まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Rainin' Through My Sunshine」ザ・リアル・シング(1978)

  おはようございます。

 今日も雨の歌ですが、僕が思うに”雨の歌史上最も(?)”グルーヴが心地よい曲です。

 歌詞は悲しいですが、、、。


Real Thing - Rainin' Through My Sunshine

 

 "太陽が眩しく輝いてる だけどなんだかしっくりこない

  僕の上に雨が降っているからさ 

  おお、ガール  どうしたら君にわかってもらえるんだろう?

  どれほど君が僕にとって大切な人かって

 

   陽射しの中で僕に雨が降っている

 

 僕は影の中で生きているんだ 

 ここに君がいなけりゃ 道も狭く感じる

    君がいないと 僕はダメなんだ

 おお、ガール どうしたらいいかわからないんだよ

 

 陽射しの中で僕に雨が降っている

 

   君の面影が消えてくれないんだ

   ベイビー、君なしでは 毎日どう生きたらいいのかわからない

 

 陽射しの中で僕に雨が降っている

 帰ってきてほしい

 どうしようもなく君が必要なんだ 

 君がいないと 生きることさえしっくりこないんだ

 おお、ガール 一緒にいたいんだ

 だから僕がどうしたらいいか教えてほしい

 

 陽射しの中で僕に雨が降っている、、、、、、”(拙訳)
 

 ザ・リアル・シングはイギリスのR&Bグループです。グルーヴが心地よくていい曲がけっこうたくさんあって、もっともっと知られてほしいと個人的には思っています。

  彼らは1970年頃から活動を始め、 R&Bの音楽評論家の第一人者である吉岡正晴さんのブログによると、当初は、ザ・ソフィスティケーテッド・ソウル・ブラザーズと名乗っていたが、マネージャーがコカ・コーラのテレビCMで見たフレーズ「リアル・シング」(本物!)から取って、グループ名をリアル・シングとした、のだそうです。

 

 しばらくは鳴かず飛ばずだったようですが、1976年に「You To Me Everything」が全英3週連続1位の大ヒット(アメリカでは64位)になります。


The Real Thing - You To Me Are Everything

 次のシングル「Can't Get By Without You」は全英2位の大ヒット(その時の1位はアバの「ダンシング・クィーン」だったそうで、仕方ないですね、、、)。


REAL THING - Can't Get By Without You (HQ)

 この2曲を書いたのはケン・ゴールドとミッキー・デン。ケンはプロデュースもやっています。実は二人は白人で、”イギリスのホール&オーツ”なんて呼ぶ人もいて、彼ら自身のアルバムもAORマニアなどから高い評価を得ています。


Denne And Gold - Let's Put Our Love Back Together

 彼らの曲は日本のハイ・ファイ・セットも取り上げています。これが隠れた名曲!

「まぶしい貴方」(1977年「ラブ・コレクション」収録)


HI FI SET「まぶしい貴方」

 

 さて、そしてこの「Rainin' Through My Sunshine」ですが、曲を書いたのはグループのメイン・ボーカルのクリス・アムー。プロデュースはケン・ゴールドのようです。

 

 僕はリアルタイムでは知らなくて、どなたかのプレイリストで知って気に入りました。調べてみると、1980年に山下達郎がFMの番組でカバーしていて、ファンの方には有名な曲だったんですね。

   この曲がリリースされる前年にビル・ウィザースの「Lovely Day」がヒットしていますので、その影響は感じますね。

 

popups.hatenablog.com

  そして注目したいのがリズム・パターン。カーティス・メイフィールドの「Tripping Out」、山下達郎「甘く危険な香り」で有名なパターンですね。昔から「Tripping Out」は「甘く危険な香り」の元ネタだという評判があって、達郎氏はそれは完全否定していますので、このリズム・パターンはカーティスよりも前の「Rainin' Through My Sunshine」が念頭にあったのかもしれませんね。

 

 ともかく、当時全英チャートで最高40位と決してヒットとは呼べないものでしたが、この曲の魅力に気づいてラジオでカバーまでした達郎氏のスタンスは素晴らしいと思います。当時は、洋楽を今のように純粋な音楽的な快感をもとにジャンルにとらわれず自由に聴くなんていう風にはリスナーは成熟していなかったですから。

 

 *今回初めて聴きましたが、このカバーは素晴らしいですね


Tatsuro Yamashita - Rainin' Through My Sunshine - 山下達郎

 元ネタがなんだとか言うよりも、「甘く危険な香り」も「Tripping Out」も「Rainin' Through My Sunshine」も、このリズム・パターンにはちょっと抗いがたい魔力がある気がするので、それをシンプルに楽しむのが一番だと僕は思います。

 

Best Of

Best Of

  • アーティスト:The Real Thing
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: CD
 

 

 

ラブ・コレクション

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