まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ジェシーズ・ガール(Jessie's Girl)」リック・スプリングフィールド(1981)

 おはようございます。

 今日はリック・スプリングフィールドジェシーズ・ガール(Jessie's Girl)」です。

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Jessie is a friend
Yeah, I know, he's been a good friend of mine
But lately something's changed that ain't hard to define
Jessie's got himself a girl, and I wanna make her mine


And she's watching him with those eyes
And she's lovin' him with that body
I just know it
And he's holding her in his arms late, late at night


You know I wish that I had Jessie's girl
I wish that I had Jessie's girl
Where can I find a woman like that?


I'll play along with this charade
That doesn't seem to be a reason to change
You know I feel so dirty when they start talking cute
I wanna tell her that I love her, but the point is probably moot


'Cause she's watching him with those eyes
And she's lovin' him with that body
I just know it
And he's holding her in his arms late, late at night


You know I wish that I had Jessie's girl
I wish that I had Jessie's girl
Where can I find a woman like that?
Like Jessie's girl
I wish that I had Jessie's girl
Where can I find a woman...
Where can I find a woman like that?


And I'm lookin' in the mirror all the time
Wonderin' what she don't see in me
I've been funny; I've been cool with the lines
Ain't that the way love's supposed to be?


Tell me where can I find a woman like that?
You know I wish that I had Jessie's girl
I wish that I had Jessie's girl
I want Jessie's girl
Where can I find a woman like that?
Like Jessie's girl
I wish that I had Jessie's girl
I want, I want Jessie's girl

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ジェシーは友だちさ
ああ、わかってるさ、彼はずっと僕のいい友だちだよ
でも最近、はっきり言えないけど何かが変わったんだ
ジェシーには彼女がいて、 僕は彼女を自分のものにしたいんだ


そして彼女はあの瞳で彼を見つめる
あの体で彼を愛するのさ
僕はわかっているさ
そして彼は彼女を腕に抱きしめているのさ、夜遅くに


ジェシーの彼女が僕のものならと願ってるのさ
ジェシーの彼女が僕のものならと願うよ
あんな女性がどこに見つかるっていうんだい?


僕はこの見せかけの茶番に付き合うんだ
状況を変える理由にもならないような
あなたは、彼らがかわいい話を始めるときに
僕はすごくダーティーな気分になる
愛していると言いたいけど そんなことは非現実的さ

そして彼女はあの瞳で彼を見つめる
あの体で彼を愛するのさ
僕はわかっているさ
そして彼は彼女を腕に抱きしめているのさ、夜遅くに


ジェシーの彼女が僕のものならと願ってるのさ
ジェシーの彼女が僕のものならと願うよ
あんな女性がどこに見つかるっていうんだい?
ジェシーの彼女みたいな
ジェシーの彼女が僕のものならと願うよ
あんな女性がどこに見つかるっていうんだい?

 

そして僕はいつも鏡を見ている
彼女が僕のどこを見ていないのか考えながら
面白いことや、クールなセリフを言ってみたり
愛ってそういうものでべきじゃないのか


あんな女性がどこに見つかるのか教えてほしい
ジェシーの彼女が僕のものならいいのに
ジェシーの彼女が僕のものならいいのに
ジェシーの彼女が欲しいのさ
どこにそんな女性がいるの?
あんな女性がどこに見つかるっていうんだい?
ジェシーの彼女のような
ジェシーの彼女が僕のものならいいのに
ジェシーの彼女が欲しいのさ

        (拙訳)

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 アメリカで大変人気のあったオプラ・ウィンフリー・ショーに出演した時に「ジェシーズ・ガールは実在するのか?」と聞かれ、彼はこう語ったそうです。

 

「そう、僕の歌はすべて、人間関係のコアから始まっているんだ」

「彼女のボーイフレンドの名前は、本当はジェシーじゃなくゲイリーだったんだけど、ゲイリーだと何となくうまく歌えなかったんだ。だからジェシーに変えたんだ」

「僕は彼女に紹介されたことがなかったんだ。いつも、遠くから憧れているだけだった」

 

 そして名前も知らなかったという彼女のことが頭に残っていて、1980年後半に5枚目のアルバム『Working Class Dog』のアイデアを練っていたとき、自分の経験を曲にしようと思い立ったそうです。

「リフが最初にできたんだ。とてもシンプルに聴こえる曲だけど、書くのは簡単じゃなかった。ギターとピアノを使って、2ヶ月ほどかけて作ったんだ」

 (CLASSIC ROCK April 16, 2015)

 

 もし彼がその女性に紹介されて名前を知っていたら、その名前を直接曲に使って、”ジェシーズ・ガール”(ゲイリーズ・ガール)という発想にならなかった可能性もあったでしょうから、よかったのかもしれませんね。

 

 彼が登場してきた時に、ブルース・スプリングスティーンに名前が似ていて紛らわしいという話題もありましたが、実は二人は同い年で、全米デビューはオーストラリア出身にもかかわらずリックの方が早く、ヒット曲も彼の方が先に出しているんです。

1972年全米14位「Speak to the Sky」

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 しかし、リックの場合そこから不遇時代が長く続くことになります。

 1976年の「ウェイト・フォー・ナイト」というアルバムは個人的に好きだったのですが全く売れなかったようで、1978~9年頃に録音したアルバムはお蔵入りしてしまう状況でした。

 

 そのアルバムには「ブルース」という曲が入っていました。このころはスプリングスティーンが全米で大人気で、アメリカでも彼はよく間違えられたようです。歌の内容は、パーティーで女の子と知り合って、自己紹介すると”あなたの音楽好きよ”と言われ、その夜関係を持つとその最中に彼女は僕を”ブルース”と呼んだ、というなんとも、痛ましいもので、彼の気持ちも相当荒んでいたんだろうなと察することができます。

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 この曲の入ったアルバムは、リックが大ブレイク後1984年にリリースされることになります。

 

 さて、不遇時代に彼はそのルックスを生かして1977年頃から俳優の仕事をぽつぽつとやっていました。

 そして1981年にドラマ「ジェネラル・ホスピタル」の出演することを決めます。それを勧めたのが彼とつきあっていた、「エクソシスト」で有名な女優のリンダ・ブレアだったという話です。

 そのとき「ジェシーズ・ガール」やアルバムのレコーディングが終わっていたそうですが、「ジェシーズ・ガール」は当初そんなに売れなかったそうですが、ドラマが大ヒットし、彼の役が人気になると同時に上昇していき、見事NO.1になります。全米1位になるのに19週間もかかったのは、当時の記録だったそうです。

 

 1980年代らしいポップなロックのコツをつかんだ彼は1980年代半ばまでヒットを連発し、映画の主演まで果たしスーパースターの座にのぼりつめました。

 翌1982年発売「ドント・トーク・トゥ・ストレンジャー」(全米2位)

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 シンガーとしてデビューしたもののなかなかブレイクせず、俳優業をきかっけに本業の音楽でもブレイクした福山雅治を見たときに、リック・スプリングフィールドみたいだな、って思ったことがありますが、リックの方は1980年代後半からヒットが出なくなりますが、息長く現在まで活動を続け、この「ジェシーズ・ガール」の最近のパフォーマンスもYouTubeで見ることができます。

 

 最後は、個人的に結構好きだったこの曲を。「ステイト・オブ・ザ・ハート」(1985年全米22位)

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