まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ワナビー(Wannabe)」スパイス・ガールズ(1996)

 おはようございます。

 今日はスパイス・ガールズの「ワナビー」です。

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Yo, I'll tell you what I want, what I really, really want
So tell me what you want, what you really, really want
I'll tell you what I want, what I really, really want
So tell me what you want, what you really, really want
I wanna (Hey!), I wanna (Hey!), I wanna (Hey!), I wanna (Hey!)
I wanna really, really, really wanna "zig-a-zig-ah"


If you want my future, forget my past
If you wanna get with me, better make it fast
Now don't go wasting my precious time
Get your act together, we could be just fine


I'll tell you what I want, what I really, really want
So tell me what you want, what you really, really want
I wanna (Hey!), I wanna (Hey!), I wanna (Hey!), I wanna (Hey!)
I wanna really, really, really wanna "zig-a-zig-ah"


If you wanna be my lover, you gotta get with my friends
(Gotta get with my friends)
Make it last forever, friendship never ends
If you wanna be my lover, you have got to give
Taking is too easy, but that's the way it is


Oh what you think about that, now you know how I feel
Say you could handle my love, are you for real?
(Are you for real?)
I won't be hasty, I'll give you a try
If you really bug me, then I'll say goodbye


Yo, I'll tell you what I want, what I really, really want
So tell me what you want, what you really, really want
I wanna (Hey!), I wanna (Hey!), I wanna (Hey!), I wanna (Hey!)
I wanna really, really, really wanna "zig-a-zig-ah"


If you wanna be my lover, you gotta get with my friends
(Gotta get with my friends)
Make it last forever, friendship never ends
If you wanna be my lover, you have got to give
(You've got to give)
Taking is too easy, but that's the way it is


So here's a story from A to Z
You wanna get with me, you gotta listen carefully
We got Em in the place who likes it in your face
We got G like MC who likes it on an-Easy 
V doesn't come for free, she's a real lady
And as for me, haha, you'll see
Slam your body down and wind it all around
Slam your body down and wind it all around


If you wanna be my lover, you gotta get with my friends
(Gotta get with my friends)
Make it last forever, friendship never ends
If you wanna be my lover, you have got to give
(You've got to give)
Taking is too easy, but that's the way it is


If you wanna be my lover
(You gotta, you gotta, you gotta, you gotta, you gotta slam)
Make it last forever
(Slam, slam, slam, slam)
Slam your body down and wind it all around
Slam your body down and wind it all around
(Hey, hey, hey, hey, hey, hey)
Slam your body down and wind it all around
Slam your body down and "zig-a-zig", ah
(Uh, uh, uh, uh)
If you wanna be my lover

 

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私が本当に欲しいものを教えてあげる
だから教えて、あなたが本当に欲しいもの
私が本当に欲しいものを教えてあげる
だから教えて、あなたが本当に欲しいもの
欲しいのは、欲しいのは、
本当に欲しいのは、 "zig-a-zig-ah"


私の未来が欲しいなら 過去は忘れて
付き合いたいなら、すぐ行動して
私の貴重な時間を無駄にしないで
しっかりするのよ、私たちうまくいくかも

私が本当に欲しいものを教えてあげる
だから教えて、あなたが本当に欲しいもの
欲しいのは、欲しいのは、
本当に欲しいのは、 "zig-a-zig-ah"

 

恋人になりたいなら 私の友達とうまくやってね
永遠に続けるの、友情に終わりはない
恋人になりたいなら、与えなくちゃだめ
奪うのはとても簡単、現実はそういうもの


どう思う?私の気持ちがわかった?
私の愛を扱えるって、あなたは本気で言ってるの?
急かさないわ、やってごらんんさい
つべこべ言うなら さよならよ


私が本当に欲しいものを教えてあげる
だから教えて、あなたが本当に欲しいもの
欲しいのは、欲しいのは、
本当に欲しいのは、 "zig-a-zig-ah"

 

恋人になりたいなら 私の友達とうまくやってね
永遠に続けるの、友情に終わりはない
恋人になりたいなら、与えなくちゃだめ
奪うのはとても簡単、現実はそういうもの

 

そう AからZまで教えてあげる
一緒にいたいなら、よ〜く聞くのよ
ここにいるEm(エマ)は大胆なのが好き
G(ジェリ)はMC(メラニーC)みたいにリラックスしたのが好き
V(ヴォクトリア)はタダじゃすまない、本物のレディよ
そして私は、、ハハ、今にわかるわ
体を叩きつけるように、そして体中をくねらせて
体を叩きつけて、そして全身を巻きつけるみたいに動かして

 

恋人になりたいなら 私の友達とうまくやってね
永遠に続けるの、友情に終わりはない
恋人になりたいなら、与えなくちゃだめ
奪うのはとても簡単、現実はそういうもの

 

私の恋人になりたいなら
永遠に続くように
体を叩きつけるように、そして体中をくねらせて
体を叩きつけて、そして全身を巻きつけるみたいに動かして
体を叩きつけるように、そして体中をくねらせて
体を叩きつけて、そして全身を巻きつけるみたいに動かして
体を叩きつけて、そして "zig-a-zig-ah"
私の恋人になりたいなら

          (拙訳)

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 この歌詞に出てくる"zig-a-zig-ah"という言葉の意味がいろいろ取り沙汰されていたようで、"zigzig”という性的な意味を持つスラングがあるので、そういう風な解釈が有力だったようです。

 メラニーCはかつてビルボード誌にこう語っていました。

「ギャング同士で笑いながらくだらない言葉を作ることがあるでしょう?私たちは、笑いながら "zigazig-ha "というおかしな言葉を作ったんです」

 そして、この曲の共作者が2017年に語ったことによると、同時期にレコーディング・スタジオを使っていた有名アーティストにつけたあだ名が元になっているとのことでした。

「80年代にポップスをやっていた男で、彼はボーイ・バンドやガール・バンドという "自分の縄張り "を侵害したとして私たちを嫌っていた。この男は葉巻を吸いながら共有のトイレで用をたすという嫌な癖があったので、私たちは彼のことを『Shit and Cigars(糞と葉巻)』と呼ぶことにしたんだ」

        (MARIE  CLAIRE   11/07/2017)

 スタジオでそんな風に盛り上がりながらこの「ワナビー」はわずか30分程度で出来上がったそうです。

 

 

 さて、スパイス・ガールズが結成されたのは、ボブとクリス・ハーバード父子が経営するハート・マネージメントという会社が、テイク・ザットなど当時大ブームになっていたボーイ・グループに対抗して、ガール・グループを結成しようと企てて、エンターテイメント系新聞「The Stage」に出した広告がきかっけでした。

”求む:あなたは 18-23歳で歌唱力/ダンス能力がありますか?あなたは、ストリート系で、外向的で、野心的で、献身的ですか?ハート・マネージメントは、音楽業界で広く成功しているマネージメント団体で、現在、レコーディング契約に向けて、振り付け付きで、歌い、踊る、全員女性のポップアクトを結成しようとしています。公開オーディションを行います。。。”

 

 そして、最終的にメンバーになったのがメラニー・ブラウン(スケアリー・スパイス)、メラニー・チズム(スポーティ・スパイス)、エマ・バントン(ベイビー・スパイス)、ジェリ・ハリウェル(ジンジャー・スパイス)、ヴィクトリア・ベッカム(ポッシュ・スパイス)の5人でした。

 

 当初はマネージメントとつながりのある作家が書いた曲でレッスンを進めたそうですがしっくりしませんでした。

 「ワナビー」の共作者の一人で、プロデューサーでもあるリチャード・"ビフ"・スタナードはメンバー自らが引き込んだ人材です。

 彼がある日ジェイソン・ドノヴァンとの打ち合わせを終えてスタジオの廊下を歩いていたところ、見知らぬ女性が彼の背中に飛び乗り「黒人みたいなお尻ね」と言ったそうで、それがメルBだったそうです。

「彼女は僕に何をやっているのかとたずねてきたので、East17の「Steam」を書いたと答えたんだ。彼女はその曲が大好きだと言って、僕を彼女たちに会わせるために引きずり込んだんだ。20分後には全員が親友になっていたよ。僕は前から一緒に仕事をしていたマット・ロウを連れて行き、10日後には『ワナビー』と『2 Become 1』を書き上げたんだ」      (PINK NEWS  APRIL 28, 2011 )

「僕がゲイだからかもしれないけど、特に女性に対しては信じられないほどの親近感、つまり彼女たちに同調する方法があるんだ。僕はいつも(スパイス・ガールズの)6番目のメンバーになりたいと思っていたよ」

       (Musicbusiness  NOVEMBER 19, 2020)

 女の子たちがワイワイ賑やかに盛り上がる「ワナビー」という曲のノリに、リチャードは違和感なく同調できたわけですね。

 彼女たちはハート・マネージメントの動きが遅く不安になっていたこともあって、自らどんどん行動していたようです。しかし、スタジオの廊下でいきなり背中に飛び乗って声かけてナンパしたプロデューサーが、自分たちにぴったりの相手だった、とはすごいですね。

    もし彼女たちがマネージメントに任せっきりの受け身だったら、この「ワナビー」は生まれていないわけですから。

 

 そしてリチャード曰く、彼女たちは彼らとの作業を通してどんどん曲作りの腕を磨いていったといいます。

 広告で募集した通り、彼女たちが外向的で、野心的で、献身的だったからこそ、その後の快進撃があったのかもしれませんね。

 

 彼女たちは女性グループとして音楽史上最大の売り上げを記録、特にデビューからセカンド・アルバムまでの盛り上がりは、ビートルズが引き合いに出されるほどのものでした。

 2001年に活動休止を発表して以降も、彼女たちはロンドン・オリンピックをはじめとして時折再結成しています。2019年に再結成ツアーを行った時には、ビジネスで多忙を極めるヴィクトリアだけは参加しませんでした。

 

 

 最後にもう1曲。セカンド・アルバム「スパイス・ワールド」からセカンド・シングル「STOP」を。全英2位とデビュー以来の1位記録を止めてしまった曲ですが、モータウン調のなかなかよくできた曲で、モータウンっぽいものがやりたかったジェリが発案し、「ワナビー」のリチャード・スタナード&マット・ロウのコンビとともに彼女たちの中心プロデューサーだった”アブソリュート”(ポール・ウィルソン&アンディ・ワトキンス)と作ったそうです。

 モータウン調のポップスというのは、1980年代以降はイギリスのクリエイターの方が上手だと思うのは僕だけでしょうか、、。

 

 ”早く進みすぎていると思わない?こんなに激しくレースして長続き捨はずないわ”という歌詞はその頃の自分たちの状況について歌っています。

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