おはようございます。
今日は「夢のカリフォルニア」。寒い冬の日に、暖かいカリフォルニアのことを夢見るという歌です。
今の世界はとっくに春が来ているのに、まだ春を夢見て待ちわびているような状況ですが、、。
The Mamas & The Papas - California Dreamin'
All the leaves are brown
And the sky is gray
I've been for a walk
On a winter's day
I'd be safe and warm
If I was in L.A.
California dreamin'
On such a winter's day
Stopped in to a church
I passed along the way
Well, I got down on my knees
And I pretend to pray
You know the preacher liked the cold
He knows I'm gonna stay
California dreamin'
On such a winter's day
All the leaves are brown
And the sky is gray
I've been for a walk
On a winter's day
If I didn't tell her
I could leave today
California dreamin'
On such a winter's day
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"木々の葉はみんな枯れて 空はグレイ
僕は散歩しているのさ ある冬の日に
何も心配もなく暖かく過ごせたのにな
もしL.Aにいたならね
カリフォルニアを夢見ている こんな冬の日に
教会に立ち寄って 通路を歩いていった
それで、僕は跪いて、祈るふりをした
何しろ牧師っていうのは寒いのが好きだからね
僕がここにとどまるって知っているのさ
カリフォルニアを夢見てしまう そんな冬の日さ
木々の葉はみんな枯れて 空はグレイ
僕は散歩しているんだ ある冬の日に
もし彼女に言わなかったら
今日立ち去れたかもしれなかった
カリフォルニアを夢見ている こんな冬の日に
カリフォルニアを夢見てしまう そんな冬の日さ” (拙訳)
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ママス&パパスはジョンとミッシェルのフィリップス夫妻とキャス・エリオット、デニー・ドハーティの4人、男女2人ずつで構成されています。
この曲はジョンとミッシェルが結婚したばかりの1963年にニューヨークで書かれたそうです。ジョンが曲を思いつきミッシェルが主に歌詞を書きました。
メンバーのうちミッシェルだけがカリフォルニア出身で、ジョンとキャスは東海岸、デニーがカナダ出身です。ジョンがニューヨークを拠点にジャーニーメンというフォーク・グループを組んで西海岸にツアーに行った時に、まだ18歳だったミッシェルと恋に落ちて結婚し一緒にニューヨークに住むようになったのです。
暖かいカリフォルニアから寒いニューヨークに越して来た彼女の気持ちが歌詞に反映されているわけです。
ちなみにそれまでキャスとデニーが組んでいた”マグワンプス”というグループにはラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキーもいたそうです。
(ジョン・セバスチャンはサポート・メンバーだったようですが)
ママス&パパスを結成した彼らは、知り合いだったシンガーのバリー・マクガイアの伝手を使って、レコード会社のオーディションを受けるためにニューヨークからLAに行きます。バリーの家に彼らは居候していたそうです。
そして彼らはオーディションに合格しレコード会社と契約します。ダン・ヒルといってルー・アドラーというプロデューサーが作ったレーベルです。ルーはアメリカ西海岸のポップスの最重要人物の一人で、昨日このブログに登場したペギー・リプトン、そしてキャロル・キングの「つづれおり」などを手がけています。
最初彼らは「夢のカリフォルニア」を”恩人”バリー・マクガイアに提供し、バック・コーラスとして参加します。
ルー・アドラーのプロデュースなので当然”レッキング・クルー”が集められます。
(ハル・ブレイン、ラリー・ネッチェル、ジョー・オズボーンなど)
Barry McGuire - California Dreamin
しかし、この曲は彼ら自身が歌うほうがいいとルーが判断したのでしょう(彼ら自身が希望したという説もあります)、同じオケを使って作り直すことになります。そして、バド・シャンクのフルートをプラスしました。
ママス&パパスのヴァージョンを聴くと、出だしの”All Leaves Are Brown"というところで左スピーカーから低い男の歌声が聴こえますが、これはバリーの歌が残ってしまったといわれています。
リリースされても当初は売れなかったようですが、ボストンのラジオ局がかけはじめ、じわじわ広がっていき大ヒットになりました。
カバー・ヴァージョンもいろいろありますが、僕の世代はこの曲というと1979年の映画「カリフォルニア・ドリーミング」のイメージが強いです。カリフォルニアに憧れてシカゴからやってくる少年の話でした。日本人にとっても、カリフォルニアは”憧れの土地”だったんです。
映画のためにこの曲をカバーすることになったのはアメリカでした。
AMERICA - California Dreaming - Music From The Motion Picture Soundtrack CALIFORNIA DREAMING
もともとは”カリフォルニアが恋しい”というだけの歌だったのですが、時代とともに夢の国”カリフォルニア賛歌”のような地位にまでのぼりつめます。そしていよいよ”カリフォルニアの象徴”ビーチ・ボーイズ”も1986年にカバーします。ギターでザ・バースのロジャー・マッギンが参加、PVにはジョンとミッシェルも出演しています。
Beach Boys - California Dreaming
最近では2015年のドゥエイン・ジョンソン主演のカリフォルニアの大地震を描いた映画「カリフォルニア・ダウン」でシーアのカバーが使われました。夢の土地、カリフォルニアの崩壊を印象付ける演出として使われたわけですが、この映画の映像を見るとこれはもう”悪夢のカリフォルニア”としか言いようがないですね、。ちなみに、ママス&パパスのキャス・エリオットは1968年に「カリフォルニア・アースクエイク」というシングルを出しています。
また、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でもこの曲は使われていました。盲目のギタリスト、ホセ・フェリシアーノの哀しげなカバーが映画のトーンによく合っていました。
California Dreamin' | Once Upon a Time in Hollywood OST