まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ラスヴェガス・ターンアラウンド(Las Vegas Turnaround (The Stewardess Song))」ダリル・ホール&ジョン・オーツ(1973)

 おはようございます。

 今日はホール&オーツの「ラスヴェガス・ターンアラウンド」です。

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Sara's off on a turnaround
Flying gambling fools to the holy land, Las Vegas
Sometimes she's here and sometimes she can't be found
Turnaround

Sara's off on a turnaround
Flying gambling fools to the holy land, Las Vegas
Sometimes she's here and sometimes she can't be found
Turnaround

And Sara's off, half hiding, far above the clouds, high she flies
I know I've got to find her a place she can push her toes around in
She needs a place where she can lounge and wear a gown in
Sara turnaround, turn, turnaround

Sara's off on a turnaround
Flying gambling fools to the holy land, Las Vegas
Sometimes she's here and sometimes she can't be found
Turnaround

Sara's off on a turnaround
To Las Vegas, sometimes she's not around
Turnaround

And any night
Well, she's here or half way 'round the world, oh I could cry
And so I know I've got to pray for delays and for days 'til she's besides me
All alone in her room and her scattered clothes remind me
Sara please
Sara  Turnaround

Las Vegas turnaround
Sara please
She's gone to Las Vegas

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サラは”ターンアラウンド”に出かけている
ギャンブル好きの馬鹿どもを
聖地ラスベガスに飛行機で連れて行ってるのさ
時々彼女はここにいて、時々彼女の姿はない
”ターンアラウンド”さ

サラは”ターンアラウンド”に出かけている
ギャンブル好きの馬鹿どもを
聖地ラスベガスに飛行機で連れて行ってるのさ
時々彼女はここにいて、時々彼女の姿はない
”ターンアラウンド”さ


そしてサラは行ってしまった、半分隠れて、
雲の遥か上を, 彼女は高く飛んでいるのさ
彼女が足の指先を伸ばせる場所を
僕は探さなければいけないのはわかっているさ
彼女はガウンを着てくつろげる場所が必要なんだ
サラ、戻ってきて、戻ってきて

サラは”ターンアラウンド”に出かけている
ギャンブル好きの馬鹿どもを
聖地ラスベガスに飛行機で連れて行ってるのさ
時々彼女はここにいて、時々彼女の姿はない
戻ってきて

サラは”ターンアラウンド”に出かけている
時々彼女の姿はない
戻ってきて

そしてどんな夜でも
彼女はここにいるか、世界をめぐる途中か
ああ、泣きたいほどさ
だから僕は、出発が遅れることを
彼女が僕のそばに来る日を祈るしかないのさ
彼女の部屋にひとりぼっちで、
散らばった服が彼女を思い出させる
サラ、お願いだ、サラ
戻ってきて

ラスベガスのターンアラウンド
サラ、お願いだ
彼女はラスヴェガスに行ってしまった

            (拙訳)

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 「ラスヴェガス・ターンアラウンド」は珍しくジョン・オーツの作品。シングルではありませんが、ファンから人気が高くライヴでもよく演奏されていたそうです。フィフス・アヴェニュー・バンドとすごい近い雰囲気を僕は感じます。

 

 この曲を思いついた時のことをジョンはこう語っています。

「この曲は、ある実体験から生まれたんだ。フィラデルフィアで階段に座って時間を潰していたら、航空会社のスチュワーデス、いやフライト・アテンダントの女の子2人が通りかかったんだ。彼女たちはチャーター便の航空会社で働いていたんだけど、僕に「私たちはラスベガス・ターンアラウンドをする予定なの」と言ったんだよ。

 その言葉を聞いたことがなかった。僕が「それはいったい何?」訊くと、彼女たちは、「ギャンブル好きのバカどもをラスベガスに連れて行って、帰ってくることよ」と言った。僕は "ワオ!"と思って、曲作りのアンテナが立って、"それについての曲を作るとすごくクールじゃないか "と思ったんだ。その女の子の一人が、最終的にダリルのガール・フレンドになったサラ(アレン)だったのさ」

        (Lasvegas Sun  November 3, 2021)

 

 サラ・アレンは、ダリル・ホールが自分にとって"Muse"(女神)だと語るほどの存在。「サラ・スマイル」は彼女のことを歌ってますし、「リッチ・ガール」は彼女の元カレの話を元に書かれてますし、作詞家としても「I Can't Go For That(No Can Do)」や「マンイーター」などにも彼女が参加しています。 

 また彼女の妹、ジャナは「キッス・オン・マイ・リスト」と「プライヴェート・アイズ」の作曲に大きく貢献しています。

 サラと出会わなかったら、ホール&オーツの成功の目盛りは間違いなくいくつか低くなっただろうと僕は思っています。

 

 しかも、そのサラが最初に登場したのがジョンの方の曲で、しかもそれが彼の最高傑作の一つと呼ばれているわけですから、”サラ・パワー”おそるべし、ですね。

 

 さて、この曲はホール&オーツの1973年リリースのセカンド・アルバム「アバンダンド・ランチョネット」に収録されていました。

 このアルバムはプロデューサーのアリフ・マーディンがフィラデルフィア出身の彼らのルーツであるR&B色をしっかり打ち出すために、ニューヨークの凄腕ミュージシャンを集めてレコーディングされています。

 この曲もベースがゴードン・エドワーズにドラムスがバーナード・パーディという素晴らしいリズム隊が、軽快で爽やかなこの曲に素晴らしいグルーヴをプラスしています。

 

 ちなみに、このアルバムからはこの曲がヒットしています。

「シーズ・ゴーン(追憶のメロディ)」(全米7位)

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 この曲はホール&オーツの共作ですが、とっかかりはジョンのほうだったそうです。

 

 ある日の明け方3時にニューヨークのブリーカーストリートのレストランで、彼はピンクの(バレエの衣装)にカウボーイスーツというエキセントリックな女の子と出会い、大晦日にデートを申し込んだのだそうです。

「そして、当日僕はニューヨークの自宅アパートで彼女を待っていたよ、当時そこはダリルと一緒に住んでいたんだ。だけど結局、大御坂の日に彼女が訪ねてくることはなかった。アパートの中、ポツンと座っていた僕はギターを手にしていたよ。そしてこの考えが自分の頭に浮かんできたーニューイヤーズ・イヴに官女が来なかったということは、彼女は去ってしまったんだなってね。”あ〜〜”と僕は落胆したよ。そこで僕はこのちょっとフォークっぽいのを弾き始めたんだ、(歌う)"She's gone,,,"。僕は何度も何度もこれらのコードをプレイし始めていた。」

(THE DIG special edition ホール&オーツ

  ジョンはこのサビを考えて、同じ部屋にいたダリルはそれをフォーク調から、R&Bのほうへ誘うようにして、一緒に曲を書いていったようです。

 

 ジョンは、外でナンパするといい曲を思いつく、ジンクスがあるんでしょうか、、。

 

 最後は「ラスヴェガス・ターンアラウンド」のライヴ映像を。2013年、会場はシドニーのようです。

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追記:日記ブログはじめました。よかったらのぞいてみて下さい

voz.hatenablog.com