まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ジャスト・ア・リトル・ラヴィン(Just a Little Loving)」ペギー・リプトン(1969)

 おはようございます。

 今日は「Just a Little Loving」。マニアックですが、ペギー・リプトンという女優が歌っているヴァージョンを紹介します。

 


PEGGY LIPTON~JUST A LITTLE LOVING LIVE 1969

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Just a little lovin'
Early in the mornin'
Beats a cup of coffee
For starting off the day

Just a little lovin'
When the world is yawnin'
Makes you wake up feeling
Good things are coming your way

This old world
Wouldn't be half as bad
It wouldn't be half as sad
If each and everybody in it had…

Just a little lovin'
Early in the mornin'
That little extra somethin'
To kinda see them through

Nothing turns the day on
Really gets it dawnin'
Like a little bit of lovin'
From some lovin' someone like you

This old world
Wouldn't be half as bad
It wouldn't be half as sad
If each and everybody in it had

Just a little lovin'
Early in the mornin'
(Just a little lovin')
(When the world is yawnin')
Just a little bit of lovin' ah
Oh, in the morning
Nothing turns the day on
Really gets it dawnin'
Make a little bit of lovin'
It's so good, it's so good

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   ”ほんの少しの愛情を 朝早いひとときに

    一杯のコーヒよりも 一日を始めるためには必要なもの

 

    ほんの少しの愛情を 世界が目覚めた時に

         それがあれば、あなたは何かいいことがありそうな予感とともに

    目を覚ますの

   

   いつものこの世界も 今までの半分も悪くなくなって

   半分も悲しくなくなるだろう

   もし、それぞれみんなが、ほんの少しの愛情を持てたなら

 

        ほんの少しの愛情を 朝早い時間に

        そのささやかで特別な何かを
        いくらかでも成し遂げるために

 

        他のどんなものも新しい日は始めさせてくれない

   光を見させてくれない

        あなたのような人がくれる ほんの少しの愛情のようには

 

  この見慣れた世界は いまの半分ほども悪くなく

  半分ほども悲しくなくなるだろう

  もし、それぞれみんなが ほんの少しの愛情を持てたなら

        

     ほんの少しの愛情を 朝早い時間に

        ほんの少しの愛情を 

  (それがなければ)一日は始まらない 夜は明けない

  ほんの少しの愛情を生み出すの それはとても素晴らしいこと”  

                                                                                    (拙訳)

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 この曲を書いたのはバリー・マン&シンシア・ワイル。最初に歌ったのはダスティースプリングフィールドです。


Dusty Springfield Just a Little Loving

 この曲はバリー・マンバート・バカラックの影響を受けて書いたものだと本人が語っています。

 マンとワイルの自信作であり、レコード会社もシングルにするつもりでしたが、「プリーチャー・マン」という曲のB面としてリリースされました。それは「プリーチャー・マン」はもともとアレサ・フランクリン用の曲でお蔵入りになったもので、かなりR&B、ブルース色が強く、ダスティが歌って世の中に受けるかどうか半信半疑だったようで、もし反応が悪かったらすぐに「Just a Little Loving」をA面にしようという作戦だったそうです。

 結果として「プリーチャー・マン」がヒットしたため「Just a Little Loving」は日の目を見ませんでしたが、この曲の良さは広まったようですぐにカバーされます。しかも、カーメン・マクレエサラ・ヴォーンバーブラ・ストライサンドといった凄い歌手が取り上げたのです。

 


Just a Little Lovin'- Carmen McRae


Sarah Vaughan - Just A Little Lovin'


Barbra Streisand - Just A Little Lovin' (Early In The Mornin')

 

  でも聴いていて、う〜ん、みんなあまりにも上手すぎる!と思ってしまった僕は、誰か他にいなかったかなと思ってたどりついたのが、ペギー・リプトンでした。

 ダスティの翌年のリリースですから、かなり早いタイミングでのカバーです。

 

 ペギー・リプトンは女優で、1960年代後半に『モッズ特捜隊』(The Mod Squad)というTVドラマでブレイクし、クインシー・ジョーンズの奥さんになった人です。

クインシーと離婚するタイミングで女優復帰し「ツイン・ピークス」にも出演していました。

 その彼女が1968年にリリースした唯一のアルバム「ペギー・リプトン」はポップス・マニアにはよく知られた作品でした。キャロル・キングの「つづれおり」と同じレーベル(オード)とプロデューサー(ルー・アドラー)。そして、レッキング・クルーをはじめとする演奏陣(ハル・ブレイン、ジョー・オズボーン、チャールズ・ラーキー、ラリー・ネクテル、マーティー・ペイチ)、そしてキャロル・キングローラ・ニーロの曲を取り上げていること、など興味深い要素が満載で、しかも本人も相当な音楽好きだったらしく、かなりクオリティの高いオリジナル曲を書いています。

 そして決して上手くはありませんが、とても雰囲気のある声質も魅力です。

 彼女が歌う「Just a Little Loving」はそのアルバムには収録されず、シングルのB面としてリリースされましたが、のちに「コンプリート・オード・レコーディングス」というCDに収録されました。

 

 バーブラやカーメンの歌を聴くと、ちょっとの愛情じゃなく、いっぱい必要な気分になっちゃいますが(笑)、ペギーが歌うと、ちょうどいいと感じるのは僕だけなんでしょうか?

  

   新しいところでは2007年にシェルビー・リンというシンガーが、ダスティのトリビュート・アルバムを作ってその中でカバーしています。心を少し揺さぶられるような切ない歌いっぷりです。

 


Just A Little Lovin'

 

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