まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「オール・アイ・ワナ・ドゥ (All I Wanna Do) 」シェリル・クロウ(1993)

 おはようございます。

 今日はシェリル・クロウの「オール・アイ・ワナ・ドゥ」です。


All I Wanna Do

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Hit it   This ain't no disco
And it ain't no country club either
This is L.A.

All I want to do is have a little fun before I die
Says the man next to me out of nowhere
It's apropos of nothing he says his name is William
But I'm sure he's Bill or Billy or Mac or buddy

And he's plain ugly to me, and I wonder if he's ever
Had a day of fun in his whole life

We are drinking beer at noon on Tuesday
In the bar that faces the giant car wash
And the good people of the world
Are washing their cars on their lunch breaks
Hosing and scrubbing as best they can
In skirts and suits

And they drive their shiny Datsuns and Buicks
Back to the phone company, the record stores, too
Well, they're nothing like Billy and me

'Cause all I wanna do is have some fun
I got a feeling I'm not the only one
All I wanna do is have some fun
I got a feeling I'm not the only one
All I wanna do is have some fun
Until the sun comes up over
Santa Monica Boulevard

I like a good beer buzz, early in the morning
Billy likes to peal the labels from his bottles of bud
He shreds them on the bar then he lights up every match
In an over-sized pack letting each one burn
Down to his thick fingers before blowing and
Cursing them out, he's watching
The bottles of bud as they spin on the floor

And a happy couple enters the bar
Dangerously, close to one another
The bartender looks up from his want ads

But all I wanna do is have some fun
I got a feeling I'm not the only one
All I wanna do is have some fun
I got a feeling I'm not the only one
All I wanna do is have some fun
Until the sun comes up over
Santa Monica Boulevard

Otherwise the bar is ours, the day and the night
And the car wash, too
The matches and the buds, and the clean and dirty cars
The sun and the moon

But, all I wanna do is have some fun
I got a feeling I'm not the only one
All I wanna do is have some fun
I got a feeling I'm not the only one
All I wanna do is have some fun
I got a feeling the party has just begun
All I wanna do is have some fun
I won't tell you that you're the only one
All I wanna do is have some fun
Until the sun comes up over
Santa Monica Boulevard
Until the sun comes up over
Santa Monica Boulevard

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”(演奏)はじめるよ、

ここはディスコでもなく、カントリークラブでもない LAなの

 

死んじまう前にちょっと楽しみたいだけなんだよ、って

どこからともなく聞こえて来て、見たら隣に座った男が言ってた

それは出し抜けで、男は名前はウィリアムだと言ったけど

私はビルかビリーかマックかバディに間違いないと思う

 

 私には彼は全く不細工にしか見えなくて

今までの人生で楽しかった日が1日でもあったのかしらって思っちゃった

 

私たちは火曜日の昼間っから 

馬鹿でかい洗車場の向かいのバーでビールを飲んでいる

世の善良な人々は昼休みに自分たちの車を洗っている

スカートやスーツ姿で

ホースで水をかけながらゴシゴシと精一杯磨いている

 

そして彼らはピッカピカのダットサンビュイックに乗って

電話会社やレコード店に戻ってゆくの

まあ、彼らはビリーや私とは違うのよ

 

だって、私はただ楽しみたいだけ

そう思うのは私一人じゃないはず

私はただ楽しみたいだけ

そう思うのは私一人じゃないはず

私はただ楽しみたいだけ

サンタモニカ通りの上に太陽がのぼるまで

 

私は朝っぱらからビールでワイワイ盛り上がるのが好き

ビリーはバドワイザーの瓶のラベルを剥がすのが好きだ

それをカウンターの上で細かくちぎって

大きな箱からマッチを出し次々に火をつけて

吹き消す前に彼の太い指で燃やしつくして、悪態をつくの

そして、床でバドワイザーの瓶がくるくる回るのを眺める

 

すると幸せそうなカップルがバーに入ってきて

危ないくらい、くっつきあっている

バーテンダーは求人広告から目をあげる

 

だって、私はただ楽しみたいだけ

そう思うのは私一人じゃないはず

私はただ楽しみたいだけ

そう思うのは私一人じゃないはず

私はただ楽しみたいだけ

サンタモニカ通りの上に太陽がのぼるまで

 

そうじゃなければ バーは私たちのもの

昼も夜も、洗車場もそう、マッチもバドワイザー

キレイな車も汚い車も 太陽も月も

 

だって、私はただ楽しみたいだけ

そう思うのは私一人じゃないはず

私はただ楽しみたいだけ

そう思うのは私一人じゃないはず

私はただ楽しみたいだけ

サンタモニカ通りの上に太陽がのぼるまで  ”   (拙訳)

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 アメリミズーリ州出身のシェリル・クロウは大学卒業後、音楽教師をやりながら週末バンドで歌い、マクドナルどやトヨタの広告のジングルを歌う仕事をしていたそうです。

 その後、音楽の夢を追うためにカリフォルニアに移住し、バックコーラスの仕事につきます。有名なのはマイケル・ジャクソンの”BAD”ツアー。他にスティーヴィー・ワンダーやベリンダ・カーライルなどのバックを務めたようです。

 ソロ・デビューの話もあったようですが途中で頓挫し、ようやくその夢をつかんだのが、カリフォルニアに来てから7年もたった1993年、彼女は31歳になっていました。

 デビュー・アルバム「チューズデイ・ミュージック・クラブ」は最初は売れませんでしたが、3枚目のシングルであるこの「オール・アイ・ワナ・ドゥ」じわじわと売れていき、最終的にはアルバムは全米2位、グラミー賞の最優秀レコード賞を取るまでの大ヒットになりました。

 

 この曲の歌詞は、ウィン・クーパーの「Fun」という詩がもとになっています。彼女のプロデューサーであるビル・ボットレルがカリフォルニア州パサデナの古本屋でクーパーの詩集『The Country of Here Below』を見つけて彼女に渡したようです。

 ボットレルは、楽曲の共同制作者としてマイケル・ジャクソンから大変信頼されていたエンジニア、プロデューサーです。

popups.hatenablog.com

 

 シェリルはこう語っています。

「スタジオでジャムをしているときに、ふと本を手にとってその中にあるこの詩を読んだの。最初の一行が”all I wanna do is have some fun”。それはLAで起こっていることを要約していたわ、無気力と敗北感の極端な感情を表現していたのよ。軽快でポップな流行歌の仮面をかぶっているけど、ほんとうは打ちひしがれて、バーに座って人生が過ぎ去っていくのを見ている誰かのことを描いているの」

 

「詩人のウィン・クーパーにコンタクトを取ったら本当に喜んでくれたわ。歌の主人公が私が簡単に扮することができるものだったから、売りやすかったわ。私の人生もたくさんのお酒や、深夜のバーがつきものだったからね。でも、この曲は捨てられるところで、アルバムにも入らないところだったの。でも私の弟が”これはビッグヒットになる”って。フォルモサには実際に洗車場の前にバーがあるの。だけど、私はそこで朝からビールを飲んだことはないわ」

                        (Blender2006年12月号)

 どんなきっかけが成功に繋がるのか、本当にわからないものですね。シェリルだけじゃなくクーパーさんの人生も変わってしまったわけですから。

 

 

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