まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「長い夜(25 or 6 to 4)」シカゴ(1970)

 おはようございます。

 今日はシカゴの「長い夜」です。

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Waiting for the break of day
Searching for something to say
Dancing lights against the sky
Giving up I close my eyes
Sitting cross-legged on the floor
25 or 6 to 4

Staring blindly into space
Getting up to splash my face
Wanting just to stay awake
Wondering how much I can take
Should have tried to do some more
25 or 6 to 4

Feeling like I ought to sleep
Spinning room is sinking deep
Searching for something to say
Waiting for the break of day
25 or 6 to 4
25 or 6 to 4

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夜明けを待ちながら
何か言いことを探している
空に向かって舞う光
あきらめて目を閉じる
あぐらをかいて床に座る
4時まであと25、6分

 

わけもなく虚空を見つめる
顔を洗うために立ち上がる
ただ目覚めたままでいたい
どれだけもつのか考えながら
もう少しやってみればよかった
4時まであと25,6分

 

眠ったほうがいい気がする
部屋回転しながら深く沈んでゆく
何か言うことを探しながら
夜が明けるのを待っている
4時まであと25、6分
4時まであと25、6分

 

 (拙訳)

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 ”25 or 6 to 4”。

 このタイトルの数字をめぐって、その意味が長い間取りざたされてきました。

 6時から明け方4時まで効きめがあることからLSD「6 to 4」と呼ぶことがあったらしく、またLSDの化学組成と結びつける説もあり、その多くはこの曲を薬物と結びつけたものだったようです。

 

 タイトルの数字の意味について数えきれないほど質問されてきた、作者でシカゴのメンバーである、ロバート・ラムは2017年のインタビューではこう端的に語っています。

「"25 or 6 to 4"は、時計の針のことで、片方の針が時計の25と6の間にあって、もう片方の針が4の近くにあったときのことを歌っているんだ」

(Songwriter Universe   March 6, 2017

 

もう少し、彼の発言を探してみました。

 

「時間のことを指しているんだ。曲を書くことについての歌だ。ちょうど書いているときに時計を見たら、朝の4時まで25分だったか、26分だったか、ということ。アース・ウィンド&ファイアーのメンバーの中には、"あの曲を書いたとき、君はLSDをやっていたはず!"と言ったんだ。もちろん、僕は言ったよ。 "いやいや、君は間違っている "って。確かに、LSDの時代だったけどね」

   (BU TODAY  June 15, 2009)

 

「僕はウィスキー・ア・ゴーゴー(ライヴハウス)の近くに住んでいたんだ。ある夜、家に帰ってきて、何となくくつろいでいると、ピアノの前に座って、まだ名前も歌詞もないリフのようなものを弾き始めたんだ。たぶん30分くらいだらだらとそれを弾いてから、街を眺めると、高いビルのあかりが見えた。それが、"空に向かって舞う光 "という歌詞になったんだ」

「時間は正確にはわからなかったけど、時計の針は午前4時25、26時分前あたりだった」

「とりあえず、この曲を作る過程を書いてみよう。歌詞の内容は後で考えよう、と思ったんだ。でも、その必要はなかった」

 (abc NEWS RADIO  October 15, 2019 )

 

 さて、この「長い夜」は彼らのセカンドアルバム「シカゴII(シカゴと23の誓い)(原題:Chicago)」からのセカンド・シングルとして全米4位の大ヒットになりました。

 タイトルの意味云々関係なく、この曲の演奏はやはりかっこいいですよね。ホーン・セクションのフレーズも見事ですが、全編を通して”深夜の錯乱した感じ”を見事に表現しているギターがすごいですね。みんながこの曲を薬物を結びつけたがるのは、このギターが一番の要因じゃないか、なんて僕は思いますが。

 イントロのギターのリフに関しては、作者のロバート・ラムが考えて、ギタリストのテリー・キャスに教えたそうです。ラムはキーボーディストですが、独学でギターも弾いて時折作曲やアレンジで使ったそうです。そして、ラムが考えたリフをキャスに弾いてみせると、彼はいつも楽々と、即座にラムが望んでいたようなプレイをしてくれたといいます。

 

 ラムはこう語っています。

「書き上げた曲のほとんどは、特に初期の頃は、バンドに渡してリハーサルをするとき、それが曲が形になるときなんだ、彼らがその曲を把握したときにね」

「確かに、たくさんの手のつけていない素材があった。歌詞を書いて、コード進行を書いて、リハーサルに譜面を持ってきたときには、僕はそれが曲だと思っていたけれど、みんなが演奏するまでは本当の意味での曲ではなかったんだ」

 (https://ultimateclassicrock.com/     June 25, 2021)

 

 シカゴのようなバンドはまさに、プレイヤーたちのアンサンブルによって事実上曲が完成するんですね。

 ジミ・ヘンドリックスはシカゴの演奏を初めて見たときに、ホーンセクションは肺が1セットになって吹いているようで、ギターは俺よりうまい、と言ったそうです。70年代半ば以降バラード・バンドの印象が強くなりますが、元々は凄腕バンドだったんですね。

 最後はこの曲のライヴ映像を、テリー・キャスのギターの存在感が他を圧倒していますね。

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