おはようございます。今日はスティーヴィー・ワンダーの「パートタイム・ラヴァー(Part-Time Lover)」です。
Call up, ring once, hang up the phone
To let me know you made it home
Don't want nothing to be wrong with part-time lover
If she's with me, I'll blink the lights
To let you know tonight's the night
For me and you, my part-time lover
We are undercover passion on the run
Chasing love up against the sun
We are strangers by day, lovers by night
Knowing it's so wrong, but feeling so right
If I'm with friends and we should meet
Just pass me by, don't even speak
Know the word's "discreet" with part-time lovers
But if there's some emergency
Have a male friend to ask for me
So then she won't peek, it's really you, my part-time lover
We are undercover passion on the run
Chasing love up against the sun
We are strangers by day, lovers by night
Knowing it's so wrong, but feeling so right
We are undercover passion on the run, yeah
Chasing love up against the sun
We are strangers by day, lovers by night
Knowing it's so wrong, but feeling so right
I've got something that I must tell
Last night someone rang our doorbell
And it was not you, my part-time lover
And then a man called our exchange
But didn't want to leave his name
I guess that two can play the game
Of part-time lovers
You and me, part-time lovers
But, she and he, part-time lovers
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電話して、ワンコールで、すぐに切る
無事に帰ったことを知らせるため
何も問題が起きてほしくない、
パートタイムの恋人
もし彼女がそばにいるなら、ライトを点滅させる
今夜がその夜だと知らせるために
君と僕のため、パートタイムの恋人
俺たちは駆け抜けてゆく秘めた情熱
太陽に逆らって愛を追いかける
昼は他人、夜は恋人
それが間違いだと知りながらも、
心は正しいと感じている
もし友達と一緒にいて、君と出くわしたら
ただ通り過ぎて、話しかけもせずに
この関係のキーワードは「慎重さ」、
パートタイムの恋人にはね
もし緊急のことがあったなら
男の友達に俺を呼ばせてくれ
そうすれば彼女に気づかれない、
君こそが本当のパートタイムの恋人
俺たちは秘密の情熱を抱え、駆け抜ける
太陽に逆らって愛を追いかける
昼は他人、夜は恋人
それが間違いだと知りながらも、
心は正しいと感じている
僕には言わなきゃいけないことがある
昨夜、誰かが家のドアベルを鳴らした
でも、それは君、
僕のパートタイムの恋人じゃなかった
その後、男が僕らの番号に電話してきた
でも交換手に名前を残そうとしなかった
二人もパートタイムの恋愛ゲームをやっているかもしれない
君も僕も、パートタイムの恋人
だけど、彼女も彼も、パートタイムの恋人 (拙訳)
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1980年代のR&Bに限らず、ロックやポップも含め、サウンド面でのシンボル的存在であったのがドラムマシーン、TR-808とリンドラム(LM-2)でした。
リンドラムについてネットで調べていると、ある対談での小室哲哉氏のこんな発言を見つけました。
「スティーヴィー・ワンダーがロジャー・リンというエンジニアに依頼して70年代後半に誕生したのがリンドラムというドラムマシーン」
ピエール中野×小室哲哉 対談 / Best of Tornado / 凛として時雨
おおっと思って調べてみました。 最初に彼が依頼して作ったのかどうかはわかりませんでしたが、その開発に最も重要な役割を果たしたのは間違いないようです。
開発者のロジャー・リンはもともとギタリストだったのですが、コンピューターにかなり早い段階で興味を持ち、生ドラム音をデータ化してとりこんだリズムマシーンのアイディアを思いつき開発し始めました。そのアイディアと試作品をプレゼンした相手の一人ががスティーヴィーでした。リンはスティーヴィーについてこう語っています。
「スティーヴィーはシンセサイザーに興味があることで知られていました。1977年頃、彼は私の最初の初期ドラムマシンプロトタイプについて聞いていたようで、それを見せに彼のスタジオに行きました。そのとき、私は視覚に依存したプログラミングシステムを見せていることに気づきましたが、スティーヴィー・ワンダーは盲目のミュージシャンです。その瞬間、私は音楽機器—特に電子楽器—は視覚よりも音と感覚に焦点を当てるべきだと感じました。
そこで、私は再び設計に取り掛かり、リアルタイムでプログラムできるシステムと、ボタン、スライダー、ノブをたくさん搭載した物理的なユーザーインターフェースに変更しました。コンピュータ画面は小さなディスプレイ二つに置き換えました。このリアルタイムプログラミングシステムへの転換により、私はタイミングのクオンタイズ、スウィングタイミング、ループ録音といった機能を発明しました。これらは現在、ドラムマシンやほとんどの録音ソフトウェアで標準的な機能となっています」(Juno Daily 13/09/2016 )
スティーヴィーとの出会いがリンドラムのみならず、その後の録音ソフトウェアの仕様にまで影響を与えたというのは興味深いことです。
そして、1979年に第一号機LH-1は5000ドルで売り出されます。 今の日本円で120万円くらいでしょうか。
「スティーヴィー(・ワンダー)やハービー・ハンコックみたいな人には、50%の前金をお願いしていたんだ。驚くべきことに、彼らはまったくの信頼だけで前金を支払ってくれた。彼らが見たのは、段ボール箱から配線がはみ出した試作だけだったのにね。」
(DAZED August 23, 2014)
LM−1が売り出された1980年に撮られた英BBCのドキュメンタリーで、さっそくスティーヴィーがホテルの部屋でそれを使ってる様子が映っていました(その後動画は削除されてしまいました)。
本来スティーヴィーは新しい機材やテクノロジーをいち早く取り入れることを信条にしていたような人で、70年代にリリースした数々の名作群においてもアナログ・シンセサイザーのサウンドは彼の代名詞的なものでした。
彼はドラム・マシーンもさっそく取り入れるのですが、70年代の神懸かり的な作品を知るファンの多くにはそのチープな味気ない音ははっきり言って不評でした。
プリンスはまだ若く自分の個性的なサウンドを打ち出そうとするタイミングでしたから、ドラム・マシーンは有効でしたが、スティーヴィーの場合、アナログで究極のクオリティーの作品を作り、高いステイタスを築いてしまった後だったので、彼にはマイナス要素のようにとらえられたのでしょう。
1984年の「I Just Called Say I Love You(心の愛)」も今でも彼の中で最も有名な曲のひとつですが、そのサウンドについては昔のファンからは大変不評だったんです。
そんな中、1985年に彼がリリースしたのが、アルバム「イン・スクエア・サークル」。そこから大ヒットしたのが「パートタイム・ラヴァー」です。当時の彼はすでにLM-1からその2号機のLinn Drum(LM-2)に変えていました。移動中もYAMAHAのDX7とLinn Drumは常に携帯し、ホテルの部屋でそれを使っていつも曲作りをしていたようです。ちなみに「パートタイム・ラヴァー」はコーラス以外はすべて彼ひとりで作っています。
また、前述の小室哲哉氏のインタビューで、ドラムマシーンの開発にあたってスティーヴィーはロジャー・リンに昔のモータウン・サウンドのリズムの微妙なズレを出せるようにしてほしいと要請した、という発言があります。
そちらもまた真偽はわかりませんが、実際この曲でスティーヴィーはLinn Drumを使って、60年代の懐かしいモータウンのリズム・パターン(シュープリームスの「恋はあせらず」など)をやっています。
1980年代はポップスの黄金期60年代の再来かと思うほど、軽快でポップな楽曲が大ヒットし、あからさまにモータウンっぽい曲、そしてモータウン・ナンバーもカバーされるなど、再評価されていたんですよね。そんな中、モータウンのスタイルを最新のテクノロジーを使って再現するというアイディアにスティーヴィーがこだわっても何ら不思議なことではありません。
不倫、浮気を感じさせる歌詞というのもスティーヴィーには珍しいですが、実は彼の実体験が反映されているようです。
「僕はある女の子と別れそうになっていたんだそれでまあ、別の女の子と付き合い始めていた。家に帰ると、誰か男が電話をかけてきて、彼女の友達の一人みたいに聞こえるように声色を変えて、彼女が僕のところにいるかどうか確かめようとしたんだ」
(American Songwriter August 19, 2024)
マーヴィン・ゲイとスティーヴィー・ワンダー。モータウン、いやR&Bを代表する二人の天才は、ともに80年代にリズム・マシーンを使って大ヒットを飛ばします。二人はもともとドラムが上手いという共通点もありました。そして、70年代にあまりに凄い傑作を残していたために、80年代のヒット曲は音楽的には高く評価されていないということも共通しています。
ただ、このR&Bの2大巨人がそれぞれ、TR808、LM-1という新しい時代を作ったリズム・マシーンのパイオニアとしての役割を果たしたという事実は、現在に至るR&Bの歴史を考えるときにしっかり見直してもいいんじゃないかなと思います。

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