おはようございます。今日はブルース・スプリングスティーンの「バッドランド」です。
Lights out tonight, trouble in the heartland
Got a head-on collision smashin' in my guts, man
I'm caught in a crossfire that I don't understand
But there's one thing I know for sure, girl
I don't give a damn for the same old played-out scenes
Baby, I don't give a damn for just the in-betweens
Honey, I want the heart, I want the soul, I want control right now
You better listen to me, baby
Talk about a dream, try to make it real
You wake up in the night with a fear so real
You spend your life waiting for a moment that just don't come
Well, don't waste your time waiting
Badlands, you gotta live it every day
Let the broken hearts stand as the price you've gotta pay
We'll keep pushin' 'til it's understood
And these badlands start treating us good
Workin' in the fields 'til you get your back burned
Workin' 'neath the wheels 'til you get your facts learned
Baby, I got my facts learned real good right now
You better get it straight, darling
Poor man wanna be rich, rich man wanna be king
And a king ain't satisfied 'til he rules everything
I wanna go out tonight, I wanna find out what I got
Well, I believe in the love that you gave me
I believe in the faith that could save me
I believe in the hope and I pray
That someday it may raise me above these
Badlands, you gotta live it every day
Let the broken hearts stand as the price you've gotta pay
We'll keep pushin' 'til it's understood
And these badlands start treating us good
Woah woah woah woah
For the ones who had a notion, a notion deep inside
That it ain't no sin to be glad you're alive
I wanna find one face that ain't looking through me
I wanna find one place, I wanna spit in the face of these
Badlands, you gotta live it every day
Let the broken hearts stand as the price you've gotta pay
Keep movin' 'til it's understood
And these badlands start treating us good
Woah, woah, woah, woah
Badlands, woah woah woah woah
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今夜灯りが消えて ハートランドじゃトラブル発生
内臓で正面衝突が起こってるんだよ、あんた
俺は理解できない集中砲火に巻き込まれてる
だがな、ひとつだけ確かなことがあるんだ、ガール
いつもの使い古された場面なんて、どうでもいいんだ
ベイビー、どっちつかずなものには興味はない
ハニー、俺が欲しいのは心さ、魂さ、
今すぐ自分でコントロールしたいんだ
俺の言葉を聞いた方がいいぜ、ベイビー
夢について語り、それを実現させようとして
おまえは真夜中にリアルすぎる恐怖で目を覚ます
ただ来ることのない瞬間を待って、人生を過ごすんだ
なあ、待つことで時間を無駄にするなよ
バッドランズ(荒地)おまえは毎日ここで生きぬかなきゃいけない
破れたハートは、支払うべき代償になる
俺たちは理解されるまで、踏ん張り続ける
そしてこの荒地が、俺たちをちゃんと扱ってくれるまで
背中が焼けるまで畑で働いて
事実を思い知るまで制度の下で働く
ベイビー、俺は今その事実をちゃんと理解してるんだ
おまえもちゃんと理解するんだ、ダーリン
貧しいヤツは金持ちになりたがり
金持ちは王になりたがり
王はすべてを支配するまで満足しないのさ
俺は今夜出かけたい、自分に何があるのか確かめたい
ああ、おまえがくれた愛を信じてる
俺を救ってくれるかもしれない“信念”を信じてる
希望を信じて、祈るんだ
いつかそれが、俺を困難を乗り越えさせてくれることを
バッドランズ(荒地)おまえは毎日ここで生きぬかなきゃいけない
破れたハートは、支払うべき代償になる
俺たちは理解されるまで、踏ん張り続ける
そしてこの荒地が、俺たちをちゃんと扱ってくれるまで
ある想いを持った者たちのために 心の奥深くにある想い
「生きていることを喜んでも罪なんかじゃない」という
俺は見つけたい 俺を無視しない顔を
俺は見つけたい この荒地の顔に唾を吐きかける場所を
バッドランズ(荒地)おまえは毎日ここで生きぬかなきゃいけない
破れたハートは、支払うべき代償になる
俺たちは理解されるまで、踏ん張り続ける
そしてこの荒地が、俺たちをちゃんと扱ってくれるまで (拙訳)
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始まりは1973年に公開されたテレンス・マリックの監督の映画「バッドランズ(Badlands)」。僕が1990年代にテレビ東京の午後の映画枠で放送されたのを観たのですが、『地獄の逃避行』というタイトルがついていました(DVDも同じタイトルです)。どうやらこれは、主役のマーティン・シーンが映画「地獄の黙示録」で有名だったのでつけられたものだったそうです。
内容は1958年にネブラスカ州で実際に起きたチャールズ・スタークウェザーとキャリル・アン・フューゲートという若い男女による連続殺人と逃避行を描いたロードムービーです。
彼らは殺人を犯したあげく、盗んだ車で荒野(Badlands)へと逃げ、そこで捕まってしまうんですね。
この映画のポスターを見てインスピレーションを得たスプリングスティーンは、映画も観ないまま、この「バッドランド」という曲を書きました。
ローリングストーン誌(March 27, 2019)にこのように語っています。
「“この曲のキャラクターに生命、息づかい、ハート、魂、スピリット、そして経験を与えるための何かを、自分の中から見つけ出さなくてはならない。”『Badlands』――これは素晴らしいタイトルだけれど、簡単に台無しにもしてしまえる。だけど、僕は書いて、書いて、書き続けた。そのタイトルにふさわしいと思える曲になるまで。自分が何をしようとしているのか、必死に考えることに苦労はなかった。求めているものを追い求めて、何時間費やすことにも抵抗はなかった。僕は自分の曲に登場するキャラクターたちを敬い、信じ、尊重していた…彼らは僕の時間に値するし、僕の最大限の努力に値する。正しく作り上げることができれば、彼らにも自分自身にも敬意を示すことになるのだ。」
印象的なイントロはアニマルズの「悲しき願い」を参考にしたと後年語っています。
また、この曲が収録されているアルバム「闇に吠える街(Darkness On The Edge Of Town)」をレコーディングを行なっていたニューヨークで、1977年7月13日午後9時27分、25時間にわたる停電が起こったそうです。それが、この曲の冒頭「今夜あかりは消えて(Lights Out Tonight)」という一節になったそうです。
この曲を書いた時には観ていなかった映画「バッドランズ」ですが、1980年代に彼にまた創作のインスピレーションになります。その辺りは映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」でも描かれていました。
1980年にリリースしたアルバム「ザ・リバー」が大ヒットし、その後のツアーも大盛況で、次作ではより売れる作品をまわりから求められていた彼は、それとは真逆の方向に振り切れてしまいます。成功に伴う大きな環境の変化、過剰なまでにエネルギーを注ぎ込むツアーでの疲弊、そこに生まれ持った抑鬱的な気質もあって、気持ちは重く沈み込み、今までにないほど内省的になっていました。そして、ニュージャージー州コルツネックに牧場にこもって、アメリカの歴史、書籍、映画に没頭しながら曲を書きます。その時TVで映画「地獄の逃避行」を放送しているのを目にして、インスピレーションを得ます。
I saw her standin’ on her front lawn
Just twirlin’ her baton
Me and her went for a ride, sir
And ten innocent people died
彼女が前庭の芝生に立って
バトンを回してるのを見たんですよ
オレと彼女は車で出かけて、ええ、
それで罪の無い人たちが10人死にました
このページの上でリンクさせた映画の予告編に出ていますが、相手役の女性(シシー・スペイシク)がバトンをまわすシーンが実際にありました。
ブルース・スプリングスティーンは社会的弱者である若者がどこかへ向かって車を走らせる、そういうテーマをよく歌っていました。向かう先には、実は夢も希望もない、そんなことを勘づいていながら、車を走らせている瞬間につかのものカタルシスを感じる。「地獄の逃避行」というのはそういう彼の嗜好にぴったりだったのでしょうし、「バッドランド」=アメリカの広大な荒地、というのは象徴的なものだったのかもしれません。
この曲の歌詞にHeartland(ハートランド)という言葉が出てきますが、広義には土地の中心部、心臓部という意味ですが、アメリカの「中西部」を指す表現でもあります。ネブラスカも「中西部」に位置し、広大な「荒地」があります。
そんなことを考えると、一人の人間の心(ハート)には必ず荒涼とした場所があると言っているように思いますし、アメリカという国の心臓部、中心部は「荒地」なのだ、ということを指しているようにも思います。
「バッドランド」は発売当初はヒットしませんでしたが(全米42位)、時間とともに彼のものすごく重要なレパートリーになっていったのは、彼の音楽、本質を、最も明確に表している曲だったからかもしれません。
もちろん、この曲のバンドサウンドのテンションがすごいというのはいうまでもないですけど。最後はライヴ映像を。彼の公式YouTubeチャンネルでアップされているこの曲のライブ動画もどれも、僕は血湧き肉躍ってwしまうんですけど、今回は曲がリリースされて間もない1978年のものを最後に。


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