明け
水瓶座の時代
アクエリアス アクエリアス


調和と理解
共感と信頼でいっぱいになって
虚偽や嘲笑はもういらない
黄金の生き生きとした幻想の夢
神秘的なクリスタルの啓示
そして心の真の解放
アクエリアス アクエリアス


月が第7ハウスにあって
木星と火星が並ぶ
そのとき、平和が惑星を導き
愛が星の舵をとる


これは水瓶座の時代の夜明け
水瓶座の時代
アクエリアス アクエリアス
アクエリアス アクエリアス

 

太陽を、太陽を向かい入れよう
太陽の光を入れるんだ、、、、

           (拙訳)

 

*******************************************************************************

 

 <月が第7ハウスにあって>っていきなり謎の歌詞ですが、ハウスというのは占星術の概念で、ホロスコープを12に分割したもののようです。第1ハウスから第12ハウスまであって、それぞれ意味があるようです。僕は全くわかりませんが、、。

 

 

 この曲を歌うことになった経緯について、メンバーのフローレンス・ラルーはこう回想しています。

 フィフス・ディメンションのメンバーのある男性が財布をなくしたの。私たちはニューヨークのアメリカーナ・ホテルで演奏していたんだけど、別の男性が彼の財布を見つけて、アメリカーナに持ってきて返してくれたのよ。それで、私たちは彼をショーに招待して、彼は私たちを彼のショーに招待したの。その人は「ヘア」のプロデューサーだった。それで「ヘアー」を見に行ったときにこの曲を聴いて「おお!これはやらなきゃ!」と思って、私たちのプロデューサーに提案したわ。

 すると彼は、”いや、それはあまりいいアイデアではないと思うよ。なにより、オリジナル・キャストのアルバムが発売されているのに、あまり売れていないからね」と言われたわ。だけど、彼は私たちのところに戻ってきて”『輝く星座』と『レット・ザ・サンシャイン・イン』を一緒に録音しよう”と言ってきた。2曲は別々の曲だったけど、そういう感じで始まったのよ。

 みんな、どうしてこの曲を録音したのかとたずねるわ。私たちは、星占いにはまったく興味はなかった。この曲は、希望と楽しさと調和を歌っていて、元気が出る曲だったから録音したの。それがレコーディングした理由よ」

 (American  Songwriter   2021 10月3日)

 

 また「ビルボード・ナンバー1ヒット(上)1955-1970」という本によると、財布をなくしたのはビリー・デイヴィスJRで、なくした場所はタクシーの中だったようです。ビリーが降りた後、きっとそのタクシーに「ヘアー」のプロデューサーが乗り込んだわけですね。

 彼らのプロデューサーのボーンズ・ハウは、メンバーに勧められ「ヘアー」を観にいき、そこで2曲を一緒にするアイディアを思いつき、一転、やる気になったようです。

 

 ミュージカル「ヘアー」はブロードウェイ初のロック・ミュージカルと呼ばれる作品で、1960年代後半のヒッピー・カルチャーや性革命に対する作者の見解を反映されていて、いくつかの曲はベトナム戦争反対の平和運動のアンセムとなっています。

 主に1960年代後半から1970年代初頭にかけて上演され、日本でも1969年末から1970年にかけて上演され、元ザ・タイガース加橋かつみが主要キャストをつとめています。

 ちなみに、細野晴臣と”エイプリル・フール”を組んでいた小坂忠がバンド解散後、細野と松本隆とともに新バンドを組もうとしていた矢先に「ヘアー」に出演することになり離脱し、そのタイミングでたまたま大瀧詠一から連絡があったことで生まれたのが、”はっぴいえんど”だったと言われています(細野は小坂の「ヘアー」のオーディションの時にギターの伴奏をしたそうで、それがバンドをやめるきかっけになったので細野は松本隆に叱られたと語っていたようです)

             (参考:「細野晴臣と彼らの時代」(門馬雄介 著)

 

 また、「ヘアー」のドイツ公演に出演していたのが無名時代のドナ・サマー。彼女が初めて出したシングルというのが実は「アクエリアス」のドイツ語ヴァージョンでした。

www.youtube.com

 

 さて、この曲のテーマになっている「水瓶座の時代(The age of Aquarius)」というのは、この時代に流行した”ニューエイジ”というヒッピーの思想とも通じる”自己意識運動”、現代で言う”スピリチュアル”と合い通じるところもありながら、より政治的、社会的なムーヴメントになったものを象徴的するものだったようです。

 そして、その思想を背景に作品にしたのが「ヘアー」であり、イベントになったのが「ウッドストック」であったとされています。

 

 僕は全く詳しくないのでネットでの”にわか知識”になりますが、占星術で「魚座の時代」から「水瓶座の時代」に移行すると、物質主義の世界から、目に見えないもの、霊的、精神的な世界へと変わる、というような考えがあるのだそうです。

 物質主義に向かってゆく社会や、当時泥沼化していたベトナム戦争などに異議を唱えた若者たちのビジョンを象徴的に言い表していたのが、”水瓶座の時代”だったのでしょう。 

 また、ネットで検索してみると、占星術的にはそれぞれいろんな解釈があるようですが、2020年末あたりから「水瓶座の時代」になったと言う意見が多く見受けられます。   確かにその間に「コロナ」という人間の考え方を根本から大きく揺るがすようなことがあったわけですが、これから人類の考えや価値観は変わっていくのでしょうか?

 

 さて、最後は、たくさんあるこの曲のカバーの中からダイアナ・ロス率いるスプリームスのヴァージョンを。フィフス・ディメンションはその前身グループ時代、憧れていたモータウンのオーディションを受けてベリー・ゴーディーに落とされたという経歴がありましたから、そのグループの曲をモータウンのNO.1グループがカバーすることになるとは面白いものですよね。

www.youtube.com

 

 

popups.hatenablog.com

 

f:id:KatsumiHori:20211014103849j:plain