まいにちポップス(My Niche Pops)

毎日好きな曲を聴いて気持ちを整えながら、なんとか人生をやってこれた筆者が、古今東西のポップ・ソングを、意外なエピソード、マニアックなネタ、拙い対訳、勝手な推理、などを交えて紹介しています。みなさんの音楽生活に少しでもお役に立てればうれしいです。text by 堀克巳(VOZ Records)

「友達でいさせて(Can We Still Be Friends)」トッド・ラングレン(Todd Rundgren)(1978)

 おはようございます。今日はトッド・ラングレンの「友達でいさせて(Can We Still Be Friends)」です。

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We can't play this game anymore
But can we still be friends?
Things just can't go on like before
But can we still be friends?

We had something to learn
Now it's time for the wheel to turn
Grains of sand, one by one
Before you know it, all gone

Let's admit we made a mistake
But can we still be friends?
Heartbreak's never easy to take
But can we still be friends?

It's a strange, sad affair
Sometimes seems like we just don't care
Don't waste time feeling hurt
We've been through hell together

(La la lala la la lala la
Can we still be friends?)
Can we still get together sometime
(La la lala la la lala la
Can we still be friends?)
You know life will still go on and on and on

We awoke from our dream
Things are not always what they seem
Memories linger on
It's like a sweet, sad old song

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僕たち これ以上このゲームは続けられない
だけど、まだ友達でいられるかな?

今までみたいにもうやっていけない
だけど、まだ友達でいられるかな?

僕たちには何か学ぶことがあった
今は運命の輪が回る時だ
砂粒がひとつ、ひとつずつ
知らないうちに 全部なくなってしまう

僕たちが間違いを犯したことを認めようよ
だけど、まだ友達でいられるかな?
失恋は簡単に受け入れやすいものなんかじゃない
だけど、まだ友達でいられるかな?

奇妙で、悲しい出来事さ
時には、まるで僕たちは何も気にしていないみたいだ
傷つくことで時間を無駄にしないで
僕たちは一緒に地獄をくぐり抜けてきたんだ

(ラララ…
まだ友達でいられるかな?)
ときどき会うことはできるかな
(ラララ…
まだ友達でいられるかな?)
人生はこれからもずっと続いていくわけだから

僕たちは夢から目を覚ました
物事はいつも見た目どおりとは限らない
思い出はいつまでも残る
それはまるで、甘く悲しい古い歌のようだ (拙訳)

********************************

 「友達でいさせて」はトッド・ラングレンの1978年リリースのアルバム『ミンク・ホロウの世捨て人(Hermit of Mink Hollow)』に収録されシングルにもなっています。このアルバムは、彼自身がすべての楽器を演奏し、プロデュースも手掛けた完全なDIY作品でした。今の時代はパソコンで音楽制作できますから、DIYのアーティストは多いですけど、この時代は超レアで、トッド・ラングレンはDIYでの音楽制作のパイオニア的存在なんですね。

 この時代のトッドは昨日このブログでご紹介した自身のバンド、ユートピアの「愛こそ証し」の記事で書きましたが、彼は自分のソロの作品は内省的なものになる、と語っていて、この曲などはまさにそうですね。

 この曲は当時交際していたモデルのベベ・ビューエルについて書いた曲だと広く思われているようです。

 二人別れている時期に、彼女はエアロスミスのスティーヴン・タイラーと関係を持ち、1977年に子供を身籠ったのですが(子供は女優のリヴ・タイラー)、当時タイラーが深刻な薬物中毒だったため彼女はトッドの元へ戻り、彼は自分の子ではないことを承知の上で父親になることを承諾します。その後すぐにトッドとべべは別れましたが、彼は別の相手と結婚し子供ができた後もリヴを実の娘として扱い続けたそうです。リヴ・タイラーは、トッドを実の父親だと思いこんでいて、タイラーが本当の父親であることを11歳か12歳の時に受けた鑑定で確認したと言われています。

「songfacts」というサイトのインタビューで、この曲が特定の人を思い浮かべて書いた曲か?という質問に対してトッドはこう答えています。

「いいえ。「あれは特定のあの人についての曲だ」とずっと言ってきた人もいるけどね。でも言っておくよ。僕は今でもその人とは友達じゃない。わかったかい。しかも、それにはちゃんとした理由があるんだ。あの曲は本当のところ、“関係を終わらせるときの、できる限り最善のあり方”についての曲なんだ。必ずしも特定の誰かについて書いたわけじゃない。ある特定の状況について、ということはあるかもしれないけどね。でも僕は、自分が実際に体験していなくても、ほかの人たちが「これは自分の経験を表している」と感じるような曲を書くことができるんだ。」

 「友達でいさせて」は本当にいい曲で、リスナーとしてはべべ・ビューエルが歌のモデルかどうかはどちらでもいいことだと思いますけど、僕が思うに真相はこのトッドの回答で間違いないだろうと思います。
 だいたい、べべとスティーヴン・タイラーと娘との状況を考えたら、「友達でいられるかな(Can We Still Be Friends)?」なんて思うわけがないですよね。彼は”自分の子ではない子供の父親”という重い責任を選択したわけですし。
 ただ、べべとのことがなかったら生まれなかった歌だとは思います。”一緒に地獄をくぐり抜けてきた”恋人との別れという彼が経験してきた特定の状況のことは間違いなく歌に反映されていると思います。ただ、歌詞に込められた心情は彼女に対してのものではない、というのが僕の推論です。
 
 昨日このブログでご紹介したトッドのバンド、ユートピアの「愛こそ証し」はイングランド・ダン&ジョン・フォード・コリーがAOR的なハイクオリティーなサウンドでリメイクして大ヒットしたわけですが、その翌年リリースされたこの曲にも、同じようなアプローチをしたアーティストがいました。
 それが、ウィルソン・ブラザーズ。AOR好きには定番になっている彼ら唯一のアルバム「Another Night」(1979)に収録されています。
 ウィルソン・ブラザーズはイングランド・ダン&ジョン・フォード・コリーに曲を提供したことがきっかけでデビューすることになった兄弟デュオです。しかもプロデューサーが、イングランド・ダン&ジョン・フォード・コリーのカバーをプロデュースしたカイル・レーニング。その上、ギターがそのカバー・ヴァージョンで大きく貢献したスティーヴ・ルカサーとスティーヴ・ギブソンですから、明らかに”二匹目のドジョウ”を狙ったな、と僕はにらんでいますw。最後にそれをお聴きください。

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アナザー・ナイト - ウィルソン・ブラザーズ

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