まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「メタフィクション・ガール」LUA(2020)

 おはようございます。

 今日は手前味噌みたいですみません!最近僕がプロデュースをした曲をぜひ一度聴いてみてください。LUAの「メタフィクション・ガール」という曲です。


LUA - メタフィクション・ガール【MusicVideo】

 

メタフィクション・ガール」 作詞作曲:LUA

愛の花なんて どこにも咲いていないよ この世界には

恋の雨なんて 降るとしても 私の住む街は避けていくでしょう

なんちゃって いじけちゃうくらい 大きな恋をした

ビー玉越しに見える君から 目が離せなくて

青春は いつも いつも いつも 一方通行だなあ

 

あれもしたい これもしたい 限りない恋は まるで片道切符

とめどなく 溢れ出す 言葉じゃない何かで繋がってみたくて

 

前髪を切って 少し後悔 なりたい私になれなくて

青春の上澄みだけ すくったみたいな毎日で

ふわふわした頭の中 ぷかんと浮かぶ 君のこと

どうしたって いつも いつも いつも 話し中のコール

 

あれもしたい これもしたい 水彩の恋は まるでワンデーパスポート

砂浜に描くLOVE 消えかかる いじわるな肌寒さだって 覚えていたくて

 

奇跡を待つくらいなら いっそ 何も知らないままでいいから

真っ白なページに書き込んで わかりやすく しるしを残して

「いつの日か思い出す」 なんて 俯瞰で見ている私 

可愛くないなあ

 

あれもしたい これもしたい 限りない恋は まるで片道切符

とめどなく 溢れ出す 言葉じゃない何かで繋がってみたくて

あれもしたい これもしたい 水彩の恋は まるでワンデーパスポート

砂浜に描くLOVE 消えかかる いじわるな肌寒さだって 

覚えていたくて

ラララ ぜんぶ 覚えていたくて

ラララ ひとつも 忘れたくなくて

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  LUA(ルア)は佐賀県出身の男性シンガー・ソングライターです(女の子みたいな声ですけど)。

 彼が自費制作した「魔法使いの恋」という曲を気に入って、このブログで紹介したのが

おととしの11月のことでした。 

popups.hatenablog.com

 そのあと、縁あって今回僕が制作を手伝わせてもらうことになり、今から1ヶ月ちょっと前(2020年12月9日)にこの「メタフィクション・ガール」を配信リリースをしました。。

 

 僕はVOZ Records(ボズレコード)という個人レーベルを2002年に作ったのですが、

ここのところずっと開店休業状態で、音楽の別の仕事をやっていました。ですので、こういうかたちで自分でプロデュースして、リリースというのは、もう10年以上ぶり(!)になります。

 こうして再開できたので、レーベルを閉めないでよかったです。

 

 「まいにちポップス」というブログを修行のように(?)毎日書いてきて、いわゆるポップな音楽というのは、今では世界的にはものすごく少数派、ニッチなもの、になったなあというのは痛感しています。。

 ポピュラー(人気がある)という言葉とつながっている”ポップ”が”ニッチ(隙間)”で少数派というのは、言語としてすごく矛盾しているのですが、(苦笑)。

 

 日本はまだポップなものが好きな土壌は残っていますが、とはいっても昨今メロディよりも言葉が優っていますよね。

 これはなによりも世相なんでしょう。現実社会のテンションが、ポップな明るい音楽と合わなくなった、という。

 とは言っても、ポップな曲を聴いた時のなんとも言えない気持ち良さというのは、他に替えのきかないものなのだよなあとも僕は思ったりするわけです。

 

 そんなことを僕が考えていた中で彼が「魔法使いの恋」を出した時にネットのインタビューで

「ポップであることを怖れない」

 と語っていたのはとても強く印象に残りました。

 ポップであることは、今の時代では決して”カッコいい”こととは言い切れないですしね。

 

 彼は、また他のインタビューでは、自分の武器は「聴いてきた音楽の幅の広さと深さ」だと語り、曲を作る秘訣は「とにかくたくさん音楽を聴くこと」と語っていて、実際話してみると、ほんとうにたくさん聴いています。

 彼の父親くらいの年齢の僕が同年代かと勘違いしてしまうような曲やアーティストの名前もホイホイ(笑)でできます(もちろん新しい曲もたくさん聴いています)。

 彼のお母さんが大変な音楽ファンで家でいつもレコードをかけていたらしく、その中でもマイケル・ジャクソン、アース、ウィンド&ファイアー、プリンスといったポップスとクロス・オーヴァーしたブラック・ミュージックの影響が彼に強くあるようです。

 そこに、今のアーティストらしく、UKロックや日本のナンバーガールゲスの極み乙女などのロック・バンドの影響があって、それが面白い感じでミックスされているようです。

 

 ラジオ番組に出演した時に彼は

「懐かしい音楽の影響が50%、今の時代の新しい感覚が50%、という風にちょうど半々になるようにいつも心がけている」

 と語っていて、

 実際に岩手のFMのDJの方から番組で

「もちろん、若い子たちが聴く感じだけど、30代40代以上の人にもよくわかる音楽」

 と評していただいたり、

 ネットで

「懐かしいような新しいような、気持ちいい曲」という書き込みがあったり

 そういうのってちゃんと伝わるものなんだなあ、とうれしくなりました。

 

 ちなみにLUA(ルア)はポルトガル語の「月」。

 おぼえやすく文字数が少なく、曲を聴いてくれる人にとって、なくてはならない存在&音楽でありたい、と考え、太陽と月が浮かんだそうですが、太陽は自分のキャラと合わないので月としたそうです。

 彼は蟹座なので月は守護星でもあります。

メタフィクション・ガール」の

 ”メタフィクション”は、フィクションの中のフィクション、例えば、登場人物が作者や読者を知覚したりすること、マンガでたまに登場人物が読者や作者に話しかけたりすることがありますよね、そういったものを指す言葉だそうです。

 

 この歌では、主人公の女の子が、

 ”「いつの日か思い出す」 なんて 俯瞰で見ている私 ”

と、恋している自分を別の自分が俯瞰で見ているさまを”メタフィクション”と重ねているわけです。

 

 何よりもこのブログでは、サンシャイン・ガール、バチェラー・ガール、透明ガール、モーニング・ガール、アップタウン・ガール、ディズニー・ガール、、とポップスの中でも「ガールもの」は特別視して扱ってきましたので、新たな「ガールもの」を作れたことも密かな喜びです。

 これは、僕が「ガールもの」を書いてくれと彼に懇願したわけじゃなくて、たまたまなんですが、、、。

 

 

メタフィクション・ガール

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