まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ジングルベル・ロック(Jingle Bell Rock) 」 ボビー・ヘルムズ(1957)

 おはようございます。

 今日はボビー・ヘルムズの「ジングルベル・ロック」です。

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Jingle bell, jingle bell, jingle bell rock
Jingle bells swing and jingle bells ring
Snowin' and blowin' up bushels of fun
Now, the jingle hop has begun


Jingle bell, jingle bell, jingle bell rock
Jingle bells chime in jingle bell time
Dancin' and prancin' in Jingle Bell Square
In the frosty air


What a bright time, it's the right time
To rock the night away
Jingle bell time is a swell time
To go glidin' in a one-horse sleigh


Giddyap jingle horse, pick up your feet
Jingle around the clock
Mix and a-mingle in the jinglin' feet
That's the jingle bell rock


Jingle bell, jingle bell, jingle bell rock
Jingle bells chime in jingle bell time
Dancin' and prancin' in Jingle Bell Square
In the frosty air

 

What a bright time, it's the right time
To rock the night away
Jingle bell time is a swell time
To go glidin' in a one-horse sleigh


Giddyap jingle horse, pick up your feet
Jingle around the clock
Mix and a-mingle in the jinglin' feet
That's the jingle bell
That's the jingle bell
That's the jingle bell rock

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ジングルベル、ジングルベル、ジングルベル・ロック
ジングルベルが揺れて、ジングルベルが鳴る
雪が降って、楽しみではちきれそう
さあ、ダンス・パーティの始まりだ


ジングルベル、ジングルベル、ジングルベルロック
ジングルベルの時間にジングルベルが鳴る
ジングルベル広場で踊って、跳ねて
凍てつく空気の中で


なんて最高のひととき
一晩中踊り明かすにはうってつけ
ジングル・ベルの時間は
馬そりで滑って楽しく過ごす


進め クリスマスの馬 その足を蹴り上げて
休まず鈴を鳴らして
走る鈴の音で言葉を交わす
それがジングルベル・ロック


ジングルベル、ジングルベル、ジングルベルロック
ジングルベル・タイムにジングルベルが鳴る
ジングルベル広場で踊って、跳ねて
凍てつく空気の中で

なんて最高のひととき
一晩中踊り明かすにはうってつけ
ジングル・ベルの時間は
馬そりで滑って楽しく過ごす


進め クリスマスの馬 その足を蹴り上げて
休まず鈴を鳴らして
走る鈴の音で言葉を交わす
それがジングルベル
それがジングルベル
それがジングルベル・ロック

                     (拙訳)

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「ジングルベル・ロック」楽譜はこちら

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 昨日このブログで取り上げたブレンダ・リー「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」とともに、発売から60年以上経っているのに、数多あるアメリカのクリスマス・ソングの中でトップ・クラスの人気をつかんでいるのがこの「ジングルベル・ロック」です。

 最新のビルボード・シングル・チャート(2021年12月18日)では6位に入っていますからすごいですね。

 

 (追記:2023年12月12日 

 12月5日付けのビルボード・チャートでは3位になっています。1位ブレンダ・リーの「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」、2位がマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」、4位がワム!ラスト・クリスマス」)

 

 

 

 ボビー・ヘルムズはインディアナ州出身のカントリー・シンガー。

1955年にデビューし、1957年に「マイ・スペシャル・エンジェル」という曲がカントリーチャート1位、ポップ・チャートでも7位という大ヒットになります。

 

 エド・サリバン・ショーでのパフォーマンス。

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 そして、この成功を受けてリリースされたのが「ジングルベル・ロック」でした。

そして勢いに乗って当時全米3位まで上がっています。

 

  この曲は、広報の仕事をしているジョセフ・カールトン・ビールと広告会社の重役だったジェームズ・ロス・ブースという二人の中年男性によって書かれています。プロのソングライターじゃないんですね。

 

  彼らがプロじゃなかったからか、どうやら元の作品はひどいものだったようで、ヘルムズとギターのハンク・ガーランドが大幅に直したと言われています。

 ガーランドはプレスリーの録音にも参加したカントリー・ギターのレジェンドで、「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」のギターも彼です。ちなみに、「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」と「ジングルベル・ロック」はコーラスのメンツも一緒(アニタ・カー・シンガーズ)で、サウンド・プロダクションに共通点が多いですね。

 

 「正直僕はこの曲をリリースしたくなかった、本当にひどい曲だったからね。それで僕ともう一人のミュージシャンで1時間くらいかけて、メロディーやブリッジ・パートを加えたんだ」

 (The Indianapolis Star   1992)

 ブリッジ・パートとは“What a bright time  It’s the right time  To rock the night away”のところで、”もう一人のミュージシャン”というのがハンク・ガーランドでした。

 

 確かに、ブリッジがなかったら、ただただ単調なメロディですよね。

 僕が思うに、元曲を作ったのが広報マンと広告会社の人間ですから、まさにCMの”ジングル”のつもりだったんじゃないですかね、ジングルベルだけに(なんだか僕、思いがけずうまいこと言ちゃいましたね、、(苦笑))。

 

 もともとのタイトルは「ジングルベル・ホップ」だったという話があって、歌詞も変えたそうで、今聴かれている「ジングルベル・ロック」にしたのはヘルムズとガーランドであるとのちに当人たちは主張しています。

 

 ただ、当時自分にはそういう知識がなく、歌うということはそういうこと(曲を直すこと)も含まれると思っていた、後のインタビューでヘルムズは語っていました。

 

 この曲は1980年代後半から映画でよく使われるようになります。

 例をあげると「リーサル・ウェポン」(1987)、「ホーム・アローン2」(1987)、「ジングル・ベル・ロック」(1987)「ロスト・イン・ニューヨーク」(1992)、「ジングル・オール・ザ・ウェイ」(1996)などがあります。

 

 少し時代背景を考えてみたいと思います。

 この曲の3年前、1954年にビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」を起爆剤となり、また同年にデビューしたエルヴィス・プレスリーが台風の目になった”ロックンロールの大ブーム”が起こっています。

 

 そして1957年ごろには、最先端のものではなく大衆に広く知れ渡ったものになっていたのでしょう。

 広告畑の人間が原曲を作ったということからも、ロックでクリスマス・ソングをやって一発当てようみたいな狙いが感じられます。

 そして、この翌年にリリースされた「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」は、クリスマス・ソングスペシャリスト、ジョニー・マークスが「ジングルベル・ロック」のヒットに触発されて作ったんじゃないかな、と僕は勝手に推測しています、、、。

 

 

 さて、この曲はリリースから30年たったころから、頻繁に映画でよく使われるようになります。

 例をあげると「リーサル・ウェポン」(1987)、「ホーム・アローン2」(1987)、「ジングル・ベル・ロック」(1987)「ロスト・イン・ニューヨーク」(1992)、「ジングル・オール・ザ・ウェイ」(1996)などがあります。

「ジングル・オール・ザ・ウェイ」のヒットがきっかけになって1996年にこの曲が、カントリーチャートに復活しています。

 しかし、そんな盛り上がりの中、ヘルムズは1997年に亡くなってしまいます。また、ハンク・ガーランドも2004年に亡くなっていますから、二人ともこの曲の今の盛り上がり方を見ることができなかったんですね。

 

 この曲のカバーを2つ。

 ブレンダ・リーのヴァージョン(1964)もあるんです。

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 ホール&オーツが1983年にカバーしたもの。この当時、ネオロカビリーが人気だったので(ストレイ・キャッツとか、、)ダリル・ホールがやってみたいと思ったそうです。

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最後に2019年に作られたこの曲の最新MVを

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